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ハネムーン前日譚

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「ギル、本当?」

 ギルフォードがちゅっと口づけてくる。

「もちろん本当だよ……。俺はそもそも嘘を吐くのが苦手だしな……。ほら、挿れるぞ……喋ったら舌を噛むからな」

 そう言うと、彼の熱棒が肉壁の中にじゅぶじゅぶと沈み込んできた。
 久しぶりに彼の圧を感じると、なんだか嬉しくなってきた。
 私が全てを飲み込んだ後、彼が腰を揺らしはじめる。
 媚薬を飲んでいるせいだろうか、いつもより揺さぶりが強い錯覚に陥った。

「ふあっ、ああっ、あっ……」

「ルイーズ、久しぶりだな……ああ、お前の中はどれだけだって飽きたりねぇ……」

 彼に見下ろされると、落ち着かない。
 ぐちゅぐちゅと抜き差しを続けられた。

「あっ、ギル、奥まで当たって……あっ、やっ、あっ、あんっ……」

 いつも以上に深い位置にぶつかってくる上に、媚薬のせいで快楽が強い。
 激しくベッドがぎしぎしと軋んだ。
 淫秘な水音が立ち込める中、ぱちゅぱちゅと肌がぶつかり合う。
 次第に、肉壁でしめつけられた獣が、内側で苦し気に蠢きはじめる。

「ああ、もう限界だ、ルイーズ」

「ギル、来てっ……――!」

 彼の逞しい二の腕をぎゅっと掴んだ。
 彼が精を吐き出すのを全て受け入れると、久しぶりの高揚感に包み込まれた。
 二人して果てる。
 結合部から、どろりと愛し合った後の液が溢れ出した。
 疲れを知らないギルフォードが、ぐいっと寝ころぶ私の身体を抱き上げる。

「相変わらず、お前は最高だ、ルイーズ……」

「ギル……」

 汗ばんだ肌同士が吸い付き合った。

「さて、次に移るぞ」

「えっ……きゃっ……ギルっ、待って、あっ、あっ、あっ……」

「待つのは苦手だって言っただろう?」

 今度は下から突き上げられる。

「ひゃあっ、あっ、あっ……――」

 結局、薬が抜けたのは朝方で――それまで、延々と行為は続いたのだった。



※※※



 翌朝、少しだけ眠りに就いていたようだ。
 はっと目を覚ますと、真っ先にギルフォードの蒼い瞳が目に入った。

「おはよう、ルイーズ」

 彼に腕枕をされていることに気づく。

「おはよう、ギル……」

 ちゅっと額に口づけられ、心臓がドキンと跳ねた。

「もう薬は抜けたか?」

「うん、大丈夫みたい」

 改めて彼に告げる。

「ごめんなさい、ギル。まだ貴方と違って大人になりきれないところがあって……すぐに感情的になっちゃう……」

 彼の頬にそっと手を当て続けた。

「だけど、ちゃんと貴方の奥さんになりたいの。だから、これからも喧嘩しちゃうかもしれないけれど、よろしくね」

 ふんわり笑うと、ギルフォードも口の端を上げた。

「お前のことは、充分承知だよ――妻になってくれて、俺の方こそ感謝している。これからは不安になったら教えてくれよ。贈り物を送るだけじゃなくて……お前が嫌になるぐらい、愛の言葉を並べてやるから」

 子どもの頃に比べ、大人になった彼を見ていると嬉しくなる。

「ありがとう、ギル」

 ふと、気になったことを尋ねる。

「そういえば……なんでギルはすぐに薬が抜けたの?」

「さあ、どうだろうな? 普段から身体を鍛えているからじゃないか?」

 答えになってない気がしたが納得することにした。

「私も身体を鍛えようかしら?」

「お前ん家の両親みたいに、毎朝一緒に散歩するか?」

「それは鍛える内に入るの?」

「どうだろうな?」

 ギルフォードが蕩けるような笑みを浮かべてくる。


「まあ、俺はお前と一緒に居れるなら、結局何でも良いんだよ――新婚旅行も楽しみだよ、愛してる。ルイーズ」


 こうして、媚薬事件を乗り越えたギルフォードと私はまた本当の夫婦に近付けたのだった。


 後日……マダムモリスンは甥っ子からこってり絞られることになる。




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