βは蚊帳の外で咽び泣く

楽しい楽しい新生活５

『洋一…何か知らんがお前を狙ってるっていう２人について
　コッチでも調べてみるから――
　お前は兎に角自分の身を守る事だけを考えろ。分かったな？』
「…うん…分かった…」

今まで洋一に背を向けて浩介と何やら話していた命が洋一にスマホを返すと
洋一がスマホに出て早々に浩介から心配そうに話しかけられ
洋一も不安げな返事を浩介に返す

『あ、あとそれと――』
「？」
『命様には気をつけろよ？男だろうがβだろうが…
　この世の中にはお前の想像もつかない様な危険が潜んでんだから――』
「う…うん…？」
『本当に気をつけろよ？振りじゃないぞ！？じゃあな。』

ピッ――と…何やら危険について壮大に浩介から語られ――
洋一は戸惑いながらもスマホをポケットに仕舞うと
命と一緒に使われていない部屋を見て回った…


※※※※※※※※※※※※

１０分ほど部屋を見て回って
結局洋一の部屋は現在使われていない命の隣の部屋に決まり――

「皆瀬、このバーチカルファイルは色の種類別で
　分けて置いておいた方が良いか？」
「あ、分けて置いて頂けると助かります。」
「分かった。」

２人は早速玄関に置かれていた
大した量では無い洋一の荷物を部屋へと運び入れ、２人は荷を次々と解いて
いく

―――使ってない部屋のわりには――
　　　ベッド以外は一通りの家具が揃ってて助かるんだけど…
　　　今日寝るとこどうしよう…
　　　今からでも倉庫に運ばれちゃってるらし俺のベッド――
　　　此処に運びいれてもらう事って出来ないのかな…？

「あの～…命さん…」
「ん？」
「俺のベッド――」
「ああ、あの小さいベッドか？
　この部屋には不釣り合いだったんで運ばせなかったが――
　そうかお前のベッドがいるな。明日用意させよう。」

―――小さいって…確かにこの豪華マンションの広い部屋には
　　　セミダブルのベッドは小さくって不釣り合いでしょうけど！

「あのそれじゃあ俺…今日何処で寝れば…？」
「俺と一緒に寝ればいい。」
「はい？」
「俺の部屋のベッドは特注のキングサイズだ。広いぞ。」
「いや、あの…そういう事では…」
「…？何か問題が？」

―――あるよ。大ありだよ。

「あ…の…、あっ！
　だったら俺、リビングのソファーで寝させてもらってもいいですか？
　かなりゆったりとしたソファーでしたし――」
「駄目だ。」
「な、何故…？」

まさかの即答に洋一が狼狽える

「あんな所に客人を寝かせられるか。大人しく俺と一緒に寝ろ。」
「でも…」
「安心しろ皆瀬。俺は寝相は良い。」
「は…はあ…」

―――寝相が良いなら男２人でベッドに一緒に寝ても何の問題はない…のか…？
　　　うん？アレ…？

いまいち２人の会話が噛み合わないまま――

命のペースに乗せられ、混乱した洋一は
何か違うようなと思いながらも命と一緒に荷を解いていった…