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ちっちゃなストーカー③
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『ストーカー』
と聞くとどんなのを思い浮かべるだろうか。おそらく、しつこくて何処までも追ってくるような怖いものを思い浮かべてるのではと思う。そしてそれはほとんどの場合その通りだろう。
「ねぇ、あれ」
お昼を食べていると隆也が後ろの方を指差した。そこには俺たちと同じようにお昼を食べる赤井さんがいる。
「こっち……見てるな」
「そうだね……」
ただ目が合うとすぐにそらされてしまう。それどころか未だに話しかけようとすると逃げられてしまう。
「でも逆にすごいね。休み時間のたびに来てるんだもん」
「まぁ、確かにな。こっちは気になって仕方がないが」
部室で逃げられてから赤井さんは俺をつけるようになった。と言っても家までついてくるわけではないし学校の中でだけだが。
「でもほんとに何でストーカーなんてしてるんだろうね?」
「知らないよ。俺はあの時ぶつかっただけなんだから」
「だよねぇ」
一応赤井さんのクラスに行ってみた所、話を聞く限りではかなりの怖がりで男の子なんかとは特に上手く話せないそうだ。
「どうすっかなぁー」
あれから色々と考えた結果、特にいい案は思いつかず家に帰ってきてしまった。まだ部活が正式に始まったわけでもないのでそちらに行く必要もない。
「遅かったわね」
玄関の鍵を開けようとしたところでそんな風に声をかけられた。
「めぐる!? 何やってんだこんなとこで?」
「あんたを待ってたのよ」
「ちょっと考え事をしてたんだ。つか、教室が同じなんだから用があるなら一緒に帰るなり言うなりできただろ」
「…………いいでしょ別に。暇になっちゃったのよー!」
そう言いながら俺の背中を押してくるめぐる。仕方なく鍵を開け中に入ると中は当たり前だがまっ暗だ。
電気をつけ自分の部屋に向かおうと階段を上りドアの前に来たところでついてきためぐるに向き直った。
「どこまでついてくるんだ……」
「いいでしょ、別に部屋に入ったって。それとも何かまずいことでもあるの?」
「そんなことはないけど」
「はい、じゃあ決定ねー」
まだ許可した訳でもないのにめぐるは勝手に入っていってしまった。全くほんとに勝手なやつだよ。
「それにしても物が少ないわね」
「うるさいな、文句があんなら出ていってくれ」
「分かったわよ」
こいつは一体何しに来たんだ。部屋まで入ってきたが特に何か話があるわけではないらしい。玄関で言ってた通りやっぱりただの暇潰しなんだろうか。現在もこうして机のしたに頭を突っ込んでいる。
「…………? 突っ込んでいる…………って何やッてんだお前!」
「えっ? あっ、いっ~~~~~」
俺が急に大声をだしたことで驚いためぐるが頭を机にぶつけた。
「急に大声をださないでよ! いったぁ~」
「変なことをしてるからだ。そんなとこで何やってたんだよ」
「ちょっと探し物よ…………」
「探し物?」
一体何を探してると言うのか、まさかエロ本とか言わないよな。持ってないからね、俺は。
「そう、ペンダント……。佑斗、あんたいつも身に付けてたじゃない!?」
興奮して詰めよってきためぐるはそんなことを言った。
「ペンダント? あ……あれか、中学の頃お前がくれたやつ」
「そう、それ! どこにやったの?」
俺は昔めぐるからペンダントをもらった。チェーンに一つ水色がかった透明なリングが付いているもので不思議なことにそのリングは冷たかった。まるで氷のように。
「あれなら勿論持ってるぞ。お前が持ってろって言うから」
そう言ってさっきまで通学のために持っていた鞄の中に手を突っ込む。学校では規則的につけない方がいいと思って入れてあったからだ。
「あれ……?」
「ど、どうしたの?」
「ない」
「は?」
「いや、だから……ない」
鞄をひっくり返してもやっぱり出てこない。学校で出した覚えもないしもしかしたら何かの拍子に落としたのかもしれない。
「落としたっぽいな」
「ぽいな…………っじゃないわよ! 探しなさい!」
めぐるが立ち上がって一気に詰めよってきた。近いです、怖いです、やめてくださーい。
「お、落ち着けめぐる!」
「落ちつけないわよ、ちゃんと持ってなさいって言ったでしょ!」
「わ、分かったから探すから一旦本当に落ちついてくれ」
何とか興奮しためぐるを説得する。すると数秒をかけてだんだんと冷静になってきたのか、ゆっくりと腰を下ろした。
「ごめん。取り敢えず……家の中を探しましょう」
と聞くとどんなのを思い浮かべるだろうか。おそらく、しつこくて何処までも追ってくるような怖いものを思い浮かべてるのではと思う。そしてそれはほとんどの場合その通りだろう。
「ねぇ、あれ」
お昼を食べていると隆也が後ろの方を指差した。そこには俺たちと同じようにお昼を食べる赤井さんがいる。
「こっち……見てるな」
「そうだね……」
ただ目が合うとすぐにそらされてしまう。それどころか未だに話しかけようとすると逃げられてしまう。
「でも逆にすごいね。休み時間のたびに来てるんだもん」
「まぁ、確かにな。こっちは気になって仕方がないが」
部室で逃げられてから赤井さんは俺をつけるようになった。と言っても家までついてくるわけではないし学校の中でだけだが。
「でもほんとに何でストーカーなんてしてるんだろうね?」
「知らないよ。俺はあの時ぶつかっただけなんだから」
「だよねぇ」
一応赤井さんのクラスに行ってみた所、話を聞く限りではかなりの怖がりで男の子なんかとは特に上手く話せないそうだ。
「どうすっかなぁー」
あれから色々と考えた結果、特にいい案は思いつかず家に帰ってきてしまった。まだ部活が正式に始まったわけでもないのでそちらに行く必要もない。
「遅かったわね」
玄関の鍵を開けようとしたところでそんな風に声をかけられた。
「めぐる!? 何やってんだこんなとこで?」
「あんたを待ってたのよ」
「ちょっと考え事をしてたんだ。つか、教室が同じなんだから用があるなら一緒に帰るなり言うなりできただろ」
「…………いいでしょ別に。暇になっちゃったのよー!」
そう言いながら俺の背中を押してくるめぐる。仕方なく鍵を開け中に入ると中は当たり前だがまっ暗だ。
電気をつけ自分の部屋に向かおうと階段を上りドアの前に来たところでついてきためぐるに向き直った。
「どこまでついてくるんだ……」
「いいでしょ、別に部屋に入ったって。それとも何かまずいことでもあるの?」
「そんなことはないけど」
「はい、じゃあ決定ねー」
まだ許可した訳でもないのにめぐるは勝手に入っていってしまった。全くほんとに勝手なやつだよ。
「それにしても物が少ないわね」
「うるさいな、文句があんなら出ていってくれ」
「分かったわよ」
こいつは一体何しに来たんだ。部屋まで入ってきたが特に何か話があるわけではないらしい。玄関で言ってた通りやっぱりただの暇潰しなんだろうか。現在もこうして机のしたに頭を突っ込んでいる。
「…………? 突っ込んでいる…………って何やッてんだお前!」
「えっ? あっ、いっ~~~~~」
俺が急に大声をだしたことで驚いためぐるが頭を机にぶつけた。
「急に大声をださないでよ! いったぁ~」
「変なことをしてるからだ。そんなとこで何やってたんだよ」
「ちょっと探し物よ…………」
「探し物?」
一体何を探してると言うのか、まさかエロ本とか言わないよな。持ってないからね、俺は。
「そう、ペンダント……。佑斗、あんたいつも身に付けてたじゃない!?」
興奮して詰めよってきためぐるはそんなことを言った。
「ペンダント? あ……あれか、中学の頃お前がくれたやつ」
「そう、それ! どこにやったの?」
俺は昔めぐるからペンダントをもらった。チェーンに一つ水色がかった透明なリングが付いているもので不思議なことにそのリングは冷たかった。まるで氷のように。
「あれなら勿論持ってるぞ。お前が持ってろって言うから」
そう言ってさっきまで通学のために持っていた鞄の中に手を突っ込む。学校では規則的につけない方がいいと思って入れてあったからだ。
「あれ……?」
「ど、どうしたの?」
「ない」
「は?」
「いや、だから……ない」
鞄をひっくり返してもやっぱり出てこない。学校で出した覚えもないしもしかしたら何かの拍子に落としたのかもしれない。
「落としたっぽいな」
「ぽいな…………っじゃないわよ! 探しなさい!」
めぐるが立ち上がって一気に詰めよってきた。近いです、怖いです、やめてくださーい。
「お、落ち着けめぐる!」
「落ちつけないわよ、ちゃんと持ってなさいって言ったでしょ!」
「わ、分かったから探すから一旦本当に落ちついてくれ」
何とか興奮しためぐるを説得する。すると数秒をかけてだんだんと冷静になってきたのか、ゆっくりと腰を下ろした。
「ごめん。取り敢えず……家の中を探しましょう」
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