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本編
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しおりを挟む「では、これより王太子ルークによる婚約指名を執り行う。ルーク」
国王陛下がルーク殿下を呼ぶ。
ルーク殿下は1歩前に出てざっとホールを見渡したあと私に気づき、微笑みながら歩いてきた。
「チュリ・リーヴェン侯爵令嬢」
「は、はい」
殿下が私の名前を呼ぶと、ホールにいる全員が驚きの声や悲鳴を上げながら、一斉に殿下の目が向けられている私の方を向いた。
私は息を呑み、静かに深呼吸してから、差し出された殿下の手を取り歩き出した。
そして陛下と王妃様がいる前までエスコートしてもらった。
その近くには父が驚いた顔をして私を見ていた。
殿下は私と向かい合い、跪いた。
人生最大の大舞台での演技の始まりだ。
「私はルーク・ド・リンデルンと申します。ーーーー愛しのチュリ・リーヴェン侯爵令嬢。私はあなたを多くの悪意から守り、ただ一人あなただけを幸せにすると誓います。私と婚約していただきたい。」
殿下の演技も気持ちが入っているようでドキドキする。
「…チュリ・リーヴェンと申します。殿下のお気持ち、ありがたく頂戴致します。よろしくお願いします。」
わぁぁぁあああああああ
その瞬間会場からは王太子の婚約を喜ぶ声や、令嬢たちの泣き声などで盛り上がった。
緊張していた私は全く殿下の言葉を聞いていなかったが、公的に側室は妾を持たないと言った殿下にも、驚く声がおさまらなかった。
こうして、無事婚約指名を終えることができた。
殿下は立ち上がり、私の耳元に顔を寄せ、
「これから覚悟しておいてね。」
「え?ーーっっっ!?!?!?」
囁いた瞬間耳にキスをした。
聞き返そうとした私はキスで驚き、顔を赤くしながら殿下を睨みつける。
「な、なにするんですかっ」
「ごめんごめん。私も少し浮かれているみたいだ。」
「なんでですか。」
「それはこれからゆっくり知っていくといいよ。」
そう言って殿下は微笑んだ。
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