【R18】無垢な花嫁は、青焔の騎士に囚われる

第4章 結婚後の求婚

第28話 夫は気持ちを自覚する？（中編）4※

　あの後、ふらふら彷徨うフィオーレの後ろを、デュランダルの部下である体格の良い騎士が着いて来ていた。
　
　それを見て、慌てた騎士は、フィオーレを医務室へと連れてきたのだった。

「大丈夫ですか、フィオーレ姫」

　彼の問いに答える気力が、彼女にはなかった。
　ベッドに腰かけたフィオーレは、亜麻色の緩やかな髪に触れながら途方に暮れる。

（デュランダル様に印を届けに来ただけだったのに――あの方が、胸の病かもしれないことが分かってしまうなんて――身体がお辛いのに、デュランダル様は私を毎晩抱きしめてくれていたの――？）

　胸の病だったからこそ、最近、彼は辛そうな表情を浮かべていたのだ――。

（全然気づけないなんて、勉強しても何も意味がない……私がまだまだ子どもで頼りないから、デュランダル様も言い出しづらかった――？）

　フィオーレの思考はまとまらない。

（――もう、私から誰も奪わないで――）

　フィオーレの黄金の瞳に涙が浮かぶ。
　悲嘆にくれる彼女が、胸の前でぎゅっと両手を組んだところ――。

「フィオ！」

　彼女の願いに答えるかのように、デュランダルが医務室の中へと駆け込んできた。

　彼の姿を確認すると、医務室から騎士が姿を消す。

　部屋の中には、フィオーレとデュランダルの二人きりになった。

「フィオ、印をわざわざ届けに来てくれたんだろう？」

　ベッドに座る彼女の隣に腰かけたデュランダルは、優しい声音で妻に問いかけた。
　瞳を潤ませながら、フィオーレはこくんと頷く。

　彼女の目じりに、彼がちゅっと口づける。

「泣いているけど、どうしたんだ――？」

　心配したデュランダルがフィオーレに問いかけたが、返事はなく、彼女は黙って涙を流していた。

　フィオーレはぽつりと口にする。


「デュラン様まで、いなくならないで――」


　彼女の問いを聞いたデュランダルは、フィオーレを抱きしめる。

「フィオ、俺はどこにもいなくならない――」

　そうして彼女の唇は、彼のそれで塞がれる。
　二人の唇が触れては離れることを繰り返した後、深い口づけに移行する。
　薬品の匂いのする医務室で、くちゅくちゅと、二人が口づけ合う音が聴こえた――。

「お前が嫌がっても、俺は絶対にお前から離れる気はねぇ」

　そっと、デュランダルがフィオーレをベッドに横たえると、彼女の亜麻色の髪がシーツの上に波のように広がる。
　ゆっくりと、彼は彼女の首筋に吸い付き、白い肌に花びらを散らしていく――。

「んっ、あ、デュランさまっ、本当に――？」

　喘ぐフィオーレは、デュランダルの頬に触れながら、問いかける。

　彼女の唇にちゅっと口づけを落とした後、デュランダルが返す。


「本当だ――俺の可愛いフィオーレ――」


　そう言うと、デュランダルは彼女の二つの膨らみにゆっくりと手を伸ばす。


「んっ、あ、あ、デュラン様――」


　そうして王城の医務室の中で、誤解し合っている二人は、密やかに情事を始めたのだった――。