37 / 51
2日目
37※
しおりを挟むヒルダの身体の上に跨ったジークフリートが唇をゆるりと吊り上げる。
「やっと、ここまでたどり着いた。ずっとね、我慢してきたんだ。最後のご褒美を俺に頂戴よ……」
「ジーク……」
ヒルダの火照り切った肌は、蜜口と同様にしっとりと濡れてしまっている。
四肢に力が入らず、相手の言いなりにならざるを得ない。
(まずい、このままじゃ……ジークが中に……)
本能がダメだと告げている。
どうにかして阻まないといけない。
そうは思うものの、心のどこかに期待が見え隠れしている。
(何もよく分からないが……このまま相手を受け入れたら、私は助かるかもしれないが、この人が消滅してしまう……)
――そのために、これまでずっと、こうなる運命を回避してきたのに――
「どうして今回だけ……って顔をしているね?」
「え?」
「記憶はまだ完全に戻ってないんでしょう?」
「……もちろんだ……」
すると、ジークフリートがくすりと微笑んだ。
「だけど、俺が消滅しないように気を遣ってくれるなんて、ヒルダは優しいな」
「そんな、ことは……」
ジークフリートの黄金の髪がさらりと揺れた。
「もう、ずっとずっと君を追い掛けては逃げられてきたんだ。君はどうやらこの鎖された世界に一人だけ残って、自分の魂が消滅するのを待とうとしたみたいなんだけどね……」
「私は、この世界で自滅するつもりだった……?」
「そう……もっと前、何度も時間を繰り返していることに気付いた最初の頃は、お互いのことを思いだせるように色々工夫したんだよ、だけどさ……」
ヒルダは、相手の言葉を待つ。
「何回か前の3日間、君は俺のことを現実世界に追い出して、そうして、一人で永久ループを繰り返す予定だったみたい。俺の命なんてどうでもよかったのに、君は俺の命を大事にしたいってあきらめてくれなかったんだ。だけどさ……」
ジークフリートは恍惚とした表情を浮かべたままだ。
「俺が君を逃すはずがないだろう? 何があっても忘れるはずがない」
ゾクリ。
ヒルダの背筋に寒気が走る。
「現実世界に追い出される前に、俺は聖剣と魂を一体化させることで難を逃れたんだ――そうして、ずっと繰り返される世界の中で気づいたんだ。君と俺とが一緒になれば、この世界から君が抜けだすことができるってね――だけど、俺がどうしても消滅するのを嫌がった。だから、ね」
そうして、彼が口の端をゆるりと吊り上げる。
「君から俺の記憶を消すことにしたんだ――まあ、ちょっとどころか、かなり大変だったけどね……」
「そんな……」
昂りきった先端が、花弁の間をぬるぬると動くと、粘膜が擦れて、全身に快感が駆け抜けていく。
しばらくすると、ジークフリートの長い指が、狭口の中にゆっくりと侵入してくる。
「さて、お喋りしたおかげで、疲れた身体は休めたかな? ちゃんと馴らしておこうか。どうしても俺のものは小さくはならないから、君のこっちを拡げなきゃならない」
1
お気に入りに追加
388
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
異世界に転生したら溺愛ロマンスが待っていました!皇太子も騎士もみんなこの世界"好き"のハードル低すぎませんか!?~これサダシリーズ1~
国府知里
恋愛
歩道橋から落ちてイケメンだらけ異世界へ! 黒髪、黒目というだけで神聖視され、なにもしていないのに愛される、謎の溺愛まみれ! ちょっと待って「好き」のハードル低すぎませんか!?
無自覚主人公×溺愛王子のハピエン異世界ラブロマンス!
※ お知らせしました通り、只今修正作業中です! シリーズ2からお楽しみください!
便利な「しおり」機能をご利用いただくとより読みやすいです。さらに本作を「お気に入り」登録して頂くと、最新更新のお知らせが届きますので、こちらもご活用ください。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
悪役令嬢なのに王子の慰み者になってしまい、断罪が行われません
青の雀
恋愛
公爵令嬢エリーゼは、王立学園の3年生、あるとき不注意からか階段から転落してしまい、前世やりこんでいた乙女ゲームの中に転生してしまったことに気づく
でも、実際はヒロインから突き落とされてしまったのだ。その現場をたまたま見ていた婚約者の王子から溺愛されるようになり、ついにはカラダの関係にまで発展してしまう
この乙女ゲームは、悪役令嬢はバッドエンドの道しかなく、最後は必ずギロチンで絶命するのだが、王子様の慰み者になってから、どんどんストーリーが変わっていくのは、いいことなはずなのに、エリーゼは、いつか処刑される運命だと諦めて……、その表情が王子の心を煽り、王子はますますエリーゼに執着して、溺愛していく
そしてなぜかヒロインも姿を消していく
ほとんどエッチシーンばかりになるかも?
冷酷無比な国王陛下に愛されすぎっ! 絶倫すぎっ! ピンチかもしれませんっ!
仙崎ひとみ
恋愛
子爵家のひとり娘ソレイユは、三年前悪漢に襲われて以降、男性から劣情の目で見られないようにと、女らしいことを一切排除する生活を送ってきた。
18歳になったある日。デビュタントパーティに出るよう命じられる。
噂では、冷酷無悲な独裁王と称されるエルネスト国王が、結婚相手を探しているとか。
「はあ? 結婚相手? 冗談じゃない、お断り」
しかし両親に頼み込まれ、ソレイユはしぶしぶ出席する。
途中抜け出して城庭で休んでいると、酔った男に絡まれてしまった。
危機一髪のところを助けてくれたのが、何かと噂の国王エルネスト。
エルネストはソレイユを気に入り、なんとかベッドに引きずりこもうと企む。
そんなとき、三年前ソレイユを助けてくれた救世主に似た男性が現れる。
エルネストの弟、ジェレミーだ。
ジェレミーは思いやりがあり、とても優しくて、紳士の鏡みたいに高潔な男性。
心はジェレミーに引っ張られていくが、身体はエルネストが虎視眈々と狙っていて――――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる