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輝く何物も永遠ではない
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「ああ、やっと見つけた」
明るい声に、はっとして振り向く。その青年神は、気軽な様子でケツァルコアトルの元へと駆け寄ってきた。
親しげな振る舞い、何の気兼ねもないような口調。ケツァルコアトルによって天空の王座を追われたことも、ケツァルコアトルの手で心臓を抉り出されたことも、もう忘れてしまったようなその態度。それが嬉しいというよりは気詰まりで、ついさりげなく視線を逸らした。
「何か、私に用かな」
「うん、ちょっと頼みたいことがあって。良い?」
ぎこちなく尋ねても青年神は気にした様子もなく、屈託なく問い返してくる。返答に困り、当たり障りのない言葉を選んだ。
「……内容によるよ」
「そっか、そうだよね」
素直に頷いた青年神が「頼みごと」の本題に入るので、やむなく耳を傾ける。あどけなさを残しているその笑顔が空に輝く太陽よりもずっと眩しく思えるのは、何故だろうか。
地上の人間たちが楽しめるように「音楽」を与えてやりたい、楽士達を地上に運んでやってほしい。そう頼まれて、つい頷いてしまった。
断る理由のないことだなどとは、理由の半分でしかない。ケツァルコアトルはこの青年神の笑顔に、どうしても逆らえないのだ。
「ありがとう、お陰で助かった!」
「い、いや、」
眩しいほどの笑顔で礼を言われて、つい居た堪れず目を逸らしてしまう。大したことはしていない、ともぞもぞと打ち消す。
事実、ケツァルコアトルのしたことなど大したものではない。この青年神が供としてつけてくれた彼の眷属に助けられた部分も大きいのだから。けれど青年神は弾けるような笑顔で何度も礼を言ってくれるので、どうにも居心地が悪い思いがする。
「見てよ、すごく楽しそうにしてる。ここまで声が聞こえるし、踊ってるのも見える!」
「……ああ、そうだね」
嬉しげに指し示されても、その細い指の方に、嬉しげに弾む声の方に、意識を取られてしまう。じゃあこれで、と離れかけたが、呼び止められた。
「お前ならやってくれると思ってたから、用意してたんだ。一緒に飲もうよ」
どうして断りきれなかったのだと自分の弱さを罵っても、もう仕方がない。胸中で溜息を漏らし、ケツァルコアトルは盃を揺らした。
青年神は成功がよほど嬉しいのか屈託なく話し続け、ケツァルコアトルにもオクトリを勧めながら彼自身も盃を重ねている。その淡く上気した肌が、目に毒だった。
またオクトリを盃に注ごうとするので、ケツァルコアトルは思わずその細い手首を掴んだ。青年神は、きょとんとしてこちらを見る。
「なに?」
「もう、やめておいた方が良い」
言い聞かせると、青年神は拗ねた顔をして何か言いかけた。だが僅かに思案して、揶揄うような笑みを浮かべる。
「ふうん。心配してくれるの?」
少し意地悪なその笑みは美しくて、どこか妖艶で、けれど思うよりあどけなくもあって。遠い遠い時のあの笑顔に、どこか似ているように思えて。
そうした印象も、手伝ったのだろうか。酔いがケツァルコアトルの舌を軽やかにした。
「心配だよ」
素直に認めて、じっと目を覗き込む。虚を突かれている青年神の目をまっすぐに見つめる。
自分はいつだってこの青年神のことが心配で、気掛かりで。彼の幸福を願っていて、彼に伸びやかに笑っていてほしいと望んでいて。そのためなら、この心臓を捧げても惜しくないほどなのだ。
その感情は正しく伝わったのだろうか、伝わらなかったのだろうか。確かめる前に、やんわりと腕を振り解かれてしまった。目を逸らした青年神が、不満げに口を尖らせる。
「自分の飲める量くらい、知ってるよ」
拗ねたようなその表情は一層あどけなくて、あの遠い遠い一瞬のきらきらしていた少年神と地続きで。つい微笑むと、身咎めた青年神は一層不満げな顔をした。
「なんだよ、なんで笑うのさ」
「すまない」
「まだ笑ってる!」
怒ったようにぺしりと腕を叩いてくる、気安い態度。その親しげな仕草が、胸を揺さぶる。
嫌われ疎まれても構わないと、それでもしなければならないことだと、そう決意した筈だった。その確たる決意のもと、彼を天空の王座から引き摺り下ろした。
なのにこの青年神が、もう気にしていないような態度で接してくれるから。翳りのない明るい笑顔を、惜しげもなく向けてくれるから。そのあどけない親愛に、責め立てられるような気がした。
居た堪れないような気がして、ついオクトリの盃を重ねてしまったらしかった。
「眠い?」
青年神の声に、ぼんやりとしていたケツァルコアトルの意識が少しだけ呼び戻される。半ば閉じていた目を開けると、揺らめく視界にはこちらを覗き込む青年神が映った。
「馬鹿だな、飲みすぎだよ」
呆れたような、だが温かくて優しい声で言って、青年神が肩を貸して立ち上がらせてくれる。その案外力強い腕に驚くと同時に、そんな力を秘めているのが信じられないほどに滑らかでしなやかな肩の感触に心臓が跳ねた。
彼の寝床らしい筵の上に横にならせてくれて、思わず深い息が漏れる。だがその持ち主である青年神が立ち上がろうとしているのに気づき、咄嗟に呼び止めた。
「君、は……」
「いいよ、床でも眠れる」
あっさり言って青年神は立ち上がろうとするが、そんな真似はできない。転がり込んでおいて寝床を奪うような、不躾な真似は。けれど青年神はもう、話は済んだと思っているように立ち去ろうとしている。
何を言えば良いのかわからず、ケツァルコアトルは青年神の装束の端を掴んだ。驚いたように振り返る端正な顔を、閉じそうになる目で必死に見上げる。
「いいの?」
軽く首を傾げて尋ねた青年神は、少し思案げな顔をした。そして、まあ良いかと頷いて戻ってくる。装束を解いて腰衣だけになった彼は、ケツァルコアトルの隣に横になった。
「狭くない?」
「君、こそ」
「僕は別に」
何気ないやりとりをこそばゆく思う余裕さえももうなく、ただ眠たい。僅かに触れ合っている腕の甘い温もりさえもが、今は心地良い安堵を誘う。暖かで幸福な思いに満たされて、ケツァルコアトルは眠りに落ちた。
体が熱を帯びている。その感覚に、ケツァルコアトルは深い眠りから浮かび上がった。
水を飲んだ方がいいのかもしれない。そう思って起き上がろうとする。けれど、体の上に乗っている何かに阻まれる。
『何か』とは、なんだ?
「っ!?」
「なんだ、起きたのか」
場違いにのんびりした声は、紛れもなくあの青年神のものだった。それが思うより近くから、思わぬ方向から聞こえて、一気にケツァルコアトルは覚醒した。
乏しい星明かりを背負うようにして、青年神はそこに居た。半ば影になっている端麗な面差しにぞっとするほど妖艶な笑みを載せて、ケツァルコアトルを見下ろしていた。
何も身に付けていない青年神の、しなやかで美しい肉体。それが自分の体の上に跨っているのに気付き、ケツァルコアトルは激しく動揺した。
「な、何……っ」
「手伝ってくれただろ」
あっさりと、だが全く筋の通らない言葉を返した青年神が、目を細めて笑う。三日月のように細まった瞳は、淫らな光をありありと宿していた。
「だから、お礼、してあげる」
細い指に、するりと腹をなぞられる。熱を帯びたその指先の感触は、ぞっとするほど悍ましかった。その感触が、指遣いが、青年神の為そうとしている「お礼」を如実に伝えていた。
そんな礼など要らない、早くどいてくれ、離れてくれ。ケツァルコアトルがそう叫ぶ前に、青年神はふっとまた笑った。その笑みは影の中であどけない光を宿した気がして、つい声を飲んでしまう。
「まあ、タテマエだけどね」
くすくすと笑って、青年神が僅かに身じろぎをする。しっとりと汗ばんでいるらしいその肢体が、乏しい明かりに怪しい煌めきを振りまいた。
「したいんだよ。今、すぐ」
この青年神は、何を言っているのだ。理解できず、ケツァルコアトルは呆然と見上げることしかできなかった。
「なのにあいつ、いないから。だから」
彼は、何を、言っている。
「お前でいい」
理解できない。理解したくない。
「一回、お前ともしてみたかったし」
理解が、追い付かない。
混乱するケツァルコアトルを尻目に、もう話が済んだと思っているらしい青年神はケツァルコアトルの下肢へと目を向けた。ケツァルコアトルもついその視線を辿って、目眩を覚える。
眠っている間に何か淫らなことをされでもしたのか、その部分はすっかり張り詰め、濡れそぼっていた。目を逸らすこともできずにいるケツァルコアトルには構わず、青年神はその部位へと手を伸ばす。
青年神のほっそりした指が、すっかり屹立してしまっているケツァルコアトルの欲望を愛おしそうに撫でる。それで、ケツァルコアトルははっと我に返った。咄嗟にその手首を掴む。
「やめるんだ!」
「なんで」
不満げな声など、もう聞いてはいられない。どうやって怪我をさせずに宥めればいいかと、必死で頭を働かせる。だが、その甘い考えが邪魔をしたのかもしれない。
腕力では勝る筈なのに、いつの間にか容易く振り解かれていた。はっと我に返り、もう一度手を伸ばす。だが、遅かった。
「黙れよ」
のんびりとしてさえいる声に、その奥底に沈む凶暴な響きに、思わず動きを止めてしまう。そして、遅まきながらそれに気付いた。
首筋に触れる、冷ややかな刃の感触。それは確かに、ケツァルコアトルの目を覗き込むように身を屈めている青年神の手に握られている、鋭利な凶刃だった。
臆したというよりは、不意を突かれた。あの遠い遠い記憶の中で輝いている少年神が、その彼と地続きのこの青年神が、そんなことをするとは信じられなかった。信じたくなかったのかもしれない。
完全にその気配に飲まれたケツァルコアトルをどう思ったのか、青年神はふふふと笑った。舌舐めずりでもせんばかりの貪婪な瞳でケツァルコアトルを眺め渡し、そして僅かに腰を浮かせる。
敏感な部分の先に湿った感触が触れて、はっとした。咄嗟にまた声を上げようとする。けれど、遅すぎた。
「っ、ぅ、っ!」
「あ、ぁ、……!」
熱く狭い場所にずぶりと飲み込まれる、激烈な快感。ケツァルコアトルが思わず息を飲んだ時、青年神の感に耐えないというような声が耳に届いた。
やめさせなくては、早く止めなくては。けれど、怪我をさせたくない。
相反する思念に引き裂かれて身動きもできないケツァルコアトルには構わず、青年神は息を吐きながら腰を沈めていく。淫らに身をくねらせながら、ケツァルコアトルの欲望を食い尽くしていく。魂までも貪り食われるような悍ましい感触に、ぞっとした。
「く、ぅん……」
淫らな吐息。僅かに苦しげで、けれど満足げな、淫猥な微笑。
ずぶずぶと、ずるずると、飲み込まれていく。その激烈であるべからざる快感に、ケツァルコアトルは眩暈を覚えた。
まだ記憶の片隅できらきらと笑っている、あの遥かな少年神。いま目の前にある、淫蕩な笑み。全く違うその笑顔、同じ面影を宿す美しいかんばせ。
混乱する。ここは、混沌の悪夢の中なのか。
はぁ、と青年神が甘い息を吐く。その声でケツァルコアトルも、それが達成されてしまったことに気付いた。
「ふふ。入った」
うっとりと淫らに目を細めて、青年神が笑う。やはり少し苦しげで、けれど満ち足りてでもいるかのような、その笑み。淫蕩なその笑顔を直視するのが耐えられず、ケツァルコアトルは目を背けた。その先で、しなやかな手が動く。
「ねえ、分かる? ココまで来てる」
まだ線の細さを残しているその手が、見せつけるように薄い腹をなぞる。浅ましく張り詰めて蜜を垂れ流している器官を見たくなくて、ケツァルコアトルは思わず目を背けた。
「お前の、熱い。キモチいい」
半ば譫言のように漏らした青年神が、ふふふとまた笑う。舌足らずな口調で、甘ったるく囁いた。
「イイだろ、お前も」
そんな筈は無い、頼むから早くやめてくれ、早く離れてくれ。そう訴えたいのに、口を開けば欲望が弾け飛んでしまいそうな気がして、身じろぎさえできない。
それをどう解釈したのか、あるいは初めからケツァルコアトルのことなど気に欠けてもいなかったのか。青年神は、尚も甘ったるい声で囁いた。
「ねえ、動いてよ」
甘えた声にねだられても、応じてなどやれない。これは罪悪なのだ、あってはならない交わりなのだ。だから、だから、だから。
ケツァルコアトルに応じるつもりが全くないことを悟ったのか、青年神は拗ねたような顔をした。その幼くさえある表情に何かを感じそうになって、心臓を揺さぶられるような気がして。けれどそんな暇さえ、ケツァルコアトルには与えられなかった。
「なら、いい」
不機嫌に呟いた青年神が、ケツァルコアトルの腹に手を突く。そして、淫らに腰をくねらせて快楽を追い始めた。
「っ、ぅ、ぐ……」
「ん、ぁ、あぁ、……っ!」
咄嗟に奥歯を噛み締めて声を殺しても、快楽の呻きは隠せなかった。聞き取ったらしい青年神が満足げな顔をして、一層激しく腰を揺さぶり立てる。
あってはならない快感。罪の意識。目眩に似た快楽。理性さえ浚い取るような荒波に必死で抗いながら、ケツァルコアトルは青年神の顔から目を離せなかった。見ていたくもないのに、目を逸らせなかった。
だらしなく蕩けて、悦楽に酔って、淫らな快楽を浅ましく貪って。我を忘れたように、夢中で淫猥な遊びに耽っているそのかんばせ。あの少年神と確かに地続きの筈なのに、あのきらきらした水晶の笑顔はそのかんばせを彩った筈なのに。
光り輝く面影が、塗り潰されていく。その痛みに耐え切れず、涙が零れそうになった。
「もう、やめてくれ」
呻くように、ケツァルコアトルは呟いていた。もう耐えられない、これ以上は耐えられない。その思いで、必死で訴えた。
なのに。青年神は、どこまでも残酷だった。
「なんで?」
軽く小首を傾げて。ふふふと、淫らな笑い声を立てて。青年神が、顔を寄せてくる。じっと目を覗き込んだ青年神が、また笑う。
「お前だって、キモチイイくせに」
胸と胸が、悍しい熱を帯びた肌が触れ合って、怖気が走る。振り払おうとしたが、手足さえ動かせなかった。
くすくすと笑った青年神はケツァルコアトルの顎をぺろりと舐めて、また身を起こした。もうケツァルコアトルには構わず、また快楽を追い始める。その蕩けた顔を見上げていて、ケツァルコアトルはその絶望に気付いた。
あの明るい笑い声が、きらきらと眩しかった笑顔が。もう、思い出せない。
ケツァルコアトルの体を使って快楽を貪ることにひと満足したらしい「それ」は、筵の上に手足を投げ出している。背を向けて視界から追い出しながら涙を堪えているケツァルコアトルには、気付きもせずに。
どうしても思い出せない。片鱗さえも、浮かんでこない。胸に大切に抱いていたあの宝石のような笑顔が、囀るような笑い声が、どうしても。
思い出そうとすればするほど、あの淫蕩な笑みに、淫猥な笑い声に、塗り潰され上書きされてしまう。頭を振ってそれを追い払った時、背後の気配が起き上がるのを感じた。
「なあ、もっと」
甘えた声で、「それ」が背中に擦り寄ってくる。怖気が走って、反射的に振り払った。
「触るな!」
反射的にそう拒絶しても、罪悪感など浮かびもしない。こんな男娼風情に、こんな淫売などに、決して。
ケツァルコアトルの怒りを恐れる様子もなく、「それ」は傷ついた様子さえ見せずに冷ややかに笑った。悪びれもせずに、しゃあしゃあとケツァルコアトルを詰る。
「冷たい奴だな。枕を交わした相手に」
どの口が。憎しみが迫り上がる。
嫌がる相手を無理に押さえ込み、脅し付け、動きを封じて、好き勝手に快楽を貪っておいて。そんな残酷な行為を、枕を交わすなどとどうして呼べるものか。
深く軽蔑しながら目を向けても、「それ」はやはり悪びれずに笑っていた。その笑みが、あの遠い笑顔の片鱗を、また打ち壊す。それが憎悪を掻き立てた。
「私は、君を許さない」
「お前の許しなんて要らない」
憎しみの籠もったケツァルコアトルの声さえ気に掛けない「それ」。憎らしいその笑顔。「それ」はケツァルコアトルの感情など初めからそよ風ほども気にしていないのだとやっと気付いて、また胸に憎しみが燃え上がった。
いっそ、この手で。これ以上、あの清らかだった光を、穢される前に、壊される前に。
暗い感情が囁くまま、ケツァルコアトルはほとんど無意識に「それ」の細い首に手を伸ばしていた。余裕の笑みを浮かべたままの「それ」を床に組み伏せる。
ぐ、と手に力を込めると、少しだけ苦しげな表情をする。なのにその憎らしいほど整った顔から、嘲笑は消えない。だからケツァルコアトルは怒りに任せて、そのまま「それ」を締め殺そうとした。
その手が止まったのは、憐みなどでは絶対にない。けれど、その方がまだ良かったのかもしれない。
どうして。茫然とその部分を見ていると、首を絞めてやっていた手が緩んだらしい。ごほごほと咳き込んだ「それ」もその部位を見てしまったのか、はっきりと嘲りのこもった声を上げる。
「はは。何だ、まだ足りなかったか」
嘘だ。嘘だ。否定したいのに、それは疑いようも無い。ケツァルコアトルの欲望は確かに、はっきりとまた主張を始めていた。更なる快楽を求めて、屹立していた。
茫然とするケツァルコアトルの首筋に、するりと細い腕が絡み付いた。我に返って振り解くより前に、粘つくような声が囁く。
「貪れよ、存分に」
その声に唆されたわけではない、ふしだらな遊びに心惹かれたのでは決してない。そう思いたいけれど、ならば何なのだと問われればケツァルコアトルにも答えられない。
いいや、単純なことなのだ。そうとしか思えない。それ以外に考えられない。
この淫売が、自分を狂わせるからだ。それだけなのだ。そう自分に言い聞かせる声さえ、すでに遠かった。
明るい声に、はっとして振り向く。その青年神は、気軽な様子でケツァルコアトルの元へと駆け寄ってきた。
親しげな振る舞い、何の気兼ねもないような口調。ケツァルコアトルによって天空の王座を追われたことも、ケツァルコアトルの手で心臓を抉り出されたことも、もう忘れてしまったようなその態度。それが嬉しいというよりは気詰まりで、ついさりげなく視線を逸らした。
「何か、私に用かな」
「うん、ちょっと頼みたいことがあって。良い?」
ぎこちなく尋ねても青年神は気にした様子もなく、屈託なく問い返してくる。返答に困り、当たり障りのない言葉を選んだ。
「……内容によるよ」
「そっか、そうだよね」
素直に頷いた青年神が「頼みごと」の本題に入るので、やむなく耳を傾ける。あどけなさを残しているその笑顔が空に輝く太陽よりもずっと眩しく思えるのは、何故だろうか。
地上の人間たちが楽しめるように「音楽」を与えてやりたい、楽士達を地上に運んでやってほしい。そう頼まれて、つい頷いてしまった。
断る理由のないことだなどとは、理由の半分でしかない。ケツァルコアトルはこの青年神の笑顔に、どうしても逆らえないのだ。
「ありがとう、お陰で助かった!」
「い、いや、」
眩しいほどの笑顔で礼を言われて、つい居た堪れず目を逸らしてしまう。大したことはしていない、ともぞもぞと打ち消す。
事実、ケツァルコアトルのしたことなど大したものではない。この青年神が供としてつけてくれた彼の眷属に助けられた部分も大きいのだから。けれど青年神は弾けるような笑顔で何度も礼を言ってくれるので、どうにも居心地が悪い思いがする。
「見てよ、すごく楽しそうにしてる。ここまで声が聞こえるし、踊ってるのも見える!」
「……ああ、そうだね」
嬉しげに指し示されても、その細い指の方に、嬉しげに弾む声の方に、意識を取られてしまう。じゃあこれで、と離れかけたが、呼び止められた。
「お前ならやってくれると思ってたから、用意してたんだ。一緒に飲もうよ」
どうして断りきれなかったのだと自分の弱さを罵っても、もう仕方がない。胸中で溜息を漏らし、ケツァルコアトルは盃を揺らした。
青年神は成功がよほど嬉しいのか屈託なく話し続け、ケツァルコアトルにもオクトリを勧めながら彼自身も盃を重ねている。その淡く上気した肌が、目に毒だった。
またオクトリを盃に注ごうとするので、ケツァルコアトルは思わずその細い手首を掴んだ。青年神は、きょとんとしてこちらを見る。
「なに?」
「もう、やめておいた方が良い」
言い聞かせると、青年神は拗ねた顔をして何か言いかけた。だが僅かに思案して、揶揄うような笑みを浮かべる。
「ふうん。心配してくれるの?」
少し意地悪なその笑みは美しくて、どこか妖艶で、けれど思うよりあどけなくもあって。遠い遠い時のあの笑顔に、どこか似ているように思えて。
そうした印象も、手伝ったのだろうか。酔いがケツァルコアトルの舌を軽やかにした。
「心配だよ」
素直に認めて、じっと目を覗き込む。虚を突かれている青年神の目をまっすぐに見つめる。
自分はいつだってこの青年神のことが心配で、気掛かりで。彼の幸福を願っていて、彼に伸びやかに笑っていてほしいと望んでいて。そのためなら、この心臓を捧げても惜しくないほどなのだ。
その感情は正しく伝わったのだろうか、伝わらなかったのだろうか。確かめる前に、やんわりと腕を振り解かれてしまった。目を逸らした青年神が、不満げに口を尖らせる。
「自分の飲める量くらい、知ってるよ」
拗ねたようなその表情は一層あどけなくて、あの遠い遠い一瞬のきらきらしていた少年神と地続きで。つい微笑むと、身咎めた青年神は一層不満げな顔をした。
「なんだよ、なんで笑うのさ」
「すまない」
「まだ笑ってる!」
怒ったようにぺしりと腕を叩いてくる、気安い態度。その親しげな仕草が、胸を揺さぶる。
嫌われ疎まれても構わないと、それでもしなければならないことだと、そう決意した筈だった。その確たる決意のもと、彼を天空の王座から引き摺り下ろした。
なのにこの青年神が、もう気にしていないような態度で接してくれるから。翳りのない明るい笑顔を、惜しげもなく向けてくれるから。そのあどけない親愛に、責め立てられるような気がした。
居た堪れないような気がして、ついオクトリの盃を重ねてしまったらしかった。
「眠い?」
青年神の声に、ぼんやりとしていたケツァルコアトルの意識が少しだけ呼び戻される。半ば閉じていた目を開けると、揺らめく視界にはこちらを覗き込む青年神が映った。
「馬鹿だな、飲みすぎだよ」
呆れたような、だが温かくて優しい声で言って、青年神が肩を貸して立ち上がらせてくれる。その案外力強い腕に驚くと同時に、そんな力を秘めているのが信じられないほどに滑らかでしなやかな肩の感触に心臓が跳ねた。
彼の寝床らしい筵の上に横にならせてくれて、思わず深い息が漏れる。だがその持ち主である青年神が立ち上がろうとしているのに気づき、咄嗟に呼び止めた。
「君、は……」
「いいよ、床でも眠れる」
あっさり言って青年神は立ち上がろうとするが、そんな真似はできない。転がり込んでおいて寝床を奪うような、不躾な真似は。けれど青年神はもう、話は済んだと思っているように立ち去ろうとしている。
何を言えば良いのかわからず、ケツァルコアトルは青年神の装束の端を掴んだ。驚いたように振り返る端正な顔を、閉じそうになる目で必死に見上げる。
「いいの?」
軽く首を傾げて尋ねた青年神は、少し思案げな顔をした。そして、まあ良いかと頷いて戻ってくる。装束を解いて腰衣だけになった彼は、ケツァルコアトルの隣に横になった。
「狭くない?」
「君、こそ」
「僕は別に」
何気ないやりとりをこそばゆく思う余裕さえももうなく、ただ眠たい。僅かに触れ合っている腕の甘い温もりさえもが、今は心地良い安堵を誘う。暖かで幸福な思いに満たされて、ケツァルコアトルは眠りに落ちた。
体が熱を帯びている。その感覚に、ケツァルコアトルは深い眠りから浮かび上がった。
水を飲んだ方がいいのかもしれない。そう思って起き上がろうとする。けれど、体の上に乗っている何かに阻まれる。
『何か』とは、なんだ?
「っ!?」
「なんだ、起きたのか」
場違いにのんびりした声は、紛れもなくあの青年神のものだった。それが思うより近くから、思わぬ方向から聞こえて、一気にケツァルコアトルは覚醒した。
乏しい星明かりを背負うようにして、青年神はそこに居た。半ば影になっている端麗な面差しにぞっとするほど妖艶な笑みを載せて、ケツァルコアトルを見下ろしていた。
何も身に付けていない青年神の、しなやかで美しい肉体。それが自分の体の上に跨っているのに気付き、ケツァルコアトルは激しく動揺した。
「な、何……っ」
「手伝ってくれただろ」
あっさりと、だが全く筋の通らない言葉を返した青年神が、目を細めて笑う。三日月のように細まった瞳は、淫らな光をありありと宿していた。
「だから、お礼、してあげる」
細い指に、するりと腹をなぞられる。熱を帯びたその指先の感触は、ぞっとするほど悍ましかった。その感触が、指遣いが、青年神の為そうとしている「お礼」を如実に伝えていた。
そんな礼など要らない、早くどいてくれ、離れてくれ。ケツァルコアトルがそう叫ぶ前に、青年神はふっとまた笑った。その笑みは影の中であどけない光を宿した気がして、つい声を飲んでしまう。
「まあ、タテマエだけどね」
くすくすと笑って、青年神が僅かに身じろぎをする。しっとりと汗ばんでいるらしいその肢体が、乏しい明かりに怪しい煌めきを振りまいた。
「したいんだよ。今、すぐ」
この青年神は、何を言っているのだ。理解できず、ケツァルコアトルは呆然と見上げることしかできなかった。
「なのにあいつ、いないから。だから」
彼は、何を、言っている。
「お前でいい」
理解できない。理解したくない。
「一回、お前ともしてみたかったし」
理解が、追い付かない。
混乱するケツァルコアトルを尻目に、もう話が済んだと思っているらしい青年神はケツァルコアトルの下肢へと目を向けた。ケツァルコアトルもついその視線を辿って、目眩を覚える。
眠っている間に何か淫らなことをされでもしたのか、その部分はすっかり張り詰め、濡れそぼっていた。目を逸らすこともできずにいるケツァルコアトルには構わず、青年神はその部位へと手を伸ばす。
青年神のほっそりした指が、すっかり屹立してしまっているケツァルコアトルの欲望を愛おしそうに撫でる。それで、ケツァルコアトルははっと我に返った。咄嗟にその手首を掴む。
「やめるんだ!」
「なんで」
不満げな声など、もう聞いてはいられない。どうやって怪我をさせずに宥めればいいかと、必死で頭を働かせる。だが、その甘い考えが邪魔をしたのかもしれない。
腕力では勝る筈なのに、いつの間にか容易く振り解かれていた。はっと我に返り、もう一度手を伸ばす。だが、遅かった。
「黙れよ」
のんびりとしてさえいる声に、その奥底に沈む凶暴な響きに、思わず動きを止めてしまう。そして、遅まきながらそれに気付いた。
首筋に触れる、冷ややかな刃の感触。それは確かに、ケツァルコアトルの目を覗き込むように身を屈めている青年神の手に握られている、鋭利な凶刃だった。
臆したというよりは、不意を突かれた。あの遠い遠い記憶の中で輝いている少年神が、その彼と地続きのこの青年神が、そんなことをするとは信じられなかった。信じたくなかったのかもしれない。
完全にその気配に飲まれたケツァルコアトルをどう思ったのか、青年神はふふふと笑った。舌舐めずりでもせんばかりの貪婪な瞳でケツァルコアトルを眺め渡し、そして僅かに腰を浮かせる。
敏感な部分の先に湿った感触が触れて、はっとした。咄嗟にまた声を上げようとする。けれど、遅すぎた。
「っ、ぅ、っ!」
「あ、ぁ、……!」
熱く狭い場所にずぶりと飲み込まれる、激烈な快感。ケツァルコアトルが思わず息を飲んだ時、青年神の感に耐えないというような声が耳に届いた。
やめさせなくては、早く止めなくては。けれど、怪我をさせたくない。
相反する思念に引き裂かれて身動きもできないケツァルコアトルには構わず、青年神は息を吐きながら腰を沈めていく。淫らに身をくねらせながら、ケツァルコアトルの欲望を食い尽くしていく。魂までも貪り食われるような悍ましい感触に、ぞっとした。
「く、ぅん……」
淫らな吐息。僅かに苦しげで、けれど満足げな、淫猥な微笑。
ずぶずぶと、ずるずると、飲み込まれていく。その激烈であるべからざる快感に、ケツァルコアトルは眩暈を覚えた。
まだ記憶の片隅できらきらと笑っている、あの遥かな少年神。いま目の前にある、淫蕩な笑み。全く違うその笑顔、同じ面影を宿す美しいかんばせ。
混乱する。ここは、混沌の悪夢の中なのか。
はぁ、と青年神が甘い息を吐く。その声でケツァルコアトルも、それが達成されてしまったことに気付いた。
「ふふ。入った」
うっとりと淫らに目を細めて、青年神が笑う。やはり少し苦しげで、けれど満ち足りてでもいるかのような、その笑み。淫蕩なその笑顔を直視するのが耐えられず、ケツァルコアトルは目を背けた。その先で、しなやかな手が動く。
「ねえ、分かる? ココまで来てる」
まだ線の細さを残しているその手が、見せつけるように薄い腹をなぞる。浅ましく張り詰めて蜜を垂れ流している器官を見たくなくて、ケツァルコアトルは思わず目を背けた。
「お前の、熱い。キモチいい」
半ば譫言のように漏らした青年神が、ふふふとまた笑う。舌足らずな口調で、甘ったるく囁いた。
「イイだろ、お前も」
そんな筈は無い、頼むから早くやめてくれ、早く離れてくれ。そう訴えたいのに、口を開けば欲望が弾け飛んでしまいそうな気がして、身じろぎさえできない。
それをどう解釈したのか、あるいは初めからケツァルコアトルのことなど気に欠けてもいなかったのか。青年神は、尚も甘ったるい声で囁いた。
「ねえ、動いてよ」
甘えた声にねだられても、応じてなどやれない。これは罪悪なのだ、あってはならない交わりなのだ。だから、だから、だから。
ケツァルコアトルに応じるつもりが全くないことを悟ったのか、青年神は拗ねたような顔をした。その幼くさえある表情に何かを感じそうになって、心臓を揺さぶられるような気がして。けれどそんな暇さえ、ケツァルコアトルには与えられなかった。
「なら、いい」
不機嫌に呟いた青年神が、ケツァルコアトルの腹に手を突く。そして、淫らに腰をくねらせて快楽を追い始めた。
「っ、ぅ、ぐ……」
「ん、ぁ、あぁ、……っ!」
咄嗟に奥歯を噛み締めて声を殺しても、快楽の呻きは隠せなかった。聞き取ったらしい青年神が満足げな顔をして、一層激しく腰を揺さぶり立てる。
あってはならない快感。罪の意識。目眩に似た快楽。理性さえ浚い取るような荒波に必死で抗いながら、ケツァルコアトルは青年神の顔から目を離せなかった。見ていたくもないのに、目を逸らせなかった。
だらしなく蕩けて、悦楽に酔って、淫らな快楽を浅ましく貪って。我を忘れたように、夢中で淫猥な遊びに耽っているそのかんばせ。あの少年神と確かに地続きの筈なのに、あのきらきらした水晶の笑顔はそのかんばせを彩った筈なのに。
光り輝く面影が、塗り潰されていく。その痛みに耐え切れず、涙が零れそうになった。
「もう、やめてくれ」
呻くように、ケツァルコアトルは呟いていた。もう耐えられない、これ以上は耐えられない。その思いで、必死で訴えた。
なのに。青年神は、どこまでも残酷だった。
「なんで?」
軽く小首を傾げて。ふふふと、淫らな笑い声を立てて。青年神が、顔を寄せてくる。じっと目を覗き込んだ青年神が、また笑う。
「お前だって、キモチイイくせに」
胸と胸が、悍しい熱を帯びた肌が触れ合って、怖気が走る。振り払おうとしたが、手足さえ動かせなかった。
くすくすと笑った青年神はケツァルコアトルの顎をぺろりと舐めて、また身を起こした。もうケツァルコアトルには構わず、また快楽を追い始める。その蕩けた顔を見上げていて、ケツァルコアトルはその絶望に気付いた。
あの明るい笑い声が、きらきらと眩しかった笑顔が。もう、思い出せない。
ケツァルコアトルの体を使って快楽を貪ることにひと満足したらしい「それ」は、筵の上に手足を投げ出している。背を向けて視界から追い出しながら涙を堪えているケツァルコアトルには、気付きもせずに。
どうしても思い出せない。片鱗さえも、浮かんでこない。胸に大切に抱いていたあの宝石のような笑顔が、囀るような笑い声が、どうしても。
思い出そうとすればするほど、あの淫蕩な笑みに、淫猥な笑い声に、塗り潰され上書きされてしまう。頭を振ってそれを追い払った時、背後の気配が起き上がるのを感じた。
「なあ、もっと」
甘えた声で、「それ」が背中に擦り寄ってくる。怖気が走って、反射的に振り払った。
「触るな!」
反射的にそう拒絶しても、罪悪感など浮かびもしない。こんな男娼風情に、こんな淫売などに、決して。
ケツァルコアトルの怒りを恐れる様子もなく、「それ」は傷ついた様子さえ見せずに冷ややかに笑った。悪びれもせずに、しゃあしゃあとケツァルコアトルを詰る。
「冷たい奴だな。枕を交わした相手に」
どの口が。憎しみが迫り上がる。
嫌がる相手を無理に押さえ込み、脅し付け、動きを封じて、好き勝手に快楽を貪っておいて。そんな残酷な行為を、枕を交わすなどとどうして呼べるものか。
深く軽蔑しながら目を向けても、「それ」はやはり悪びれずに笑っていた。その笑みが、あの遠い笑顔の片鱗を、また打ち壊す。それが憎悪を掻き立てた。
「私は、君を許さない」
「お前の許しなんて要らない」
憎しみの籠もったケツァルコアトルの声さえ気に掛けない「それ」。憎らしいその笑顔。「それ」はケツァルコアトルの感情など初めからそよ風ほども気にしていないのだとやっと気付いて、また胸に憎しみが燃え上がった。
いっそ、この手で。これ以上、あの清らかだった光を、穢される前に、壊される前に。
暗い感情が囁くまま、ケツァルコアトルはほとんど無意識に「それ」の細い首に手を伸ばしていた。余裕の笑みを浮かべたままの「それ」を床に組み伏せる。
ぐ、と手に力を込めると、少しだけ苦しげな表情をする。なのにその憎らしいほど整った顔から、嘲笑は消えない。だからケツァルコアトルは怒りに任せて、そのまま「それ」を締め殺そうとした。
その手が止まったのは、憐みなどでは絶対にない。けれど、その方がまだ良かったのかもしれない。
どうして。茫然とその部分を見ていると、首を絞めてやっていた手が緩んだらしい。ごほごほと咳き込んだ「それ」もその部位を見てしまったのか、はっきりと嘲りのこもった声を上げる。
「はは。何だ、まだ足りなかったか」
嘘だ。嘘だ。否定したいのに、それは疑いようも無い。ケツァルコアトルの欲望は確かに、はっきりとまた主張を始めていた。更なる快楽を求めて、屹立していた。
茫然とするケツァルコアトルの首筋に、するりと細い腕が絡み付いた。我に返って振り解くより前に、粘つくような声が囁く。
「貪れよ、存分に」
その声に唆されたわけではない、ふしだらな遊びに心惹かれたのでは決してない。そう思いたいけれど、ならば何なのだと問われればケツァルコアトルにも答えられない。
いいや、単純なことなのだ。そうとしか思えない。それ以外に考えられない。
この淫売が、自分を狂わせるからだ。それだけなのだ。そう自分に言い聞かせる声さえ、すでに遠かった。
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