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闇の戦争⑦
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学校につくとすでに皆そろっていた。さっきまで出ていた白い息も教室に入ればその途端に出なくなってしまう。
「悪い、買い物してて遅れた」
「あ、ゆうとくん」
「遅い! どんだけ買い物に時間かかってんのよ」
かなり急いで来たつもりだったのだがめぐるさんは激おこだった。ストーブが点いてはいるがこの暖かさはそれによるものかもしれない。
「それがさ、たまたま朝日さんに会ってちょっと話してたんだ」
「朝日……?」
「ああーそう言えばお前は会ったこと無かったか」
「誰よそれ」
「朝日ちゃんは私の友達なんだよ、クラスも同じ」
俺の変わりに赤井さんが説明してくれた。そして付け足すように部活に誘ったが断られたことも話しておく。
「そうなんだ……」
「どうかしたか?」
一瞬雰囲気が変わったような気がしたので聞いてみたが勘違いだったようでいつもの様子で顔をあげた。
「それよりさっさと始めるわよ~、パーティーを」
それから俺たちは鍋を用意し、ほんとに許可を取れたのか疑問だがガスコンロも火が点くか確認して机の真ん中に置いた。そして皆に分からないように袋に入れられた各々の選んだ食材が置かれる。
「あー普通に鍋が良かったな」
「まぁ、確かに。でもこれはこれで楽しそうじゃん」
隆也は何時もより少しテンションが上がっている様子だ。赤井さんを見てみてもピョコピョコ、アホ毛が動いてるのを見るに楽しんでいるようだった。
「じゃあ皆ー席について~」
めぐるの掛け声で鍋を囲むように席につくとすぐに電気が消されて真っ暗になる。
「おぉ暗いな」
すでに外は太陽が沈みカーテンも閉められているため月明かりすら入ってこない。
「みんな~いるよね~」
赤井さんのそんな心細そうな声が聞こえてくる。
「大丈夫だよ赤井さん」
隆也が優しく返事をする。それと同じくしてめぐるも席についたのかガタッと椅子を引く音がした。と思ったのだが
「誰か席を立ったの?」
そう言ったのはめぐるだった。
「え、今座ったのめぐるじゃないのか?」
「違うわよ、とっくに私は座ってたもの」
なんてこった、闇鍋だって言うのにちがう怖さが出てきやがった。取り敢えず俺は皆に確認を取ることにした。
「皆、座ってるよな?」
「ゆうとくん?」
「佑?」
「座ってるわ」
一応全員いることが確認された。でもじゃあさっきのはなんだったんだろうか。
「いいからさっさと始めるわよ。皆自分が買ってきたもの入れてみて」
ガスのちょっとした明かりを目印に食材を入れていく。俺はまともに白菜やキノコなどを入れていく。そして全員入れ終ったところで蓋をして5分ほど待つ。
「そろそろかしらね」
そう言って蓋を空けるといい匂いが教室中に広がった。これは案外期待できるかもしれない。
「誰から食べるんだ」
暗闇の中に向け問いかけると向かい側に座っているはずのめぐるから返事が帰ってくる。
「佑斗からよ」
「え……なんで俺なんだよ」
「面白いからよ」
くそ、暗くて見えないのにニヤニヤしたムカつく顔が浮かび上がってくる! おそるおそる鍋に箸を入れるがいきなりグニョンとした感触の物に触れた。
「食べられるもの……だよな」
感触からして恐らく隆也が買っていたケーキが考えられるがまぁ分からない。取り敢えず少しだけ自分の皿に取り分ける。
「はぁ……食わなきゃだめか」
「だめよ」
「頑張ってゆうとくん!」
赤井さんからも応援の声がとぶ。が、その時また今度は俺の後ろの方でギシッと床が軋むような音が聞こえた。
「おい……今誰か歩いてるのか? そ、そう言えば隆也の声が聞こえないが」
「僕は座ってるよ」
「いんのかよ……、あーもう!」
俺は二つの恐怖に耐えながら具材を口に運んだ。それはやはりケーキだったようで甘く少しとけ、スープは少し辛みをおび、溶け残ったであろう飴玉のシャリシャリ感。
「ぅ………………」
「ちょっ佑斗!?」
異変に気づいた皆が呼び掛けてくれる。しかし俺の意識は倒れていく椅子とは反対に天に昇っていくかの様にすぅーっと飛んでいく……はずだった。
「いだっ!」
そんな間の抜けた声が聞こえなければ。
「悪い、買い物してて遅れた」
「あ、ゆうとくん」
「遅い! どんだけ買い物に時間かかってんのよ」
かなり急いで来たつもりだったのだがめぐるさんは激おこだった。ストーブが点いてはいるがこの暖かさはそれによるものかもしれない。
「それがさ、たまたま朝日さんに会ってちょっと話してたんだ」
「朝日……?」
「ああーそう言えばお前は会ったこと無かったか」
「誰よそれ」
「朝日ちゃんは私の友達なんだよ、クラスも同じ」
俺の変わりに赤井さんが説明してくれた。そして付け足すように部活に誘ったが断られたことも話しておく。
「そうなんだ……」
「どうかしたか?」
一瞬雰囲気が変わったような気がしたので聞いてみたが勘違いだったようでいつもの様子で顔をあげた。
「それよりさっさと始めるわよ~、パーティーを」
それから俺たちは鍋を用意し、ほんとに許可を取れたのか疑問だがガスコンロも火が点くか確認して机の真ん中に置いた。そして皆に分からないように袋に入れられた各々の選んだ食材が置かれる。
「あー普通に鍋が良かったな」
「まぁ、確かに。でもこれはこれで楽しそうじゃん」
隆也は何時もより少しテンションが上がっている様子だ。赤井さんを見てみてもピョコピョコ、アホ毛が動いてるのを見るに楽しんでいるようだった。
「じゃあ皆ー席について~」
めぐるの掛け声で鍋を囲むように席につくとすぐに電気が消されて真っ暗になる。
「おぉ暗いな」
すでに外は太陽が沈みカーテンも閉められているため月明かりすら入ってこない。
「みんな~いるよね~」
赤井さんのそんな心細そうな声が聞こえてくる。
「大丈夫だよ赤井さん」
隆也が優しく返事をする。それと同じくしてめぐるも席についたのかガタッと椅子を引く音がした。と思ったのだが
「誰か席を立ったの?」
そう言ったのはめぐるだった。
「え、今座ったのめぐるじゃないのか?」
「違うわよ、とっくに私は座ってたもの」
なんてこった、闇鍋だって言うのにちがう怖さが出てきやがった。取り敢えず俺は皆に確認を取ることにした。
「皆、座ってるよな?」
「ゆうとくん?」
「佑?」
「座ってるわ」
一応全員いることが確認された。でもじゃあさっきのはなんだったんだろうか。
「いいからさっさと始めるわよ。皆自分が買ってきたもの入れてみて」
ガスのちょっとした明かりを目印に食材を入れていく。俺はまともに白菜やキノコなどを入れていく。そして全員入れ終ったところで蓋をして5分ほど待つ。
「そろそろかしらね」
そう言って蓋を空けるといい匂いが教室中に広がった。これは案外期待できるかもしれない。
「誰から食べるんだ」
暗闇の中に向け問いかけると向かい側に座っているはずのめぐるから返事が帰ってくる。
「佑斗からよ」
「え……なんで俺なんだよ」
「面白いからよ」
くそ、暗くて見えないのにニヤニヤしたムカつく顔が浮かび上がってくる! おそるおそる鍋に箸を入れるがいきなりグニョンとした感触の物に触れた。
「食べられるもの……だよな」
感触からして恐らく隆也が買っていたケーキが考えられるがまぁ分からない。取り敢えず少しだけ自分の皿に取り分ける。
「はぁ……食わなきゃだめか」
「だめよ」
「頑張ってゆうとくん!」
赤井さんからも応援の声がとぶ。が、その時また今度は俺の後ろの方でギシッと床が軋むような音が聞こえた。
「おい……今誰か歩いてるのか? そ、そう言えば隆也の声が聞こえないが」
「僕は座ってるよ」
「いんのかよ……、あーもう!」
俺は二つの恐怖に耐えながら具材を口に運んだ。それはやはりケーキだったようで甘く少しとけ、スープは少し辛みをおび、溶け残ったであろう飴玉のシャリシャリ感。
「ぅ………………」
「ちょっ佑斗!?」
異変に気づいた皆が呼び掛けてくれる。しかし俺の意識は倒れていく椅子とは反対に天に昇っていくかの様にすぅーっと飛んでいく……はずだった。
「いだっ!」
そんな間の抜けた声が聞こえなければ。
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