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6回表 ユリアside※
しおりを挟む月明かりの下、外からカトレアの花の香りが漂ってきて、ヴァレンス様のシトラスの香りと混じり合う。
私の上に跨がったままの彼が、黒衣の袂を緩めながら脱ぎ捨てていく。
中に着ていたシャツのボタンを緩めると、筋骨隆々とした体躯が露わになる。
(見た目は細身なのに、しっかりした体つきでいらっしゃるのね……)
白猫になっていた頃にも、時々着替えを覗いていたし、抱きしめられたりしていたから、なんとなく分かってはいたが――。
改めて相手の身体を見ると、ドキドキが落ち着いてはくれない。
「どうした、ユリア?」
何気ない表情でヴァレンスがこちらを覗いてくる。
「いいえ、その……た、たたた、逞しいなと……改めて思いまして……」
思わず顔を背けると、相手からの反応が返ってこない。
(……余計なことを言ったと思われた……?)
相手からの反応を怖がっていると、ネコ耳も後ろに伏せてしまった。
彼の表情を見るために、ビクビクしながら瞼を持ち上げ、そろりと様子を伺う。
(あれ…………?)
ヴァレンス様が固まって動かなくなってしまった。
しかも、よく見れば――。
(ヴァレンス様の顔が真っ赤……)
そんな彼を見ていると、こちらも真っ赤になってしまう。
そうこうしていると、相手がはっとなって真顔に戻る。
「すまないな、このような時に黙ってしまうなど……」
「いいえ、そんなことなくて」
お互いにわたわたしてしまったが、ヴァレンス様の表情がキリリとしたものに戻る。
きゅっと引き結んだ唇に、私は思わず魅入ってしまった。
すると――ふいに彼の唇が重なって離れる。
(あ……)
心臓がはち切れんばかりに高鳴っていると――。
「ユリア……愛している……」
彼の低い声を拾って、耳がピクピクと反応した。
気づけば――ヴァレンス様の指が伸びてきていて、肩口から夜着をしゅるりと剥ぎ取られていく。
布が床に落ちて、パサリと音を立てた。
シュミーズとドロワーズも脱がされてしまい、裸になった身体がヴァレンスの瞳に晒される。
羞恥に耐えかねて、そっと両腕で自身の両胸を隠した。
「ユリア、俺にお前の全てを見せてほしい……」
「あ……」
彼の大きな手が掴んでくるものだから、両腕による防御がいとも簡単に解かれてしまった。
相手の視線を感じて、どうにも落ち着かない。
「ユリア、綺麗だ……」
しかも、いつになくヴァレンス様が褒めてくるので、どうして良いのかわからない程だ。
まじまじと見つめられると、全身が真っ赤に茹だっていくのが自身でも分かった。
ふっと、ヴァレンス様が私の首筋に口づける。
「あっ……」
首筋からなだらかな膨らみにかけて、少しだけ硬い唇が這う。
そうして、ところどころをキツく吸われていく内に、肌に赤い花びらがちりばめられていく。
彼に触れられた箇所が異常に熱くて、そこから全身に甘い痺れが駆け抜けていった。
「ユリア……お前の全てが愛おしい……綺麗だ……」
そうこうしていると、乳房の頂に彼の舌が触れたかと思うと、ペロリとなめてくるではないか。
「ひゃ……あっ……んっ……」
彼の舌が触れたのとは反対の乳房が、彼の指にきゅっと掴まれてしまった。
そのまま器用に指先で弄られ続けていると、私の息がどんどん上がっていく。
「ふあっ、ああっ、あっ……」
片乳の赤い実は相手の唾液にまみれてしまった。
彼の片指が外れたかと思うと、今度は彼の唇が全身に口付けを施しはじめる。
触れられる度に、身体がビクビクと反応してしまった。
気づけば足の間からじわじわと愛蜜が溢れ出すのを感じてしまう。
(なんだろう、身体が変……)
そのとき、けだるい身体の上にさっと影が差す。
「ヴァレンス……様……」
「ユリア……続きを施しても、お前は俺のことを嫌いにはならないだろうか?」
――何をされるのか肝心要のことが分からないのだ。
そうして、返事を返す。
「はい……もちろん」
すると、彼が私の太股を何度も大きく撫でさする。
そのたびに身体はビクビクと震えてしまうのだった。
「ヴァレンス様……ひゃあっ……」
彼の指が下の口をちくりと刺激しはじめると、ふわふわした感覚に変わっていく。
そのまま、彼の指がやたらと敏感な芽に触れてくる。
そちらに刺激を与えられ、擦られ、時として摘ままれていると――。
「ふあっ、ああっ、そこはっ……」
――どんどん頭の中が真っ白になっていく。
「ああっ……!!」
そうして、達した私の身体が一気に弛緩してくる。
そうこうしていたら、彼の中指が、つぷりと侵入をはたしてくる。
「ああっ……!」
そのまま、彼の指がならしてくる。
「良し、良い頃合いだな……」
そう言うと、彼が下衣をくつろげはじめる。
そのまま、彼の強大な塊が露わになった。
ひどく大きくて硬いものの先端からは、先走りの滴が溢れ始めていた。
そうして――。
――熱塊が濡れた入り口の上をぬるぬると動いた。
「ふあっ、ああっ、ああ……」
しばらくしていると――快楽で全身が気だるくなってくる。
びくびくとネコ耳と身体と尻尾を震わせていると――。
「ユリア――俺だけの聖女よ……どうか俺に慈悲を与えてはくれないか?」
彼の熱を孕んだ瞳がこちらに真剣に問いかけてくる。
そうして、私は――。
「はい……」
いよいよ彼と結ばれる。
――私は彼の逞しい両腕にそっと両手を添えたのだった。
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