【R18】奪いにきたのは獣な元カレ 昼は教師で夜はヤクザに豹変する若頭の十年愛

おうぎまちこ(あきたこまち)

文字の大きさ
上 下
13 / 45
本編

13※

しおりを挟む



 犬塚さんの相談内容をにわかに信じられないまま帰路につくことになった。
 たまたま校門前に大牙くんの実家の黒いリムジンがお迎えに来てたんだけど……
 悩みに耽っていたら、私もなぜか大牙くんと一緒に後部座席に乗って帰ることになってしまった。
 やけに強面の運転手さんがものすごい角度で頭を折って挨拶してたのが印象的だった。
 ふかふかのソファにキラキラした照明のある車とか、生まれて初めて乗って本当は感動したいんだけど……

『同級生の鶏川がいるじゃん? どうも牛口先生のことが好きみたいで一緒に遊びに行ったりしたこともあるらしいんだけど、なのにね――』

 ――どうやら、牛口先生、高校生に自分を好きになるように仕掛けた後に、売春の斡旋をしているのだというのだ。
 だけど、ヤクザと裏で繋がっているとかなんとかで、騙された女子高校生たちは泣き寝入りをしているのだという。

(牛口先生が、そんなひどいことをする人だなんて思わなかった……)

「まゆりちゃん」

 隣に座る大牙くんが耳元で囁いてくるものだから、身体がビクンと跳ね上がってしまった。

「え? あ、大牙くん、ごめんね」

 謝る私に向かって大牙くんが問いかけてくる。

「さっきの犬塚さんの話が気になってるの?」

 まっすぐな瞳で見つめられたら嘘はつけない。

「……実はそうなの」

「それはさ、元婚約者の牛口先生の話だから気になるの? それとも、話の内容自体に結構問題ありだから気になるの?」

 大牙くんの機嫌が少しだけ悪い気もする。
 だけど、相手の機嫌を伺ったからじゃなくて本心を口にすることにした。

「教育者として話の内容に、かな」

 そう、大牙君がきてからというもの振り回されぱなしで、いつのまにか牛口先生と婚約破棄したことなんて、どこかに飛んでしまっていた。
 それよりも、教師としてあるまじき行いをしている相手をどうにかしないといけないという正義感の方が現在は勝っていた。
 思わず拳をぎゅっと握って宣言する。

「絶対にダメだよ、どうにかしなきゃ。これ以上被害者を出しちゃダメ!」

「ふふ、相変わらず、猪突猛進だなあ、まゆりちゃんはさ」

 なぜだか大牙君は私を見て嬉しそうに微笑んでいた。
 ふっと真面目な表情になったかと思うと、大牙くんの長い指が私の髪の先端をくるくると弄り始める。

「昔と変わってないね。俺の大好きなまゆりちゃんは相変わらずカッコイイや」

 ――かっこいい。
 仮にも女性だけれど誉め言葉として受け取っても良いものだろうか?
 そうは思ったけれど、大牙くんの顔ときたら蕩けるような笑顔を浮かべていて、思わず胸がきゅんと高鳴った。
 そうして、彼の指が私の頬にかかったかと思うと――

(あ……)

 大牙くんの綺麗な顔が近づいてきて……

 キスされる。

 そう思った時には、唇に柔らかなものが触れていた。
 もちろんそれは大牙くんの唇。

 一度離れたかなと思ったけれど、再び唇を重ねられる。

 今度はさっきよりも長い長い時間。
 心臓が壊れてしまうんじゃないかっていうぐらい長い長いキス。
 そうしてまた離れて――

 触れ合うだけのキスを何度か繰り返していたら、ぎゅっと腰に腕を回されて、そのまま大牙くんに抱き寄せられてしまった。なんだか夢見心地で頭の芯がボウッとなる。

「ん……」
 
 密着する格好になったかと思うと、首筋を甘噛みされてしまって甘ったるい声が漏れ出てしまって、ビクンと背中を仰け反らせてしまう。そうしたら逃さないといわんばかりに、大牙くんの唇が肌の薄いところを強く吸ってきた。

「あ……んんっ……」

 ビクビク身体を震わせていると――熱を孕んだ吐息のまま、大牙くんが告げてくる。

「ねえ、まゆりちゃん……あいつの悪事をどうにかするのに協力したら、デートに加えて僕にご褒美をくれる?」

「え?」

「そうして――なんの心配もなく幸せなクリスマスを一緒に過ごそう、まゆりちゃん」

 この時、大牙くんから思いがけない取引を持ち掛けられて――

 そうして――

 人生で一番衝撃的で幸せなクリスマスを大牙くんが演出してくれるなんて、私は知らなかったんだ。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

鬼上官と、深夜のオフィス

99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」 間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。 けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……? 「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」 鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。 ※性的な事柄をモチーフとしていますが その描写は薄いです。

義兄の執愛

真木
恋愛
陽花は姉の結婚と引き換えに、義兄に囲われることになる。 教え込むように執拗に抱き、甘く愛をささやく義兄に、陽花の心は砕けていき……。 悪の華のような義兄×中性的な義妹の歪んだ愛。

お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜

Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。 渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!? 合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡―― だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。 「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき…… 《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

処理中です...