【R18】悪役令嬢は騎士の腕の中で啼く――婚約破棄したら、爵位目当ての騎士様に求婚されました――

おうぎまちこ(あきたこまち)

文字の大きさ
上 下
51 / 60

おまけ お兄ちゃんはもう卒業です!?※

しおりを挟む



 結婚式が終わった後も、しばらくの間、私とシルヴァの二人は、教会で情事を重ねていた。
 太陽はもう沈んでしまっている。シルヴァの銀の髪も、月明かりに照らされて、少しだけ金を反射している。
 教会の中には、花の香りが漂ったままだ。

「リモーネ……」

「あっ……おにぃ……っ」

 ギシギシと木で出来た聖壇が軋む。
 私の身体の上に跨るシルヴァの首にぎゅっと腕をまわしたまま。
 激しく彼に腰を撃ちつけられ、触れ合う肌と濡れた粘膜同士の擦れる音が、パンパン、じゅぶじゅぶと、神聖な場所に響いていた。

「あ、あっ、シルヴァ……お兄……ああっ……!」

「俺の可愛いリモーネ――愛してる――」

 そうして、もう今日だけで何度目かは分からない精を、胎内に向かって大量に注がれる。
 彼の騎士団のコートも、私の純白のウェディングドレスも、ぐちゃぐちゃに互いの体液で汚れてしまっていた。

「は……シルヴァおにぃちゃん……」

「リモーネ……何度抱いても飽き足りない――愛してる――」

 荒い呼吸のまま、シルヴァが私の唇を塞ぐ。
 くちゅくちゅと舌を絡ませ合った後、ゆっくりと離れた。
 しばらく抱きしめ合い、余韻に浸っていると、シルヴァが声をかけてくる。

「なあ、リモーネ……」

「なあに、お兄ちゃん……」

「その――」

 ちらりとシルヴァは視線をそらす。普段は寡黙で不愛想なシルヴァが、何やらもじもじとしていた。

「シルヴァお兄ちゃんと呼ばれるのも、もちろん嬉しいんだが――その……」

 言葉につまりながら、シルヴァが口にしたのは――。

「夫婦になったわけだから、こう、呼び捨てにしてもらっても、いいわけで……たまにで……いいから」

 彼はもごもごと呟いた。

(確かに、ずっとお兄ちゃんと呼ぶのも、周りが変だと思うのかしら)

 聖壇の上で抱きしめ合ったまま、私は彼に向かって口を開く。

「シルヴァ――」

 夫の顔がぱぁっと明るくなる。

「――お兄ちゃん――」

 シルヴァの顔が一気に翳った。

(シルヴァお兄ちゃん、一喜一憂してる……)

 気を取り直して、もう一度名を呼ぶことにした。

「シルヴァ――」

 また、夫の顔がぱぁっと明るくなる。

「――お兄ちゃん――」

 再び、シルヴァの顔が一気に翳った。

「シルヴァ――」

 何度か同じやりとりを繰り返していると――。

「リモーネ、俺をからかって遊ぶのはやめてくれ――!」

 ついに、シルヴァが憤慨した。
 寡黙だと言われている彼の面白い一面を、自分だけが知っているのだと思うとおかしくて、くすくすと笑う。


「ごめんなさい、つい――これからもよろしくね、シルヴァお兄ちゃん――じゃなくて――」

 私は自分から彼にちゅっと口づけた。


「――シルヴァ――」


「リモーネ――!」

「きゃっ――!」

 感極まったシルヴァは、私をまたがばっと聖壇に押し倒した。

「もう一度、名を呼んでくれないか?」

「シルヴァ――んっ……」

 彼が唇を塞ぐ。離れると――。

「もう一度――」

「シルヴァ――んんっ――」

 より深い口づけが訪れる。

「リモーネ……愛している――名前を呼ばれたら、もう一度、お前を抱きたくなった――良いだろうか――?」

(ええっ――! もう何回目なの――!?)

 戸惑いはしたものの、私はこくりと頷いた。


「はい、お願いします、シルヴァ――ああっ……!」

 まだつながったままだった結合部が、ぐちゅりと音を立てた。


「ああ、愛してる――リモーネ――」


 そうしてまた、神聖な場での、二人の情事は再開される――。


※※※



 ちなみに――呼び慣れていないので、時々シルヴァお兄ちゃん呼びにいきつ戻りつ、数年かけて、徐々に彼の名前だけを呼べるようになったのでした。


しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

婚活に失敗したら第四王子の家庭教師になりました

春浦ディスコ
恋愛
王立学院に勤めていた二十五歳の子爵令嬢のマーサは婚活のために辞職するが、中々相手が見つからない。そんなときに王城から家庭教師の依頼が来て……。見目麗しの第四王子シルヴァンに家庭教師のマーサが陥落されるお話。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【完結】妻至上主義

Ringo
恋愛
歴史ある公爵家嫡男と侯爵家長女の婚約が結ばれたのは、長女が生まれたその日だった。 この物語はそんな2人が結婚するまでのお話であり、そこに行き着くまでのすったもんだのラブストーリーです。 本編11話+番外編数話 [作者よりご挨拶] 未完作品のプロットが諸事情で消滅するという事態に陥っております。 現在、自身で読み返して記憶を辿りながら再度新しくプロットを組み立て中。 お気に入り登録やしおりを挟んでくださっている方には申し訳ありませんが、必ず完結させますのでもう暫くお待ち頂ければと思います。 (╥﹏╥) お詫びとして、短編をお楽しみいただければ幸いです。

処理中です...