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ハネムーン前日譚

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(どうしよう、すごく気持ち良かった……なのに……――)

 まだなんだか物足りない。
 でも、性に奔放ではしたない性格だと思われたくない。

「あんまり潤んだ瞳で――物足りなさそうな目でこっち見て、煽ってくれるなよ――ルイーズ……」

 指摘され、羞恥が走る。
 そんな中、秘する場所へと彼の顔が近づく。

「ギル、ちょっと待って……」

 舌をぬるりと差し入れられてしまった。

「まだだ……まだ、お前を満足させられた気がしない……――」

「ひゃんっ……ギルっ……それ……苦手……でっ……」

 だけど、身体は正直に反応する。
 じゅるりと蜜をすする音が耳に届く。

「苦手じゃなくて、好きの間違いだろう? ルイーズ、お前はどこもかしこも甘いな……」

「あっ、あぅっ……意地悪言わないで……ああっ……、あっ……」

 ひくつく口の中に、厚くてざらつく舌による抽送運動を繰り返される。粘膜を犯されている間に、全身にさざ波が立ちはじめた。

「……また、なにか、来ててっ……ああっ……――!」

 そのまま快楽の高みに上り詰める。体が小刻みに痙攣した。
 二度も達してしまったというのに、それでもまだ何かが物足りない。

(どうしよう、薬が効きすぎて……)

 同じように媚薬を摂取したはずなのに、もう平然としているギルフォードが私を横抱きにひょいと抱えた。

「さあ、行くぞ……――続きはベッドの上だな」

 白いシーツの波間に転がされると、いつの間にか服を脱がされてしまう。
 そうして、私の身体の上に、上半身裸のギルフォードが乗り上げてきていた。

「熱い……」

 ――熱い?

 気にする暇もなく、ギルフォードがびっくりすることを問いかけてくる。

「なあ、ルイーズ、俺の服を脱がせてくれるか?」

「えっ……!?」

 今の事態になったことに責任を感じる。
 言われるがまま、震える指でカチャリとベルトを外して、彼の下衣をくつろげた。
 曝け出された肌は火照りきっている。取り出した熱塊に、私はそっと触れてしまった。

(ギルの……熱い……)

 先端からは雫が零れだしていた。
 ――なんだか無性に欲しくなる。

「そんなに熱心に見られると、俺も落ち着かねぇな……」

 じっと見てしまっていたことに気づき、慌てて離れる。

「ち、違うのっ……だけど、その……」

 体の制御が効かなくて、涙が込み上げてきた。

「ルイーズ、分かってる。薬のせいだから、気にするなって何度言えば――」

 先端を溝の上で動かしていたギルフォードだったが、そこで黙った。

 火照った身体を落ち着けながら、思いを吐露する。

「違うの、ギル……確かに薬のせいもあるの……だけど、それだけじゃなくって」

 自分はいつからこんなに、はしたない女になったのだろうと思う。
 そう、彼が欲しいのは媚薬のせいだけじゃない。

(もう何日もギルと繋がり合っていないから……)

「……もう何日も貴方に、触れられていないせいで頭も身体もおかしくなっちゃって……。本当は今、貴方に触れられて、すごく幸せなの」

「ルイーズ……」

「しかも勝手に怒ったのに、貴方が追いかけてきてくれないって、悲しくなっちゃって……もうギルは私に飽きたのかなって不安で………はしたない上に自分勝手な奥さんでごめんなさい……」

 なんだかギルフォードの顔が見れなくて、俯いてしまった。
 その時、蜜口の上に宛てがわれていた先端がひくんと動いた。

「あっん……ギルっ……あっ……」

 顔を真っ赤にしたギルフォードが、気まずそうに告げてくる。

「可愛いこと言うなよ……お前がはしたないのは、どれだけだって歓迎する。それに――」

 彼は続ける。

「俺がお前を嫌いになるわけないだろう?」

 その言葉に心臓がトクンと高鳴った。

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