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本編

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目を覚ますと、ルークは議会に行ってしまったようでもういなかった。
まるで私が動けなくなるのを見越したかのように午前中は予定がなかった。


湯浴みを済ませ、歩けるようになるまでゆっくりすることにした。
ちなみに、湯浴みしたときに身体の至るところに赤い痕が散りばめてあるのを知り、今日は全身が隠れるようなドレスしか着れなかった。
ただ、首筋に残された痕は隠すことができなかったので、見えないように髪で隠している。


午後はアレル嬢のお茶会に呼ばれていたので、参加した。
そのほとんどがルークたちが行っている議会出席者の同伴者だ。
このお茶会が終わる頃に議会も終わるようで、ルークが迎えに来てくれると侍女から伝言を貰った。

私はここで令嬢や婦人たちの今の流行や、これから流行りそうなものを伺う予定だ。
そこから我が国にはまだ流通していないものや、廃れていきそうなものを考え、取捨選択を行う。
そして我が国の特産を宣伝するのも忘れない。


「ようこそお越し頂きました、チュリ様。ご紹介させてください。テウス殿下の側近であるキスト様の婚約者、リーデ嬢です。」

「リーデ・フィードマンと申します。よろしくお願いします。」

「チュリ・リーヴェンです。よろしくお願いします。」

「素敵なドレスですね!リンデルン国のものでしょうか?」

「えぇ、我が国でつくられた繭を伝統的な技法で編みこんでいるんです。」

「我が国の令嬢たちの間では流行りの柄なんですよ。」

「この国では柄物ではなく、シンプルなドレスをどう着こなすことが主流ですから、あまり身近にない発想でした。このように少ない柄でしたら、ドレスではなくそれを着こなす令嬢に目が行きます。素敵ですね。」

「ありがとうございます。そちらでは~」


私のドレスに興味を持っていただき、そこから話を広げることができた。
新たな流行や、文化を取り入れ、より良い国家になるよう女性たちでもできることを、と志の高い心の通った女性たちばかりで、とても勉強になったし、私も頑張ろうという刺激にもなった。
大方お茶会は、有意義に過ごせたと思う。


終盤に差し掛かったころ、男性たちも終わった頃なのか、パラパラと迎えに訪れる方が増えた。

ルークはきっと最後の方だろうと思い、お茶を飲みながら待っていた。

すると、ルークではない人から声をかけられる。

「チュリ嬢、良ければこのあと私とお茶でもどうだ?」

「え?」

振り返ると、ライノット・イヴォン皇太子殿下だった。


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