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1 ケンダルside※
しおりを挟む王城では舞踏会が現在進行形で開催されている。
第二王女オデッセイの部屋は、城の端にあるのだが、演奏家たちの美しいメロディが耳に届いてきていた。
だが、それとは反対に――ビリビリと衣が切り裂かれる不協和音が、室内に鳴り響いていた。
「はあ、は……」
荒い息が木霊して、部屋の中に熱気が籠もっていく。
組み敷かれた人物が、衣服を裂かれまいと必死に抵抗しながら、悲鳴じみた声を上げた。
「待て!」
だが、跨る相手の動きは止まない。とはいえ、組み敷かれた方もうまく抵抗できなかった。
「待てと言っている! オデッセイ! お前、やっている意味は分かっているのか?」
「ええ、存じ上げておりましてよ。良いから、我が国の平和のため、貴方の特別な体液を、黙って私に差し出しなさい! ケンダル!」
そう……
部屋に侵入した無頼漢が第二王女を襲っているのではなく……
第二王女オデッセイが護衛騎士ケンダルを組み伏し、衣服を引き裂いていたのだった。
豪奢なプラチナブロンドの巻髪は乱れ、きりりとしたエメラルドの瞳は鬼気迫っている。ケンダルの体の上で暴れまわったからか、透き通るような肌は蒸気していた。
普段ならば、すべてのパーツが整っており、聡明な美しさが醸し出されているのだが……今はギラギラと獣のように光っていた。
大人びたマーメイドラインの真紅のドレスも、今ははだけてしまっている。
「落ち着け、オデッセイ! 何があったか説明しろ!」
悲鳴を上げているのは、護衛騎士のケンダルだ。
赤身がかった鳶色のツンツンした髪に、キリリと鋭く爽やかな碧の瞳。 どことなく人懐っこい猫のような印象のある顔立ちの美青年。
近衛騎士団に所属していて、近々王都騎士団長になったアーサーと二大筆頭出世株のイケメン騎士と呼ばれている人物だ。
オデッセイの護衛騎士を務めており、華やかな雰囲気を纏っているため、女性達からも人気であり、女性関係の噂もわりと派手目である。
だが、今は……
護衛対象のオデッセイに中に着たブラウスをびりびりに破かれてしまっており、這う這うの体をしていた。そうして、鍛えぬいた厚くて堅い胸板が露わになっている。
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