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本編
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しおりを挟む「え?それはどういう…」
「ミュラン。俺が好いている令嬢はお前なんだ。」
「へ…?」
殿下が私のことを好き?
「そ、そんなの嘘です。だって殿下はあの令嬢のことが」
「あれはそんな関係じゃない。今日もお前を待っていたら勝手に部屋に入ってきて抱きつかれた。追い返そうとしたらお前が来たんだ。」
「うそ…」
「嘘じゃない。証言は部屋にいた侍女に聞いてくれ。」
「で、でも、私は殿下と手紙のやり取りなんかしたことありません。」
「それは…多分聞き間違いだろう。お前が話を聞いていたときに言ったのは手紙を書いていると言っただけだ。」
「え、でも…」
貰ったことがない。
「俺はお前のことが小さいときから好きだった。ほぼ一目惚れだったんだ。それから少し遊んで中身も好きになった。だから婚約者に望んだんだ。緊張で話すことができなかった分、手紙を書いて送ろうとした。それも出す直前に恥ずかしくなりずっと溜め込んでいるがな。」
そんな、一目惚れなんてありえない。
それに
「私は殿下と婚約する前に遊んだ記憶がございません。」
「俺の婚約者を決めるお茶会のときにこの中庭で1回だけ会っただろう?たしかに、そのときお前は俺のこと気づいてなかったのかもな。」
「え、あれは殿下だったんですか?でもその後あったときには何も」
「気づいてないということに少しだけショックを受けたんだ。だから言い出せなかった。思い出してほしかった。」
「ご、ごめんなさい」
「いいんだ。その後の俺の態度も悪かった。緊張しすぎてお前の前で話すことがままならなかったんだ。」
確かに、今も殿下の心臓の音がうるさく聞こえている。
すごく緊張しているのだろう。
「俺は、ずっとお前が好きだった。だから婚約者にと懇願した。お前とのお茶会だけが俺の潤いだった。話すことができなくてもお前は俺を咎めたりせず、そばにいてくれた。」
「…っ」
「お前が俺のことに呆れて婚約解消したいのはわかっている。俺のことを好きじゃないことも知ってる。でも、チャンスをくれないか。私はミュランと共に生きたいんだ。」
「殿下…」
「これからはきちんと話すし、手紙も書く。それでも、好きになれなかったらそのときは婚約解消しよう…」
「…です。」
「え?」
「私もあなたが好きです、殿下。」
「で、でも前は…」
「自分でもさきほど気づいたんです。私はこの婚約の間、殿下といて心地よかったのです。話さなくても殿下の優しさも知っていました。気づかない間に好きな色になるほど殿下の瞳を見てました。私もずっと殿下が好きでした。」
「ミュラン…。」
ドキドキとなりやまない心臓の音は私のものか殿下のものか。
二人で抱き締めあった。
それから、
「これからはちゃんと話をしよう。誤解が生まれないように。」
「はい。」
お互いに誤解し合っていたから話がややこしくなってしまった。
でもその誤解のおかげで今回は上手く行ったのではないかと思ったのは秘密。
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