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2日目
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しおりを挟むジークフリードが「聖剣といっしょくたになって眠っていた」と話していたが、内容に食い違いは存在しない。
「お金ほしさに冒険者たちがこぞって裏山に入っていきました。ですが、聖剣を手にしようとしたものたちは皆死んでいった」
「え――?」
急に恐ろしい話になった。
ゾクリと背筋に悪寒が走る。
「そんな中、貴方の父上である伯爵様もその一人で、毎年果敢に山に入っていきました。小さい貴女様を連れて上るから有名だったのです。そうして、死なずに下山してくると――もちろん、聖剣を持ってはいませんでしたが……」
誰もが死ぬはずだが、生き延びる父伯爵。
「村の者たちには、とても奇異な存在に見えた」
それもそうだろう。
一人だけ違う存在に対して、人は畏敬の念よりも恐怖を抱きやすい。
「だが、やはり呪いはあったのか、あんなに元気そうだった伯爵様は、数年前に亡くなってしまった。やはり呪いは存在しているのだと、村中で話題になりました」
「そうだったのですか……」
思いがけず父の話が出てきて、しんみりとした気持ちになった。
「僕が知るのはこれまでです」
「いいえ、お話ありがとうございます」
そうして、ヒルダは椅子から立ち上がる。
(もっと情報を得ないといけないな……)
立ち去ろうとしていたら、ブライアンが声をかけてきた。
「そういえば、どうやら、魔王との戦いの際、英雄ジークフリードには、聖女だった恋人がいましたが、その恋人も戦いの最中に行方不明になったそうです。噂では、その聖女だけが、伝説の聖剣を手にすることが出来ると言われている」
「え――?」
思わず、ヒルダは聖剣ジークフリートを見下ろした。
(この剣に恋人が……?)
いてもおかしくはないが、真面目そうな聖女が相手だったとは、かけらもピンとこない。
「まあ、聖女に恋人がいたというのは、よろしくはないので、後世の作り話のような気もしますがね。あなたさまが手にしている剣が聖剣かどうかはともかくとして……何か分かると良いですね」
そうして、ブライアンに見送られ、大木の下を後にしたのだった。
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