【R18】嫌いになりたい、だけなのに

おうぎまちこ(あきたこまち)

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 それでも、オデッセイのケンダルへの長年の想いは燻ぶり続けた。

 彼と懇意にしている令嬢たちは、悪いことをしたわけではないのに……
 彼が楽しそうに喋っている姿を見ていると、羨ましくて羨ましくて……
 見ていると辛くて仕方がなかった。
 見ないように、見ないように……
 努力しても、どうしようもなく目で追って……
 そばで護ってくれている時だって、極力見ないようにして、話しかけないようにして……

 だけど……
 そばにいても離れても、頭の大半を占めるのはケンダルのことばかり……

 もうずっと、彼のことだけを思い続けるのに疲れてしまった。

(だからもういっそのこと、逆惚れ薬を使って、無理にでもケンダルへの気持ちを消してしまわないと……だって、そうでもしないと怨霊か肉食魔獣にでもなってしまいそうなぐらい、苦しくてたまらないから……)

 だから、魔術師リーリアに頼んで「逆惚れ薬」を作ってもらうことにしたのだ。
 ただ、それには嫌いになる相手ケンダルの「特別な体液」が必要なのだという。

 ……オデッセイが考えに耽っていた、その時。

「オデッセイ、俺の体の上で考え事なんて、大した余裕だな……」

「あっ……」

 ケンダルの声で現実に引き戻された。
 そう、オデッセイはケンダルの『特別な体液』を入手すべく、彼の体の上に寝そべっていたのだ。

「んん……」

 彼女の唇の中に、彼の分厚い舌がねじ込まれ、口中を犯される。
 舌で歯列をなぞられた後、先端で粘膜を弄られると、頭の芯がぼうっとしてくる。

「ふあっ……ああっ……」

「……ああ、その顔、そそるな……」

「えっ……あっ……」

 オデッセイは舌を何度か吸われた後、何度か唇を甘噛みされた。
 解放されると、口の周囲に唾液の跡が残る。

「は……」

 互いの熱い吐息が絡み合った。
 彼女の頬をやや武骨な掌が包み込んでくる。
 鼻先が触れ合いそうな距離で、ケンダルがゆるりと口の端を吊り上げた。

「さて、オデッセイ、聞くが……お前は『特別な体液』とやらが、俺のどこから出るのか知ってるのか?」

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