βは蚊帳の外で咽び泣く

深淵歩く猫

文字の大きさ
上 下
43 / 128

空気が読める秘書2.

しおりを挟む
「…例え何も起きなくても――俺が嫌なんだ…
 お前が――他の誰かの目に触れるのが…」

命に抱きしめられながら耳元で熱い吐息と共にそう囁かれた言葉に
洋一はいよいよ首まで真っ赤にしながら
手に抱えて持っているスーツをギュッと強く握る

するとその時――

「――命様…お取込み中のところを申し訳ありませんが――お時間です。」
「うわあっ!!」

突然割って入った第三者の声に洋一は思わず命を突き飛ばし
命はそれにちょっとだけよろめくが、直ぐに声のした方を睨み付ける…

「…佐伯…お前…」
「待てども待てども中々命様がエントランスに姿を現さない上に――
 スマホにもインターホンにもおでになられないものですから…
 私、心配になって失礼を承知で部屋に勝手に上がらせていただきました。」
「…お前の――俺の部屋へのアクセスコード…消していいか?」
「構いませんよ?今のような事が起きて――
 仕事に遅れても構わないとおっしゃるのなら。」
「う”…」
「兎に角、早くスーツに着替えてきて下さい。
 今日はグループの重役たちが一堂に会す
 重要な会議があったのをお忘れでしたか?」
「…今、着替えてくる。」
「お早めに。皆瀬さんもその大事そうに抱えていらっしゃるスーツを
 仕舞われた方がよろしいかと。」
「あっ。はいっ!今、クローゼットに仕舞って来ます…っ!」

佐伯に促され、命も洋一も慌てて自室へと駆けこんだ…
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

鬼ごっこ

ハタセ
BL
年下からのイジメにより精神が摩耗していく年上平凡受けと そんな平凡を歪んだ愛情で追いかける年下攻めのお話です。

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

処理中です...