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第6章 2年後、3人で家族になる

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 庭には色とりどりの花が咲き誇っている。

(お家の中に花園があるなんて……!)

 ちょうど梅雨時だからか、紫陽花が綺麗で、山百合や百日紅、池の周りに咲く菖蒲も風情があった。
 総悟にエスコートされると、桃花は一緒になって縁側に座り込んだ。

「すごく綺麗です!」

「そうでしょう?」

 感嘆の声を上げた桃花に向かって総悟が嬉しそうに微笑むと、そっと外にある木を指さした。

「春になると桃の花が咲くんだよ。来年の春も一緒に見てほしい」

「来年の春」

 未来の話に心を弾ませてしまいそうになり、桃花は自身を律する。

(まだ色々と問題は解決してないから、簡単には同意できないわ)

 すると、総悟がポツリと呟いた。

「俺って、子どもの頃はそんなに身体が強い方じゃなくてさ。わりとここでぼんやり過ごすことが多かったんだ」

「え?」

 思いがけず彼が過去のことを話し始めたので、彼女は耳を傾けた。

「桃の花、好きだったけど、次の年には見れないかもなって、子どもの時は漠然と思ってたりもしたっけな」

 いつもの冗談だろうか?
 そんな風に思ったが、総悟の横顔はどことなく儚げだった。

(総悟さん……)

 桃花の胸が疼く。
 総悟がふっと微笑んだ。

「まあ、今では健康そのものだから、会社経営なんかもできるんだけどね」

 どんな言葉を掛けて良いのか迷っていると、彼が話を続けた。 

「ねえ、桃花ちゃん、君がどうして俺と結婚したくないのか、良かったら理由を教えてくれる?」
 
 少しだけ寂しそうに微笑む彼の顔を見ると、彼女の胸がズキンと痛んだ。
 何も答えない彼女に対して、彼はさらに問いかける。

「もしかして、あの京橋阪子のこと?」

 図星を当てられて、桃花は話を逸らそうと立ち上がろうとしたが、総悟に手を掴まれてしまい阻まれてしまった。

「彼女については、本人の前でも伝えた通りだ。君が心配するようなことは何もない」

「あ……」

「君は俺の子どもを妊娠していたから、他にも妊娠している女性がいると言われたら疑ってしまうのかもしれないけど、どうか信じてほしい」

 総悟の真っすぐな視線を受けて、桃花の瞳が忙しなく揺れた。

(総悟さん、きっと嘘は吐いていない)

 軽口は叩くし冗談は言うけれど、つまらない嘘は吐かない。

「分かりました。京橋さんの件については二階堂社長のことを信じたいと思います」

「良かった!」

「ですが……」

 そこで桃花の言葉は詰まった。
 しばらく黙っていると、総悟が問いかけてきた。

「桃花ちゃんの一番の気がかりは何?」

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