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第4章 2年後、再会した2人

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 竹芝は苦笑いしていた。

「まあ、総悟のことは、自業自得の自縄自縛ではあるんですけどね。しかも、あれだけ人当たりが良かったのに、周囲に対して刺々しくなるし……社長の総悟がこんな調子だと、社員たちや社風にも影響が出てしまうし……正直困っていたんですよ。今回の件、休むにはちょうど良い機会だ」

 桃花は心の中で反省した。

(職場復帰したばかりだったし、自分のことで手一杯になっていたのかもしれない)

 それに、二年前の出来事もあるので、色眼鏡をかけて相手のことを見てしまっていた可能性だってある。
 そのせいで総悟のことが視えていなかったのかもしれない。
 これからはもう少しだけ総悟の一挙手一投足を観察してみようと誓った。

「……ああ、着きましたよ」

 竹芝の声で桃花はハッとする。
 会社から車で五分ほど走った場所だ。
 とある豪華なマンションの駐車場に停車する。
 そうして、皆で車を出ると、総悟を背中に抱えた竹芝が、総悟の部屋まで連れて行ってくれた。
 高層ビルの最上階にある部屋の中へと足を踏み入れた瞬間、桃花は驚きのあまり目を見張った。

「これは……!」

 なんと、驚くほどに部屋の中が荒れ果てていたのだった。
 ゴミというよりも、酒瓶がゴロゴロ転がっているし、換気扇も回しっぱなしの状態な上にアルコールは揮発するというのに酒の匂いが充満している。
 総悟は、お金を持っているのだから、清掃サービスでも何でも頼めば良いはずなのに……

「ううん、ここまでとは……」

 総悟を担いでくれていた竹芝がぼやいたので、桃花は問いかけた。

「どういう意味なんでしょう?」

「総悟は昔から割と潔癖なんですよ。綺麗好きなんです。だから、ほら、毎週捨ててるからだと思うんですけど、意外とゴミはないでしょう?」

 竹芝の言う通り、散らかっているのは酒瓶だけだ。

「週に一度の回収で、今度の月曜日だから、こんな有様なんでしょう」

「え? じゃあ、今週の月曜から金曜日の今日までで、こんなに飲んでるんですか? 今日まで三日間徹夜だったから、月曜だけでこんなに……?」

「そうなるでしょうね」

 桃花は開いた口が塞がらなかった。

「二年ぐらい前から、仕事終わりになるとマンションに籠もって酒浸りになってしまって。昔は私もマンションの中に入れてくれてたんですけど、全く誰も入れなくなってしまって。しかも、仕事明けにアルコールの匂いがひどい時があるから、心配していたんですよね」

 そうして、竹芝が奥の部屋に向かうと、ベッドの上に総悟をゆっくりと寝かせた。

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