βは蚊帳の外で咽び泣く

深淵歩く猫

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イメージ的にはヨク〇リス。

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「それでは今期の経営方針は
 先ほど決めた通りに進めていくという事で――」

応接室で、横山商事との軽い会合を終え
命たちが席を立とうとしたその時

「ところで――命さん…貴方は――今後ご結婚のご予定なんかは…?」

デ…大分貫禄のある体格で、もう肉でどこが顎なのかも分から無くなっている
顎の部分を手で触りながら
横山商事の社長…横山 富蔵(よこやま とみぞう)が
少し下品な笑みを浮かべて前の席に座る命を舐めるように見ながら突然聞いてきた

「――結婚の予定は今のところありませんので。それでは失礼いたします。」

早々にこの場を離れたい命は、横山からの言葉を軽く受け流して席を立とうとする
しかし――

「まあまあ!そう焦らずゆっくりお茶でも――」

尚も食い下がる横山に、命は微かに眉を顰めるが
直ぐに元の仕事用の笑みを顔面に貼り付けると
既に席を立ち、命のすぐ傍に控えていた佐伯に命が声を掛けた

「佐伯。」
「横山様…大変申し訳ございませんが
 命様は今後の予定が押しておりますので、この辺でお暇させて頂きたいかと…」
「そう…ですか…それは残念だ…
 もう少し命さんの美しいお顔を眺めていたかったが――
 予定が押しているのであれば仕方ありませんな。
 それではまたの機会にご一緒に食事にでも――」
「考えておきます。それでは失礼。
 行くぞ皆瀬。」
「あ、ハイ。――失礼いたします。」

命は佐伯を引き連れてさっさと応接室を出ていき
洋一も慌てて横山社長に一礼するとその後に続いた

「ふん、相変わらずつれない若造だ…
 ところで――見慣れないヤツが鬼生道の傍におったが…何者だ?」

横山がすぐ傍に立っている秘書に聞く

「はい…何でもつい最近命様が新しくお雇いになった秘書だとか――
 余りにも急すぎてこちらでも情報は把握出来ておりませんが…」
「ふぅ~ん…そうか…」

横山は顎の肉を触りながら、命たちの出て行ったドアを見つめた…

「まったく…あの男はしつこくてかなわん…
 何故父はあんな男を買っているのやら…」

横山ビル内の長い廊下を歩きながら、命がブツブツと文句を垂れ流す

「ずっとニヤけた顔して人の顔をジロジロと見てくるし
 何度断ってもしつこく食事に誘ってくるしでもう…不快で堪らん!
 皆瀬、お前も気をつけろよ。」
「はい?!」

突然話を振られて洋一が焦って変な声を上げる

「横山の事だ。お前もあいつにだけは気をつけろ。
 あいつは掴み所の無い策略家な上に何を考えているか分からん。
 そして何より――あいつはこの界隈では男色家としても有名だ。
 お前みたいに大人しそうなやつは油断してると――狙われるぞ?」
「え――はっ?えっ?!」
「――兎に角気をつけろ。」
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