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おまけ(本編最終回直後の教室)
1※※
しおりを挟む夕暮れ時の教室。
ダイヤの婚約指輪が輝く左手の薬指を右手指で何度か擦る。
ついさっき大牙くんからプロポーズされて嬉しくて勝手に頬が緩んでしまう。
高校時代の悲しい思い出が上書きされたみたいで嬉しくて仕方がない。
ちょうど完全下校の放送が鳴り響きはじめた。
「もう時間だね、大牙くん、帰ったら好物のビーフシチューを作るから」
「まゆりちゃん……」
「え?」
ふっと影が差したかなと思うと、大牙くんに口づけられていた。
軽めのキスを何度か交わした後にハッと正気に戻る。気恥ずかしくて頬を赤らめながら大牙くんに告げた。
「大牙くん、学校はダメだっていつも言ってるでしょう? ひゃっ……」
大牙くんの身体が覆いかぶさってきて、背後にある椅子にお尻がコツンとぶつかった。そのまま机の上に背中を預ける格好になってしまう。彼の長い指が伸びてきて、ポニーテールの結び目をはらりと解かれる。
「大牙くん……?」
「髪の毛おろすと、高校時代に戻ったみたいだね」
「え……?」
今は授業中に邪魔になるからと思って結んでるけど、確かに昔の私は髪を降おろしてた。
斜陽に照らされた大牙くんの顔は高校時代に比べるとやけに色っぽく見えるし、あまりにも真っすぐに私を捕えてくるものだから、どけてっていうタイミングを失ってしまった。
あげく、身体を密着されてしまってドキドキして落ち着かなくなってくる。そうこうしていると、戸惑う暇もなく大牙くんの唇に唇を塞がれてしまう。
「んんっ……」
何度も角度を変えて口づけられて、相手の舌がぬるりと侵入してくると、息継ぎする間もなくどんどん深く侵入してくるものだから、そのまま抵抗できなくなる。
「ふあっ……大牙くん……」
「はあ……まゆりちゃん……」
ひとしきり貪られた後、なんとか相手の唇から解放された。口づけ合った後が分かる銀糸が伸びてなんだか気恥ずかしさが増す。肉食獣みたいに舌なめずりした大牙くんが、吐息を孕んだまま告げてくる。
「学生時代のまゆりちゃん、すごく可愛くて、いつもこんな風にしたかったけど嫌われるのが嫌だったから、ずっと我慢してたんだけど気づいてた?」
「こんな風……? きゃっ……」
気づけば白シャツの釦を大牙くんがプチンプチンと外しはじめた。
「そう、こんな風に」
「……本当に待って、大牙くん……」
器用に釦を外されてしまうと、胸元が露わになってしまう。
「もしかして気付いてなかった? まゆりちゃん、俺以上に無防備なんだもん……」
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