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第6章 2年後、3人で家族になる
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しおりを挟む桃花は総悟の腕の中にいた。
熱い抱擁に戸惑いを隠せない。
「俺は……そんな君だから一緒にいたいと……守りたいと思っている」
「そんなはず……全然意味がわかりません」
頑なに否定しようとする桃花の頬を総悟が両手でそっと包み込んだ。
「君がそんなに自分のことが信じられなくなっているのは、やっぱり俺のせいなんだ」
「いいえ、そんなことはなくて。私の方こそ貴方が優しいから甘えていたんです」
「いいや、俺の方こそ君に求めて甘えてばかりで、君が求めていることに対して応えてあげられてなかった。君を安心させてあげられなくて……だから、君がそんなにも自信を失くしてしまったんだ」
桃花の心が波のように揺れ動く。
総悟が愛を囁くような優しい声音で告げてくる。
「ねえ、二年前の夜の誓いは覚えてる?」
二年前の誓い。
初めて結ばれた夜に、彼が彼女に向かって告げた言葉。
『桃花ちゃん、ねえ、これから先もずっと俺だけだって誓ってくれる? 俺もこれから先、君だけだって誓うから』
誓いの指輪なんかがあったわけじゃない。
だけど、桃花にとっても大事な約束だったから、ちゃんと胸に刻み込まれている。
「もちろんです」
だけど、二年も前の話だし、さすがに総悟は忘れてしまっていると思っていたけれど……
すると、総悟が笑みを深めた。
なんだか泣きそうに見えるのはどうしてだろう。
「君が帰ってきてくれるかは分からなかったけど……それでも、俺はあの時君と交わした誓いをずっと大事にしてたんだ」
桃花は目を瞠ると同時に身体を震わせた。
そんな彼女の身体を彼はきつく抱きしめる。
「だから、俺の子どもはあの子しかいない」
あの子……獅童のことだろう。
「君と結ばれた夜から……俺の心も体も全部、君だけのものだ」
熱を孕んだ声音で告げられると、桃花の胸が打ち震える。
(あ……)
しばらくどちらも黙ったままだったが、彼女の声が上ずった。
「私だけに話しているんじゃないんでしょう? 京橋さん以外にも、貴方には大事にしている女性がいて……」
「君がどの女性の話をしているのかが分からないけれど、俺がこんなにも大事にしたいと、抱えるもの全てを大事にしたいと思った女性は――俺には君しかいない」
総悟の真摯な眼差しに射抜かれる。
「君に信じてもらえるまで、何度だっていうよ。俺には君だけだ、桃花」
荒れ狂う波のようだった気持ちがどんどん凪いでいく。
彼の指が彼女の頬にかかった髪を払うと、熱を孕んだ眼差しを向けられると、彼女の鼓動が忙しなく鳴り響く。
「言葉にするのから逃げていたんだ。俺は君のことを」
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