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特別編4-2 やったー! おにいちゃんを つかまえたぞ!※
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※※※
そうして数日後――。
シルヴァお兄ちゃんに連れられて、私はとある場所へと向かった。
そこは以前来たことのある場所だ。
霊峰へと向かう途中にある、林の群生地。
川で足を洗った後、そっとシルヴァに口づけられた日のことを思い出す。
「お兄ちゃん、どうしてこんなところに……?」
だが、彼は黙って私の手を引くだけだ。
不思議に思っていると開けた場所に出た。
そこには――。
「わあ……!」
見渡す限り可憐な花が咲き乱れる場所。
白く、甘い香りを放つ、その花は――。
「――ハルジオン?」
可憐な小さな花がさやさやと風に揺れ動く。
そうして、その花々の向こうには――。
「お姉ちゃん!」
「天使のお姉ちゃん、良かった!」
「皆、どうしたの?」
孤児院の子どもたちが何人も立って待っていたのだった。
彼らは私に近付くと、シルヴァお兄ちゃんから引き離して花の方へと連れて行く。
「お姉ちゃん、今日は何の日だか、覚えてないの――?」
「ふふふお姉ちゃんったら、忘れっぽいんだから」
子どもたちが口々に言うが、何の日だっただろうか――。
「あ!」
思い出した、そうだ、今日は――。
「リモーネ、お前の誕生日だよ」
シルヴァお兄ちゃんが昔のように爽やかに笑っている。
言われるまで忘れてしまっていた。
すると、子どもたちがくすくすと笑う。
「やっぱりね、リモーネお姉ちゃんったら」
シルヴァが彼女たちの後を継いだ。
「孤児院の子たちが、いつもお世話になっているリモーネに、何かプレゼントしたいと言っていたんだ。あと、驚かせたいって――俺たちが結婚する前から、花の種を植えたりしていたみたいでな――とはいえ、毎日管理には来れない。だから、俺が代わりに毎日、花の様子を見に来ていたんだ」
(そうだったの――!)
だから、最近のシルヴァは城とは反対に向かっていたのだ。
そうして、子どもたちが誕生日を祝う歌を一斉に歌いはじめた。
じわじわと彼らの厚意が胸にしみわたってきて、だんだん視界が滲んでくる。
「皆、ありがとう……」
婚約破棄の後、根も葉もない噂を流され、使用人たちも去り、孤独になった日。
あれからしばらくが経ち、シルヴァと結婚し、子どもたちにも囲まれている現在。
涙が零れて止まらない。
「ありがとう、本当に……皆、ありがとう……」
そんな私を見て、子どもたちがシルヴァをせっついた。
「ほら、変態のお兄ちゃん、リモーネお姉ちゃんのところに行ってあげて!」
子どもたちに促され、シルヴァが私の元へと近づいてくる。
「リモーネ」
そうして寡黙で不愛想な夫が、私のことをそっと抱きしめてきた。
子どもたちからは歓声が沸く。
「これから先、どれだけ年を重ねてもお前だけを愛しているよ」
「シルヴァお兄ちゃん……」
花の甘い香りと子どもたちの明るい声に包まれて、幸せな誕生日を迎えることが出来たのでした。
――子どもが出来たお祝いは、また別の日のお話。
そうして数日後――。
シルヴァお兄ちゃんに連れられて、私はとある場所へと向かった。
そこは以前来たことのある場所だ。
霊峰へと向かう途中にある、林の群生地。
川で足を洗った後、そっとシルヴァに口づけられた日のことを思い出す。
「お兄ちゃん、どうしてこんなところに……?」
だが、彼は黙って私の手を引くだけだ。
不思議に思っていると開けた場所に出た。
そこには――。
「わあ……!」
見渡す限り可憐な花が咲き乱れる場所。
白く、甘い香りを放つ、その花は――。
「――ハルジオン?」
可憐な小さな花がさやさやと風に揺れ動く。
そうして、その花々の向こうには――。
「お姉ちゃん!」
「天使のお姉ちゃん、良かった!」
「皆、どうしたの?」
孤児院の子どもたちが何人も立って待っていたのだった。
彼らは私に近付くと、シルヴァお兄ちゃんから引き離して花の方へと連れて行く。
「お姉ちゃん、今日は何の日だか、覚えてないの――?」
「ふふふお姉ちゃんったら、忘れっぽいんだから」
子どもたちが口々に言うが、何の日だっただろうか――。
「あ!」
思い出した、そうだ、今日は――。
「リモーネ、お前の誕生日だよ」
シルヴァお兄ちゃんが昔のように爽やかに笑っている。
言われるまで忘れてしまっていた。
すると、子どもたちがくすくすと笑う。
「やっぱりね、リモーネお姉ちゃんったら」
シルヴァが彼女たちの後を継いだ。
「孤児院の子たちが、いつもお世話になっているリモーネに、何かプレゼントしたいと言っていたんだ。あと、驚かせたいって――俺たちが結婚する前から、花の種を植えたりしていたみたいでな――とはいえ、毎日管理には来れない。だから、俺が代わりに毎日、花の様子を見に来ていたんだ」
(そうだったの――!)
だから、最近のシルヴァは城とは反対に向かっていたのだ。
そうして、子どもたちが誕生日を祝う歌を一斉に歌いはじめた。
じわじわと彼らの厚意が胸にしみわたってきて、だんだん視界が滲んでくる。
「皆、ありがとう……」
婚約破棄の後、根も葉もない噂を流され、使用人たちも去り、孤独になった日。
あれからしばらくが経ち、シルヴァと結婚し、子どもたちにも囲まれている現在。
涙が零れて止まらない。
「ありがとう、本当に……皆、ありがとう……」
そんな私を見て、子どもたちがシルヴァをせっついた。
「ほら、変態のお兄ちゃん、リモーネお姉ちゃんのところに行ってあげて!」
子どもたちに促され、シルヴァが私の元へと近づいてくる。
「リモーネ」
そうして寡黙で不愛想な夫が、私のことをそっと抱きしめてきた。
子どもたちからは歓声が沸く。
「これから先、どれだけ年を重ねてもお前だけを愛しているよ」
「シルヴァお兄ちゃん……」
花の甘い香りと子どもたちの明るい声に包まれて、幸せな誕生日を迎えることが出来たのでした。
――子どもが出来たお祝いは、また別の日のお話。
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東堂明美様、ご感想ありがとうございます(*'ω'*)
リモーネに嫌われていると思い込んで、爵位目当てと言ってしまった頓珍漢なシルヴァですが、無事に二人が本当の夫婦になって、作者としても安心しました♪
セピアとクラーケはもう仕方ないかなと……。
恋のキューピッドになった孤児院の子どもたちは環境ゆえにわりとませてるのかも(^^)
ご感想嬉しかったです、ありがとうございます♪
さえりんこさん、ご感想ありがとうございます。
作者が執筆10か月、40作品目という節目、自己主張の強いヒロインが多かったため、成長過程で自己主張がうまく出来なくなった女性としてリモーネは設定しました。
医師でないと診断が許されていないため、リモーネが精神障害かは定かではありません。ですが、さえりんこ様のおっしゃる通り、リモーネは自己主張がうまくできないため、幼児期の課題を上手に乗り越えられなかった可能性は高いです。
シルヴァはリモーネが弱っているところに漬け込んでいるのは間違いありません。
おっしゃる通り、類似性の高いもの同士が惹かれ合いやすいといわれていますね(*^^*)
最後まで熱心にお読みいただきまして、本当に感謝しております。
みこと様、ご感想ありがとうございます(*^^*)
やはり、皆クズに見えますよね……
作品のテーマが「嘘」や「見栄」で、キャラの皆が皆何かしら嘘をついたり、本心を隠していたりしています。
唯一リモーネが頼っていいのか怪しい相手役のシルヴァ。彼も「嘘」や「本心を隠す」ことを乗り越えていきます。
ぜひ続きもお読みいただけたら幸いです♪