【R18】身代わり令嬢は、銀狼陛下に獣愛を注がれる

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「俺が生きてきた中で妻を娶りたいと考えたのは君だけだ」

　――私だけ。

　その言葉を聞いて、心の靄が一気に晴れていくようだった。

「だとすれば、あの豹令嬢が言っていたのは――？」

「豹……ああ、おかしな妄言ばかり言っていた、あの女か――」

「妄言……？」

「昔から付きまとわれていてな……後で大臣に伝えて処断してもらおう」

「処断は可哀想です」

「我が妃は優しいな――ああ、そろそろ時間だ」

「時間？」

「中途半端な俺だが――満月の日だけは、ちゃんとした獣人になれる――ああ、もう月は頂点に昇ってしまうか、間に合わない」

「え？」

「どうか俺の醜い姿を見て――怯えないでほしい」

　陛下がそう言うと――目の前の銀髪赤瞳の美青年の姿が徐々に変化をはじめる。
　瞳は鋭さを増し、すっきりと通った鼻梁は徐々に高く尖っていく。
　纏っていた服が破けたかと思うと、筋肉質な腕と上半身が露わになり、爪は鋭さを増す。
　背側には髪色と同じ白銀が拡がっていく。

　そこにいたのは――。