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本編
18※
しおりを挟む「その、試しにという意味ですよね? 実験体として……」
「違う……!」
そうして、目が離せないほどに……相手の視線に射抜かれて動けなくなってしまう。
「俺が惚れているのはお前なんだ、リーリア」
「え……?」
「何度だっていう、俺が好きなのは第二王女じゃない、お前なんだ、リーリア」
「あ……」
じわじわと実感がわいてくる。
まるで春の花が咲き誇るかのように胸の内が明るくなっていく。
「それこそ、俺だって惚れ薬なんて使わないで良いぐらいに……俺の方こそ卑怯な手段に出て悪かった……」
「てっきり勘違いしてしまっていました……」
すると、アーサー兄さまが理由を話してくれた。
「陛下に『昔から心に決めた女性がいます。だから、第二王女様とは結婚できません』と告げたら、『お互いに愛しあっているならば仕方がないが、お前の一方的な片思いならば認めない。明朝までに女性を連れてこられなかったら第二王女との婚約を成立させる』と、無謀なことを言ってきたんだ。だから、俺は深夜だが、お前のところに慌てて駆けてきたんだ」
「そうだったんですね……」
だけど……
「お兄様は第二王女様との縁談を断って大丈夫なのですか? せっかく騎士団長になられたのに……その地位が危ぶまれたり……」
「大丈夫だ……それぐらいで俺の地位が脅かされることはない。それに……地位や名誉なんかよりも、俺にとってはお前が一番大事なんだよ、リーリア」
「アーサー兄さま……」
熱を孕んだ眼差しで見つめられると、その場に縫い留められたかのように動けなくなる。
そうして、彼の綺麗な顔がゆっくりと近づいてきた。
「俺の可愛いリーリア……」
「あ……」
唇同士が重なり合う。
しばらく触れ合うだけのものだったけれど、次第に口づけが深くなっていった。
「リーリア、もっと口を開いてごらん」
「あ……んっ……」
分厚い舌に唇を割られた後に歯列をなぞられると、ゾクゾクと全身に快感が駆け抜けていった。
くちゅくちゅと妄りな水音が響く。
口づけられている間に、長くて綺麗な指が肩先にかかると、優美な手つきで肩から降ろされる。
「リーリア、お前の全てを俺のものにしたい……」
「アーサー兄さま……」
そのまま二人でベッドの中に倒れ込んだ。
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