【R18】いくらチートな魔法騎士様だからって、時間停止中に××するのは反則です!

おうぎまちこ(あきたこまち)

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 翌朝。
 魔法騎士団の会議室で団員二十名と共に朝礼が行われていたところだった。

「では、解散だ」

 オズワルドの重厚な音が響くと、団員たちが扉の方へと歩んでいこうとする。
 朝陽を窓辺に直立不動で立つオズワルドに向かって、エリーはおずおずと声をかけた。

「あの、オズワルド様、昨日の夜に実は……」

「昨日の夜?」

 団員たちを見送る彼は仕事モードに移行しようとしているのか、彼女とは絶対に目を合わせようとしない。

(今は相談できる雰囲気じゃないわね。ショーンに自分から話しかけないといけない……!)

 思い出したエリーはショーンの方へと歩もうとする。

「ショーン、待ってちょうだい!」

 赤毛の彼が振り返った、その時――。

 先日と同じように一瞬だけ空間が揺らいだ気がする。

(これは……!)

 前方に目をやると、扉から出て行こうとしていた団員達が、皆室内でまるで銅像のように固まって動かなくなっているではないか。

「あ……これは、どうして……?」

 動揺するエリーの唇が戦慄いた。

(まさか時間停止の魔法……!? こんなことが出来る人物はこの国に一人しかいない……!)

 困惑している彼女の耳へと――。

「君を行かせるわけにはいかない、マズロー秘書官。いいや……私のエリー」

「え……?」

 ゾクリとするほど低くて色香を孕んだ声音にエリーの華奢な体が硬直してしまう。
 声の主はもちろんオズワルドだ。

「あ……」

 漆黒のローブを纏ったオズワルドの海のように深い碧い瞳には、怪しげな光が宿る。
 フード部分を取り払うと流麗な黒髪がサラリと揺れて、彼の麗しい顔が露わになった。
 カツカツと軍靴を鳴らしながら向かってくる彼から逃げようと、エリーは後ずさろうとしたが、身体が動かない。どうやら、意識はあって声も出せるようだが、身体の自由が奪われてしまっているようだった。
 追い詰められてしまった彼女の腰が、会議室の広い机の端にぶつかる。
 そうして、接近してきた彼の長い指が顎にかかると上向けられた。
 唇同士が触れ合いそうな距離まで近づいた後、彼が酷薄な笑みを浮かべる。

「何度も時間停止の魔法をかけたせいで――耐性ができてしまっていたようだな。私としたことが、とんだ失態だった」

「あ、どうして……オズワルド様……」

 エリーの背筋に冷や汗が流れると同時に、ゾクゾクとした感覚が襲ってくる。

「理由が聞きたいか、エリー?」

「それは、だって……もちろんで――んうっ……」

 だが、それ以上は問いかけることが出来なくなった。
 彼の唇が彼女の唇を塞いでくると、地厚い舌がねじ込まれ、粘膜を這いはじめる。

「あっ……んっ、うあっ……」

 
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