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本編
中庭でのこと キストside
しおりを挟む「ねぇ、最近リーデと話しているところを見ないけど、どうして?」
殿下とあなたのせいとは言えない。
「それは今話さなくていいじゃないか。それよりも君とのことを考えよう。」
「ふふ、そうね。私はまったく構わないんだけど、噂は広がるばかりよ。」
殿下とアレル嬢のことが噂にならないように僕が表立ってアレル嬢に手紙を渡していたが、それがどうやら恋仲だと噂されてしまった。殿下は自分のせいだから仕方ないとわかっているし、僕はあと少しで婚約を公にできると多少浮かれていたんだろう、この話をリーデに話していなかった。
「構わなくないだろ。僕と君の婚約の話に繋がるんだから。それでどうなの?」
アレル嬢から殿下との婚約を受けたと聞いていた。
「お父様に聞いたらもうすぐ決まるとおっしゃっていたわ。そしたらあなたも私も堂々と出来るわね。」
「そうだね。やっと堂々とできるんだ。その前にリーデには話しておかないと。」
「そうね。リーデが聞いたら驚くかしら、私がテウスと婚約するなんて言ったら。喜んでくれると嬉しいけど。」
「婚約パーティーの準備で君は忙しいだろうから当日僕から先に話しておくよ。絶対に喜んで涙を流すだろう。その涙をパーティーで他のやつに見せたくない。」
「そうね、私から直接言えないのが申し訳ないけどパーティーでは一番に伝えに行くわ。」
「それも伝えておくよ。やっとそのパーティーで僕とリーデのことも公にできるんだからなんでもするさ。」
「キスト、私と殿下のために本当にありがとう。けど最近そのせいで忙しくてリーデと会えてないんじゃないの?」
「二人が幸せなら僕は嬉しいよ。そのせいではないけどリーデと会えてないんだ。学園では話しかけれないから手紙を貰っていたんだけど、その内容が可愛すぎてどう返事したらいいかわかんないんだ。僕がこんなに想ってると知ったら重いと言われてしまうかもしれない。」
「まあ、お返事を書いてないの?それは良くないわ。ちゃんと謝りなさい。私には何も言ってなかったけど、リーデは不安になってるかもしれないわ。」
「そうだね。次会うときにちゃんと話すよ。」
今思えば僕は浮かれていて、リーデの不安なんか考えられてなかった。
リーデが大切なのに何も伝えていなかったんだ。
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