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「あ、ええっと……はい、どうぞ」
 
 ここは思い切りよく頷いてみることにする。

「積極的でええな――ほな、動くで」

 朝霧が腰を揺さぶりはじめる。
 相手の揺れに身を任せると心の奥底から蕩けてしまいそうだった。

「あっ、あっ、あっ……」

「ああ、幸せそうで何よりやわ……」

 相手の腰の揺さぶりが強くなると衣擦れの音が間断なく響く。 

「ぎゅうぎゅうに締め付けてきて気持ちがええな」

「んんっ、はっ、あっ、朝霧……」

 相手の揺れに耐えるべく、ますます強く彼の腕に回した両手の力を強くする。
 御簾にゆさゆさと二人の重なった影が揺れ動いているのが映る。
 ギシギシと畳の音が鳴り響く。
 投げ出された両脚が振り子のように揺れ動いた。

「あっ、あっ、はっ、あ……――」

 しばらく揺りかごのような揺れに身を揺蕩わせていると破瓜の痛みなど、たちまちのうちに消えてしまう。

「あっ、朝霧……んあっ、あっ、あ……」

「ああ、そろそろイキそうやな――俺もイキそうやから、一緒にイこうか」

 そうして、恥骨に恥骨が強くぶつかる。

「ああっ……――!」

 二度目の絶頂が全身を駆け抜けていく。
 吐精されると下腹がじわりと熱くなるとともに幸福感に包み込まれていく。
 逞しい両手で身体をかき抱かれると、汗で濡れた肌同士が張り付き合った。

「桜子……」

「朝霧……」

 朝霧の汗がぽたりと頬を濡らした。

「ああ、もうずっとずっと愛してる、これから先もずっと――なあ、桜子」

 そっと口づけを落とされる。
 優しくて甘い口づけに気持ちも一緒に蕩けていきそうだ。

(ずっとってどういうこと……?)

 朝霧の発言が気になったが、疲弊した身体は心地よい眠りへと誘われていく。

『桜子いうんか? 俺が必ず――』

 たまに見る夢を見ながら、その日は幸せな気持ちのまま眠りに就いたのだった。



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