【R18】奪いにきたのは獣な元カレ 昼は教師で夜はヤクザに豹変する若頭の十年愛

おうぎまちこ(あきたこまち)

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大牙side

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 高校入学後しばらくして、龍ヶ崎組の都合もあって授業を欠席することになった。ちょうど学級委員をしていた女子生徒がコピーをとってくれてたのだ。
 自分の気を引くために中学時代もよくそういう手段をとっていたので、その女子生徒も大牙の気をひくためにおこなったのだと思った。
 高校入ってすぐだしと思って、その女子生徒――どうやら兎羽まゆりというらしい――に気まぐれに飴を差し出した。

『兎羽まゆりさん、俺の分までプリントありがとう。お礼にこれ上げる』

『え? ああ、ありがとう』

 普段の女子生徒だったら赤面して受け取るのだけど――

『龍ヶ崎くん、学校におやつは持ってきちゃダメだよ』

 衝撃だった。

(なんだろう、あの子、俺に注意してくるとか……誰かに注意されたりとか、学校の先生からだってないのに……)

『女の人に怒られたの、初めて……』

 その日はモヤモヤするのと同時になぜだかドキドキして夜眠ることができなかった。
 数日後、大牙はまゆりに再度声をかけてみることにした。自分から女性に声をかけるだなんて滅多にないのに。

『ねえねえこの音楽、可愛いんだよ、まゆりさんも聞いちゃう?』

 コードありのイヤホンの片耳を貸してみた。女子がこういうのが好きだって知ってたから、これをやれば兎羽まゆりから面白い反応がもらえるかもしれない。
 そうして、片耳を借りて一緒に音楽を聞いたら嬉しそうにしていたけれど――

『龍ヶ崎君、この曲なんていうの? いい曲だね、お家でも聞いてみるよ。ありがとう』

 ――と言い残して颯爽と去って行った。

 誰からも好かれてきた大牙の中でモヤモヤが強くなっていく。

(なんだろう、あの子、兎羽まゆり……なんだか調子狂うな……)

 気づいたら相手の一挙手一投足が気になって観察するようになってしまっていた。
 どうやら彼女は色んな人に対して優しいタイプのようだ。
 困っている人を見ると声をかけずにはいられない。
 入学当初、自分の気を引くためにコピーをとってくれたわけじゃないんだなと思うと、大牙の中で妙な落胆に襲われてしまった。
 最初は、自分に注目してくれないのが嫌なのかなと思った。

(だったら話は簡単だ。これまでの女の子たちは俺に構ってもらうために告白してきてたわけだし、俺の方から告白したら、あの兎羽まゆりも他の女子たちみたいに、俺の方を見てくれるようになるはず)

 女子生徒の気を引く方法なんて簡単だ。
 そんな気持ちで大牙はまゆりに告白することにしたのだ。


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