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第4章 2年後、再会した2人

19-1※ 総悟の懺悔※

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「ちょっと、待って……!」

「待たない……」

「ん……」

 総悟の唇が桃花の首の柔らかな部分を吸い始めた。

(本当に、どうしたっていうの……!?)

 彼の手が彼女の太腿を撫で始めると、彼女の唇から甘ったるい声が漏れ出る。

「んんっ、あっ……やめっ……」

 総悟にスイッチでも入ったのか、桃花の首筋を甘噛みする。

「せっかくわざわざ俺のところに戻ってきたんだ。もうどこにも逃がさない……どうせ嫌われてるんだ。だったら、とことん嫌われた方がマシだ」

 彼の手が彼女の背を撫で始めた。

(前はこんなことを強引にする人じゃなかったのに……)

「やめてっ……」

 どうにか抵抗しようとしていたら、総悟が呻くように告げた。

「約束を守ってくれなかった君の言うことなんか……もう聞きたくない」

「あ……」

 桃花の胸がズキンと痛むと同時に、かつて交わした約束が脳裏に浮かぶ。

『桃花ちゃん、ねえ、これから先もずっと俺だけだって誓ってくれる? ……俺もこれから先、君だけだって誓うから』

『桃花ちゃんには、ずっとずっとそばにいてほしい』

『ううん、違うよ……上司だとか部下だとか関係なく、俺のそばにいてほしいんだ』

 優しかった総悟が、今こんな風になってしまったのは……

(私がこの人との約束を破ったせい……?)

「俺だけが必死に約束を守って……君はどうせ忘れてしまってるのに……」

「んんっ……」

 彼の指がブラウスの一番上と二番目の釦を器用に外した。
 彼の吐息が彼女の胸元にかかると、柔肌を跡が残るぐらいきつく吸われる。

「逃げられるぐらいなら、はじめっからこうしておけば良かったんだ」

 桃花はショックを受けつつも、総悟の性急な手つきに激しく求められると、どこかで拒めない自分もいて……心がまるで振り子のように大きく揺れ動く。
 だけど、彼の瞳を見て彼女はハッとする。

(どうして、この人はこんなに……)

 ……こんなに泣きそうな顔をしているんだろう。

 桃花は心の中で流されそうな自身を叱咤した。

(総悟さんは自暴自棄になってるんだわ……このままだと、総悟さんが傷ついちゃう……!)

 彼の指がブラウスの三番目の釦にかかった、その時――

「……こんなことしちゃダメです!」

 桃花が声を張り上げると、総悟の動きがピタリと止まった。

「あ……」

 総悟は叱られた子どものような表情を浮かべていた。
 翡翠色の瞳が忙しなく揺れ動いた後、彼女の身体の上からさっと退く。

「すまない、言い訳だが、寝不足で判断力が低下していた。悪かった、もう帰って良い」

 髪をくしゃりとかき上げながら、総悟は自身のベッドに戻る。

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