βは蚊帳の外で咽び泣く

深淵歩く猫

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変化。

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「…は?」

―――この人は一体何を――

言っているんだ…?と…洋一が考えるよりも早く
洋一の身体の火照りはどんどんと酷くなり

「ンッ、…はっ、はぅ、ぅ…ッ、はぁ…はぁッ、」

―――あつい…、なに…これ…ッ、何で…俺の身体こんな――

洋一が自分の身体の中で荒れ狂い始めた熱に戸惑い
息を切らせながら自分の身体を抱きしめるが…

「ひぁ…ッ?!」

身体はそんな自分の抱きしめる手にさえも敏感に反応してしまって
上擦った甘い声が漏れ、自分の口から漏れたそんな声に洋一は驚き
慌てて口元を手で押え、声を押し殺そうとする
しかし――

「んぅッ?!、ふ…ぁ…ッ、ぁ…」

今度は今まで排泄にしか使った事の無い
洋一のあらぬ場所までもがヒクヒクと熱を持って疼き始めたのを感じて…

―――う、そ…っ、なんで…っ?!、なんでそんなトコロが…っ、

洋一が今まで感じた事の無い身体の感覚と変化に物凄く焦り

「…ごっ、ごめんなさい…っ!俺…ッちょっとトイレへ――」

肩を抱いている横山の手を振り払い
洋一は慌ててソファーから立上ろうとするが…

「何処へ――行こうというのかね…?」

横山の手が、立ち上ろうとする洋一の手を掴み
そのまま強い力で洋一の身体をソファーの上へと引き倒し

「――いっ、ッ、よこ、やまさん…っ!はぁッ、はぁッ…、ッ一体何を…っ、」

呼吸を荒げ、火照る身体のせいか目に薄っすらと涙を浮かべた洋一が
ソファーの背もたれに片手を置いてその巨体を支えながら
今にも洋一の身体の上に圧(の)し掛かってきそうな姿勢で
見下ろす横山の事を、両手で必死に胸を押しながら睨み付ける…

「何って…キミ――面白い事を言うねぇ~…」
「ッ、なに、が…っ、」

クックックッ…と――でっぷりとした顎の肉を揺らしながら横山が笑う


「“ヒートを起こしたΩの様な状態にする薬”を――
 βで男のキミに飲ませたといったら…やる事は一つしかないだろう…?」


横山はそう言うと
その醜く歪んだ笑顔を浮かべた顔を

薬のせいで力が入らず…
恐怖で怯え、碌に抵抗も出来ない洋一の顔へとゆっくりと近づけていった…





パーティー会場にて

「…皆瀬?」

神代と八咫を相手に舌戦を繰り広げていた命がふと
自分の後ろに洋一が居ない事に気が付き、慌てて辺りを見回し始める

「皆瀬…っ!何処だっ!?」

いつの間にか3人の周りに出来上がった人だかりに向け
命がその場に似つかわしく無い程の大声を上げながら叫び
神代と八咫もキョロキョロと辺りを見回し始める…

するとそこに佐伯が人混みの中を割りながら命達の前へと姿を現し――

「――命様!」
「ッ、佐伯!」

命が焦りながら佐伯へと駆け寄る

「皆瀬が…っ、皆瀬がいないんだっ!何処へ行ったか分かるか?!」

今までにないくらいに命は焦り
まるで子供の様に不安な表情を浮かべながら佐伯の両肩を掴んで尋ねる命に
佐伯も気遣わし気な表情を浮かべ
自分の肩を掴んでいる命の手に自分の手をそっと添えながら静かに首を横に振る…

「申し訳ありません命様…私が付いていながら…、」
「ッ、そんな…っ、」

命が泣きそうな顔をし、落胆していると

「あのっ、」

女性スタッフの一人が青ざめた顔をして、命に声をかける

「お探しの方かは存じませんが――
 横山様が先程
 具合の悪そうな男性を連れて会場を後にするのを見ましたが…」
「ッ!?」

―――まさか――

「ッ!あのっ!」

命は女性スタッフからそれだけ聞くと、慌てて会場を飛び出して行った――
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