17 / 18
後日談3※
しおりを挟む深夜、夫婦で城庭を散歩していたら――マタタビを嗅いで発情してしまった。
(なんてこと……私はネコ耳ネコ尻尾ありの裸だし、ヴァレンス様は黒猫になってしまった……)
とにかく身体は火照るし、呼吸もハアハア促迫してしょうがない。
下肢はジンジンと疼いてしょうがなかった。
(こんなところ、衛兵に見られでもしたら……)
「この国の王妃は化け物だ」とか言われた挙げ句「露出狂の趣味がある」――そんな風に思われたら大変だ。
(ヴァレンス様の迷惑になるかもしれない……お部屋までどうにかして帰らなきゃ……)
暑くて熱くてしょうがない身体を頑張って動かして、黒猫になったヴァレンス様に震える指を伸ばす。紫水晶の瞳をうっとりさせながら、彼がこちらを見てきていたのだけれど――。
「にゃあん……!!」
「きゃっ……」
唐突に胸の谷間に黒猫ヴァレンス様が飛びついてきた。
そうして――肌の上、ふわふわの頭をすりすりと擦りつけてくる。
相手はネコの姿だからと我慢していたのだけれど、鋭敏になった身体は思わず反応してしまう。
両脚の間の蜜はじわじわと溢れてくる一方で、隠したくて両太股にぎゅっと力を入れてなんとかしようとしたが、腰に浮遊感があってモジモジしてしまった。
「んっ……あっ……んっ……」
「にゃあん……」
このままだと猫の頭を擦りつけられただけで果ててしまいそうだというのに、ペロペロと紅い先端を舐め始めるではないか。
「あっ……ああっ……」
(さすがに、ダメ……)
びくびく震える両腕で黒猫を抱きしめて立ち上がろうとする。
だけれど――先ほどヴァレンス様に身体を弄られたことや黒猫のスリスリで、脚がガクガクしてしまって、その場に尻餅をついてしまった。
両腕に力が入らなかったせいで、黒猫が腕から滑り落ちてしまう。
「あ! ヴァレンス様!」
すると――。
「ふぎゃっ……!」
ちょうど弛緩した両脚の間、花弁の辺りにヴァレンス様の頭が来る格好になってしまったのだった。
「ごめんなさい、ヴァレンス様っ……! ひゃあっ……」
黒猫の舌が花弁の間にねじ込んでくる。
「あっ、ダメですっ、ヴァレンス様っ……ひゃあっ……!」
だが、制止は聞かず、ぐいぐい黒猫は頭を突っ込んでくる。
ざらついた舌が敏感になった粘膜を刺激してきて、時折蜜をペロペロじゅるじゅる吸ってくるものだから堪らない。
しかも、ちょうど鼻先のふかふかが芽を擦ってくる格好になって、発情してしまっている私にとっては、どうしようもなく気持ちが良かった。
快感が背筋をさざ波のように何度も駆け上りはじめる。
「ふあっ、ああっ――」
(このままだと黒猫のヴァレンス様にっ……)
「あっ、やあっ、ダメえっ……ああっ……――!」
全身を突き抜けるような快感が走った。
背筋がしなり、足裏がのけぞり指先が天を向く。
ビクビクと全身が小刻みに戦慄き、しばらくして波が引いていくと一気に全身が脱力する。
「ふあっ、あっ……はふ……あ……」
溢れ出した蜜を、黒猫ヴァレンス様がじゅるじゅると吸い上げた。
途中、上目遣いでこちらを見てくるものだから――心臓がバクバクして落ち着かない。
呼吸が落ち着かなくて胸が上下するのに併せて乳房が弾むのに対して、またもやヴァレンス様がとびついてきた。
「ひゃあっ……!」
このままだと同じことの繰り返しになるだろう。
快感を少しでも逃そうと、深呼吸を何度か繰り返してみた。
「今度こそ……えいっ……」
「ふにゃっ……!」
ビクビク敏感な両腕で今度こそ黒猫ヴァレンス様を捕獲することに成功した。
何度も達した身体で正直このまま眠りにつきたいぐらいだが――。
「私が頑張らないと……」
マタタビを嗅いだせいでふわふわする身体をなんとか押して、やたらと胸にスリスリしてくるヴァレンス様と脱げた騎士服を抱っこして、私はその場からよろよろと歩き始めたのだった。
***
(すごく身体が熱い……)
人目を避けながら、城庭の茂みの隙間を縫って歩く。
「あ……」
ふらふらして、近くにあった木の幹にもたれかかる。
火照る身体をどうにかしたくて、フーッと息を吐いた。
途中でヴァレンスが人間に戻らないかと期待したが、そんなことはなかった。
「城の裏扉まで来たけれど……」
――ここから先は見張りも多い。
「裸のままはまずい気がする……あ、そうか……」
――私がヴァレンス様の騎士服を着たら大丈夫――?
せっかくだから、そうしようと思って、夫の騎士服に袖を通そうとしたのだけれど――。
「ふにゃあんっ……!!」
「え?」
なんと、そんな時に限って、彼の身体が発光しはじめた。
そうして――。
「あっ……!」
黒猫から人間の姿に戻ったのだった。
そうして、ヴァレンス様が呼吸を何度か深呼吸を繰り返す。
少しだけドヨンとキノコでも生えてそうな雰囲気を彼は醸している。
「すまなかったユリア……この失態はいつか必ず取り戻す……待っていろ」
そうして、騎士達のところに向かって毅然とした態度で歩んでいった。
一見すると普段の無愛想な雰囲気の彼だったが――。
(まだ呼吸も苦しそうだったし、ヴァレンス様は発情したまま……?)
発情している雰囲気は悟らせないまま、何かを騎士達から受け取った状態で彼がこちらに向かって帰ってくる。
「侍女達が着る服を借りてきた」
そうして――彼が私に渡してきたのは――。
「これは……」
――黒いワンピースに白いフリルのついたエプロンだったのだ。
12
お気に入りに追加
1,160
あなたにおすすめの小説
外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます
刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
騎士団長のアレは誰が手に入れるのか!?
うさぎくま
恋愛
黄金のようだと言われるほどに濁りがない金色の瞳。肩より少し短いくらいの、いい塩梅で切り揃えられた柔らかく靡く金色の髪。甘やかな声で、誰もが振り返る美男子であり、屈強な肉体美、魔力、剣技、男の象徴も立派、全てが完璧な騎士団長ギルバルドが、遅い初恋に落ち、男心を振り回される物語。
濃厚で甘やかな『性』やり取りを楽しんで頂けたら幸いです!
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
ただの政略結婚だと思っていたのにわんこ系騎士から溺愛――いや、可及的速やかに挿れて頂きたいのだが!!
藤原ライラ
恋愛
生粋の文官家系の生まれのフランツィスカは、王命で武官家系のレオンハルトと結婚させられることになる。生まれも育ちも違う彼と分かり合うことなどそもそも諦めていたフランツィスカだったが、次第に彼の率直さに惹かれていく。
けれど、初夜で彼が泣き出してしまい――。
ツンデレ才女×わんこ騎士の、政略結婚からはじまる恋のお話。
☆ムーンライトノベルズにも掲載しています☆
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
伯爵は年下の妻に振り回される 記憶喪失の奥様は今日も元気に旦那様の心を抉る
新高
恋愛
※第15回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました!ありがとうございます!
※※2023/10/16書籍化しますーー!!!!!応援してくださったみなさま、ありがとうございます!!
契約結婚三年目の若き伯爵夫人であるフェリシアはある日記憶喪失となってしまう。失った記憶はちょうどこの三年分。記憶は失ったものの、性格は逆に明るく快活ーーぶっちゃけ大雑把になり、軽率に契約結婚相手の伯爵の心を抉りつつ、流石に申し訳ないとお詫びの品を探し出せばそれがとんだ騒ぎとなり、結果的に契約が取れて仲睦まじい夫婦となるまでの、そんな二人のドタバタ劇。
※本編完結しました。コネタを随時更新していきます。
※R要素の話には「※」マークを付けています。
※勢いとテンション高めのコメディーなのでふわっとした感じで読んでいただけたら嬉しいです。
※他サイト様でも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる