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第7章 2000年前、悲劇
第26話 公開処刑※※
しおりを挟む――目が覚めたら全部が夢だったら良かったのに……。
あの場で気を失ったティナは、同じ光景を何度も夢に見た。
シグリードがかつて愛していたクリスティナ姫と立ち去ろうとしている。
二人の寄り添う姿はまるで絵画に出てくる美男美女のそれだ。
(どうして? シグリード様……)
あんなにも信じて欲しいと言われたのに……。
全部全部嘘だった。
都合の良い言葉を並べ立てられただけだった。
ずっと夢の世界にいれたら、どれだけ幸せだっただろう。
夢の中――きゅっとティナは左手の薬指を握った。
(いいえ、私は信じなきゃ……シグリード様のことを……!)
***
次に、ティナが気づいた時――ひんやりと冷たい空間の中にいた。
頬に水滴がかかる。
「ここは一体……?」
どこかで見た覚えのある空間だと思った。
「もしかして、シグリード様が封印されていた場所……?」
あの時見たクリスティナ姫の砕けた魂は安置されていないようだ。
「クリスティナ姫は復活したわけだから……この場所にあの魂がないのも当然よね……とにかく、ここから出なきゃ……」
ふっと遠くに光が見える。
ティナは、ふらふらと立ち上がった。
「きゃっ……」
修道服姿の彼女の両脚には、枷がかけられているではないか。
もう一度立ち上がり、彼女は光の方へと歩む。
眩い光に包み込まれたかと思うと、一瞬で場面が変わった。
「今度は一体……?」
夢の中の花畑に酷似した空間だった。
誰かの姿が見える。
(あれは……)
***
艶やかなロイヤルブルーのドレスに身を包み込んだクリスティナ姫の姿があった。
そうして――騎士団の白いコートを纏う紅い髪の美青年騎士の姿も。
いつもの夢と違うのは――。
彼の腕の中にいる彼女は、今にも息絶えそうだということだ。
彼女の胸には――深々と剣が突き刺さっていた。
「嫌な役割を与えてしまって……インフェルノにもシグリードにも悪いことをした……どうか……あの子を……救って……」
「クリスティナ……もう喋らなくて良い……」
「身を堕としそうだった私を救ってくれてありがとう……私はどうなっても良い……だから、あの子をどうか……こうなったのは自分のせいだから……あの子が責任を負う必要はなくて……貴方も自分を責めないで……私は――インフェルノとシグリードと一緒に過ごせて……幸せ……だった……」
(紅い髪の騎士様の『竜殺し』の剣が――クリスティナ姫に刺さって……だったら、彼が彼女を殺したの……?)
そこまでで、ぐらりと空間が変わった。
***
また元の花畑だ。
そうして、今度こそクリスティナ姫の姿があった。
彼女の傍らには美青年姿のシグリードがいた。
彼女は彼に抱き着く。
「シグリード……さあ、わたくしを好きにして良いのだよ……」
「クリスティナ……お前は……」
「おや? 我々のことをのぞき見している輩がいるな……私の代わりに封印していた紛い物が……どうしてこの場に来たのか……」
こちらを見てほくそ笑んでいたクリスティナが、これ見よがしにシグリードの腕にしなだれかかった。
シグリードはちらりとティナを見たが、それだけだった。
(シグリード様……)
ズクンと胸がいたんだ。
「なあ、シグリード」
「なんだ? クリスティナ」
「わたくしに忠誠を本当に誓っているのかどうか、確かめさせてはくれないか?」
「……話による」
「そうか、簡単なことだ。この場でわたくしに口づけておくれ」
シグリードはティナなど意に介した様子はない。
「……そんなことで良いのなら……」
護衛騎士は両手で姫の頬を掴んだ。
そのまま、彼の唇が彼女の唇に近付く。
(いや、シグリード様が他の女性と口づけているところなんて見たくない……!)
ティナは思わずぎゅっと瞼を瞑る。
シグリードとクリスティナの唇同士が今にも触れようとする時――。
「待て、シグリード」
「なんだ……? 久しぶりにお前を堪能出来るって思ってたのに……今からって時に中断させるなよ」
「もっと良いことを思いついたんだ」
「……なんだよ?」
くすりと口の端を持ち上げたクリスティナ姫が悠然と口を開く。
「この場で――彼女を犯してみてくれないか?」
――彼女――それは、ティナのことだった。
「は? 何を言って……」
「イヤか?」
「イヤも何も……なんで、愛するお前の目の前で、他の女を抱かなきゃいけねえんだよ……」
「だったら、インフェルノに来てもらおうか――ここに――」
「待て! クリスティナ!」
自身を制してくる護衛騎士に姫は返す。
「言うことが聞けないのならば、一度わたくしを裏切ったお前のこと、わたくしは信用することが出来そうにもないのだが……」
彼女達の背後には多くの魔物達がわらわらとあつまってきていた。
(優しいシグリード様に、こんな集団の前で色んなことが出来るはずが……)
相手は逡巡している様子だったが――。
「分かった」
シグリードが放った言葉は無情だった。
『他の男にお前の肌を晒したくない』
そう言ってくれた事もあったのに……。
ティナは、花畑にある湖のそばにへなへなとへたり込んだ。
歩んできたシグリードが、乱暴に彼女の身体を花々の上に押し倒す。
「きゃっ……」
「悪く思うなよ……」
ビリビリと乱暴にドレスを切り裂かれた。
「やあっ……ひあんっ……!」
かと思うと、口付けや愛撫などないまま、蜜口の中に指をつっこまれる。
くちゅりと水音が鳴った。
「何もやる前から、こんなにだらしなく蜜を溢れさせて、男を誘ってるんじゃあ……他の魔物達の前でも大丈夫だろうさ……」
「やあっ……大丈夫なんかじゃっ……いやっ、やめてください……やめて、貴方はこんなことが出来る人では……」
「ああ、うるせえ女だな。二千年以上年の離れたお前に、俺の何が分かるってんだよ?」
「……っ……」
「命が助かっただけ満足だって俺に言ってたのは嘘だったのか?」
彼の長い指が狭穴をかき回すように動く。同時に芽を弄られてしまった。
こんな人が大量に見ている前だというのに、相手の巧みな指の動きで、ティナは快感で昂ぶっていく。
「ひうっ……あっ……あっ……」
「本当に淫乱な女だな……こんな集団の前で、さすがにイクなよ……」
「シグリード様っ……ふあっ、あっ、やっ、もう……っ……ああっ……――!」
恐怖もあるのか、ティナは容易に達してしまった。
彼女の身体がひくつくと同時に、蜜が溢れはじめる。
双臀の間を蜜が流れ墜ち、夜露のように花々を濡らした。
「こんな人前でイっちまって……ほら、後ろを向け」
「ひゃう……」
ティナは呼吸が整わない内に、ひっくり返させられた。
そうして、獣のような体位を取らされる。
お尻を突き出す格好になり、羞恥が強くなっていく。
「シグリード様……何を……」
「ああ、もう、うるせえな……獣みたいに、黙って喘いでろよ」
背後からカチャカチャとベルトを解く音が聞えてきた。
かと思うと、そのまま背後から熱棒を一気にねじりこまれる。
「ひうっ……!!」
ものすごい重量だ。
一気に圧がかかり、ティナは呻くように声を上げた。
草をぎゅっと掴んだ。指の間に土が入り込んでくる。
「こんなでかいのを簡単に飲み込みやがって……淫乱だな……」
「あ……う……」
彼女の腹部は彼の膨れ上がった肉棒で充たされてしまった。
彼が腰を揺らしはじめた。
少し動くだけで内側の粘膜が擦れて快楽が駆ける。
ぱちゅんぱちゅんと肌同士がぶつかり合う音が響く。
ぐちゅんぐちゅんと水音が立つ。
(シグリード様……本当にどうかしてしまったの……?)
信じてくれと言った彼の言葉を信じたいが、このままでは信じることが出来そうにもない。
「ふあっ、あっ、あっ、あっ……」
湖に移った二人の身体が、獣の交わりのようにゆらゆらと移った。
「ふえっ、あっ、あ……」
「面白くねえな……ほら、もっと腰揺らせよ……俺のおかげで助かったんだろう? お前のせいで、俺が最愛の女に疑われてんだよ……」
ティナは小さな両手で草をぎゅっと握りしめる。
普段ならば、もっと優しく扱われるのに……まるでもののように扱われ、心がズタズタに引き裂かれそうだった。
けれども、彼に調教されきった身体は鋭敏に反応してしまう。
「ふえっ、ふあっ、ふあっ……」
「こんな体位で犯されてるのに、本当に淫売な女だな……ほら、もっとよがれよ……」
「ンっ、あっ、あんっ、あっ……はっ、あっ……」
いつも以上にお腹の奥を突かれ続ける。
こんな状況下だというのに、粘膜を擦りあげられる感覚で、快感が異常に強かった。
「ふあっ、あんっ、あっ、これ以上されたら……ふあっ、あっ、あっ……」
「まだしゃべる余裕があるみてえだな……もっと激しくしてやるよ……」
「あ、もう、無理……ふあっ、あっ、あっ……いやっ……」
下腹部にものすごい圧迫感と重量感を感じたまま、彼女は全身を揺さぶられる。
間断なく彼女の声が鳴り響く。
「はあ……イヤだって言ってる割に、お前のここは俺のことをほしがって、ぎゅうぎゅう締め付けてきてるな……仕方ねえから、出してやるよ……全部受けろよ……零すなよ」
「ふえっ、あっ、あっ、あっ、あ……」
相手の動きが激しくなったかと思うと、どんどん隘路が拡張されていく。
熱棒が律動をはじたたかと思うと、ぱちゅんと相手の恥骨がティナのお尻にぶつかった。
「ああっ……!」
「……っ……」
背後に立つシグリードの身体がぶるりと震えた。
そのまま熱液が彼女の孕を一気に満たしていく。
「あああっ……――!」
彼女も絶頂を迎え、ビクビクと身体を震わせた。
怒張した肉棒を内側に何度もこすりつけられた後、引き抜かれる。
「こんなに乱暴に扱われたあげくに、大衆の面前でイって……挙句の果てに俺の精を全部飲み込んでるんじゃあ、話にならねえな……」
どろりとした白濁液と愛液とが混じり合い、彼女の太ももを流れ落ちていく。
まだ荒い息を続ける彼女の向かって、彼が睥睨した。
「うっく、うっ……ひうっ……」
羞恥を飛び越え――乱暴に扱われているはずなのに――ティナは、愛しい人の精で腹いっぱい満たされたことで歓喜に震えてしまっていた。
その時――。
「すまない……ティナ……」
二人にしか聞えないぐらいの小さな声で、彼の声が降ってくる。
(あ……)
やや乱暴な手つきで、彼が二人の衣服を整える。くるりと振り返ると、背後に立つ主君に声をかけた。
「クリスティナ、これで満足か?」
「ああ、まあ、少し物足りない気もするが……まあ、良いだろう」
そうして、彼女は口の端をゆるりとつり上げるとこう言った。
「なあ、シグリード。わたくしの言うことを聞いてくれた礼だ。せっかくだから、その女を愛玩動物として飼ってやろうか?」
シグリードが眉をひそめる。
「余計なお世話だよ……俺にはお前一人で十分だ」
くすくすと笑い声が聞える。
「見世物としては面白そうだ。とりあえず、牢に連れて行こう」
ティナの視界がぐらりと揺れる。
そうして、彼女は意識を手放したのだった。
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