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後日談
後日談4 かつて私を愛した彼はもうしない(※口の悪いレオパルト版)1
しおりを挟むとある休日の昼下がり。
夫レオパルトの書斎の整理を手伝っていた際に、一枚の紙きれをダイアナは見つけた。
「ねえ、見て、レオ」
「どうしたんだい、ダイアナ?」
手に持っていた数冊の本を机の上に置いた彼は、彼女の持つ用紙へと目をやる。
「ああ、これは、私が記憶を失った時に書いてたものか」
列車事故の後、一時的に記憶を失っていたレオパルト。読み書きも出来なくなっていた彼に、ダイアナが再び再教育していた頃のものだった。
「懐かしいわね」
レオパルトがふっと微笑んだ。
アッシュブロンドの髪が、陽光できらきらと輝き、アップルグリーンの瞳が和らぐ。
「自分としては、過去の愚かな振る舞いを君に知られてしまって、少しだけ気恥ずかしいかな」
「そうなの? 確かに、少年時代のレオは今と違って喋り方が乱暴だったわね」
「そうだろう? みっともないところを見せてしまった」
ダイアナはふわりと微笑んだ。
「そんなことはないわ。あの時の貴方は可愛かったし……それに――」
「それに?」
彼女は恥じらいながら夫に返した。
「今のレオももちろん素敵だけれど、なんだか、いつもの生真面目な話し方の貴方よりも粗野で、普段と違った魅力があって――とても格好良かったわ。あれ、どうしたの、レオ――?」
妻の一言を聞いたレオパルトは微笑んだままだ。
だが、なんとなくダイアナは嫌な予感がした。
整理中の本を持っていた彼女は壁にドンっと身体を押しつけられる。
彼の長い指が頬をなぞった。
「んっ……どうしたの、レオ?」
「ダイアナが、昔の俺みたいな男も好きなのは初耳だったな――」
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