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第2章 魔核の正体、愛のない求婚

第7話 奪われそう※※

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 シグリードは、徐々に大人の男性の姿になっていく。
 そんな彼に押し倒されながらも、ティナは必死に抵抗した。
 相手の蒼い双眸に射貫かれると、なすがままになりそうだ。

「ふあっ……待ってくださいっ……」

「待てねえ。待ってる間に死ぬぞ……」

 美少年と美青年の間ぐらいの顔が、ティナの顔に近付いてくる。
 やや低い落ち着いた声音が、彼女の鼓膜を震わせる。

「ふあっ……あっ、あ……」

「気持ちよさそうに啼くな……肌が抜けるように白くてたまらねえ」

 彼の大きくなった右手が、彼女の左大腿を大きく何度も撫でさする。
 薄絹で出来たドレスの裾がどんどんはだけて乱れていった。
 彼女のきゅっと引き締まった細い両脚が、彼の視界に晒される。

「ふえっ……それ以上はっ……だ、だめっ……ダメでっ……」

「そんな『ダメです』じゃ、男を煽るだけだぞ……」

 優しい声音で囁かれ、ティナの頬は真っ赤に染まっていく。
 そんな彼女の右の乳房を、彼の左手が布越しに柔らかく揉みしだいた。
 ツンと尖った乳頭を、彼の細い指が弄りはじめる。

「男って……あなたはまだ未成年の男の子で……」

「見た目はな……だが、残念ながら、もう二千歳は超えてるんだよ、問題ねえ……」

「問題なくは……」

「俺をよく見てみろ。もうだいぶ元の大人に戻ってるだろう?」

 彼女の乳房の上に、彼の厚い胸板が密着してくる。布越しだが、相手の体温と硬質さを感じて、ティナの心臓は沸騰しそうだった。

「確かにそうですが……ひゃんっ……」

 ふいっと顔をそらした彼女の首筋を、彼が柔らかに食んだ。
 続けざまに薄い肌を吸われ、舌で肌を嬲られ、ティナの下腹部がきゅうっと疼いた。

「あっ……そんなこと言われてもっ……まだまだ私よりも年下の……ひゃあっ……」

「だったら、ほら……」

 ティナの顎は、すっかり長くなった指に捉えられる。
 改めて、彼と見つめ合う格好となった。


「――俺にもっと魔力を与えて、大人の男に戻してくれよ……」


「あ……」

 ティナの心臓がトクンとなった。
 同時に、彼女の胸の魔核も紅く明滅する。

「ああ、ほら、口開けろ……」

「あっ……ふあっ……」

 吐息を零す桜色の唇を、薄い唇が塞いだ。
 彼女が熱を孕んだ吐息を漏らすと、彼がそれさえも逃すまいと深く深く口づけてくる。
 舌同士が絡み合い、淫らな水音がくちゅくちゅと立ちこめる。

「下の具合は、どうだ?」

「……下っ……ひあっ……?」

 ティナの眼前で、もうすっかり美青年姿になったシグリードの顔が愉悦に歪んだ。
 彼が舌なめずりをする。異様な色香を孕んだ仕草に、ティナの頭と心臓はおかしくなりそうだった。

「ああ……もうすっかり良い具合になってそうだな……」

「やあっ……んっ……」

 節くれ立った長い指が、彼女の下着の上をなぞる。

「ほら、もう濡れてやがる……」

 そうして、両腰の付近にあった紐が、彼の指によってしゅるりと解かれた。
 はらりと布が落ちると、彼女の秘所が露わになってしまう。
 彼のひんやりとした指が、そこへと今度は伸びてくる。

「あっ……そこは、ダメっ……ひゃんんっ……!」

 だけど、一歩遅かった。
 相手の指がゆっくりと溝の間を動く。
 ビクンビクンと彼女の身体が跳ねた。

「いやっ……そんなところ、自分でも、お風呂の時ぐらいにしか触らない……のに……ひゃんっ……! あっ……!」

「それにしちゃあ、よくこの体たらくで、純潔を守って来れたもんだ――なあ、まさか、俺が寝てる間に、他の男に触られなかっただろうな?」

「仮にも私は神に御身を捧げるつもりで生きてきたので、あるはずが……」

 すると、美青年になった彼が少年のように微笑んだ。

「そうか、なら良かった」

 安堵する彼の笑みを見て、ティナの心臓はますます落ち着かなくなる。

(なんだろう……ドキドキしてしまう……)

 こんなに異性にときめいてしまうのは、夢の中の騎士様にしかなかったのに――。

(夢の中だって、出てくる夢の中の私と同調したからで……)

 ――現実のティナが、こんなに異性にドキドキしているのは初めてなのだ。


「下手な抵抗はするな……ほら、脚を開いてみろ……」


 行為で頭がふわふわしているティナだったが、はっとなる。

「これ以上は、い、嫌です」

「俺が言ってるんだから、言うことをちゃんと聞け」

「私は神に捧げると誓っていて……」

「その相手が、俺だろうが? お前は邪竜である俺を鎮めるための巫女じゃなかったか?」

 ティナはぐっと詰まった。

「――神は神でも、あなたは邪竜で……私は女神様を信仰して……」

「つべこべ言うなよ……心配なら、ちゃんと優しくしてやるから。ほら、抵抗するなって……」

「だ、ダメなものはダメなんですっ……」

 ティナは純潔を守るべく、ぎゅっと両脚を閉じた。
 少しだけ顔を離したシグリードが、はあっとため息をついた。

「はあ……全く違う見た目なのにな……強情なとこは似ちまいやがって……」

「……何を言って……」

「いいや、こっちの話だ……集中出来ずにすまなかったな……仕切り直しだ――いくぞ……」

「やあっ……」

 彼の指が蜜溝を蠢きはじめる。

「ふあっ、ふあっ……あああっ……」

 びくびくと少女の身体が跳ね続ける。
 小刻みに震え続ける彼女の唇に、彼が再度口づける。
 それにつれ、口付けも激しさを増してきた。

 くちゅりくちゅり。

 ティナは、相手の技巧に戸惑ってしまう。
 あげく、身体は正直に反応してしまった。
 どんどん気持ちが良くなって、手足に力が入らず弛緩していく。
 どんどん、だらしなく蜜が溢れていく。

「良い子だ……ほら、今みたいな感じで、脚を開け」

 力が入らずに勝手に脚が開いているだけだが――。
 そうして、両脚の間にある花びらと芽が相手の視界にさらされた。
 真っ赤に色づき、シグリードを誘う。

「ひあっ……!」

 ひときわ敏感な芽に、彼の親指が触れた。

「ふあ、あ、あ……」

 ティナは毒気を抜かれた子犬のような声を漏らしはじめる。

「ああ、ここ、気持ちが良いんだろう? ほら、もっと触ってやるよ……」

「ふあっ、あっ、あっ……」

 芽をつままれ、ぎゅうっと押しつぶされたり伸ばされたりしていると、背筋を言い様のない感覚がさざ波のように起こりはじめる。

「ふあっ、ああっ、あっ、何か、変っ、変なんですっ……」

「ああ、なんかお前の反応可愛いな……イキそうなんだろう? イっちまえよ……ほら、俺が手伝ってやるから……」

 その時、魔核が一気に紅く染まった。

「ふあっ、ああっ、あああっ……!」

 初めての絶頂を迎えた彼女の身体がぐったりと頽れた。
 ティナがはあはあと荒い息を整えていると、少年から美青年の姿に変化しているシグリードが、愉快げに微笑んだ。

「口付けと指だけでイクなんて、やけに可愛い反応だな……」

「イク?」

(なんだろう……よく分からないが、なんだか恥ずかしいことのような気がする)

「今、びくびく震えていただろう? 今みたいなやつだよ。気持ち良かっただろう?」

「修道女たるもの……き、気持ち良く……なんかは……」

「我慢すんなって、また魔力を溢れさせてんなら、もうちょっとだけ貰おうか……」

 荒い呼吸を繰り返すティナに、シグリードは再度口づけた。
 しかも、獣が貪るかのような口付けを繰り返される。

「んんっ……」

「ああ、うまいな……ほら、もっとくれよ……」

(これ、一体いつまで続くの? このままだと心臓が保たない……)

 ティナは浮遊感にふわふわと包まれていた。
 相手のなすがままになっていると、シグリードがティナのドレスに手をかけてきた。

「ほら、もう全部脱がせて、もっと気持ちよくさせて……最後までやって、魔力を全部吸い上げて、お前の胸から魔核を切除してやるから……」

「ふえっ……ふわっ……待って……これ以上されちゃっ……あっ……」

「ああ、波が何回も来てるな……何回も連続でイケそうなぐらい感度が良いな……それとも単純に俺との相性が良いだけか?」

(これ以上ドキドキしたら、治療される前に、今にでも死んじゃいそう……)

 彼の大きくなった手が、ドレスの中へと侵入し、腹部の方へと這いはじめる。
 身体をまさぐられている間に、ティナは大事なことに気づく。

(あ……それ以上、ドレスを脱がされたら……)

「待ってください!!」

 ティナの口から想像以上に大きな声が出て、彼の動作が中断されたのだった。

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