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第6章 2年後、3人で家族になる

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 日本庭園のような庭を抜けた先、池の上にある小さな橋の上を歩きながら、桃花はまたしてもキョロキョロしてしまった。本家の建物に比べたら小さくはあるが、一軒家位の大きさはある離れへと渡っていた。

(離れもしっかりした建物ね。おばあちゃんたちのお家より大きいわ)

 すると、総悟が口を開いた。

「この離れが元々本宅でさ、家族三人で住んでたんだけど、どんどん増築していってたら、あっちが本宅になったんだよね」

 なんとなく桃花は気になって問いかけた。

「家族三人……会長とお母様と社長ですか?」

「いいや、俺の母は物心つく頃にはいなくなってたからさ」

 総悟の表情が一瞬だけ陰る。

(会長と総悟さんともう一人の家族……)

 誰だろうかと気にはなったが、考える間もなく、総悟が話を続けた。

「親父が本宅に移り住んだ後は、この離れに俺が一人で住んでたんだ。高校生ぐらいまでかな? もう十二年ぐらい前。今はもう誰も使ってないはず」

「はい!? 一人で……!? しかも、今はもう誰も使っていない!? もったいない!!」

 桃花は思わず熱弁してしまう。

「ん? 桃花ちゃん、どうしたの?」

「いえ、敷地内に空き家があるなんて。家は維持費だけでも相当するというのに。コホン、何でもございません」

 思わず熱弁を奮ってしまったが、咳ばらいをして誤魔化した。
 すると、総悟がしたり顔で問いかけてくる。

「ああ、もしかして、あの子と俺と一緒にこの離れに住みたくなったの?」

「そんな話はしていません!」

「俺としては経済的にも三人一緒に暮らした方が良いと思うんだけどな?」

「……っ」

 何食わぬ顔をした総悟から、桃花は内心の動揺を悟られないように真顔に戻ると、自分に言い聞かせる。

(総悟さんに、隙を見せてはダメよ)

 ツンとそっぽを向くと、総悟が首を傾げた。

「なかなか気難しいな、未来の俺の奥さんは。さあ中に入ろうか」

 総悟が離れの玄関扉を開くと、本家と同様にだだっ広いエントランスに迎えられた。真向かいには、ゆるやかに弧を描く階段が備え付けられており、二階にいくつかの部屋があるようだ。
 先ほどの本家とは違うのは、人気がなく生活感がないことだろうか。
 靴を脱いでスリッパに履き替えると、桃花は総悟に手を引かれて進む。

「竹芝父が定期的に空気の入れ替えや寝具の交換はしてくれているから、衛生面は保たれているから安心してね」

 そうして、彼に促されて廊下を歩く。庭に面した軒先へと、彼女は案内された。

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