【R18】犬猿の仲の幼馴染は嘘の婚約者

本編

12

　翌日、「ルイーズと遊びだと困る」と父がごねたため、両家の顔合わせを即時おこなうことになった。

（父親同士、仲が良かったはずなのに……お父様の空気が冷ややかだったわ）
　
　私の父は表面上は穏やかだった。だが、明らかに「娘を幸せにしてくれるのか？」との牽制の掛け方がすさまじかった。ギルフォードの父は、普段通り柔和な笑みを浮かべてやり過ごしていた。
　ちなみに婚約者役のギルは、普段の憮然とした態度――ではなく、かなり社交的だった。

「ルイーズ、幸せにする」

「え、ええ、ありがとう……」

　我々のやりとりを見て、母親達は楽しそうに、きゃっきゃっと話しこんでいた。

（胃がキリキリする……）

　罪悪感でお腹が痛かった。
　その時、突然、ギルフォードに身体を抱きかかえられる。

「ギル、何……！？」

「両親の許可も得たことだし、戻るぞ、ルイーズ」

「え？　え？　許可？　何？　どういうこと？　ここが私の家なんだけど」

「聞いてなかったのか？　俺達の屋敷にだよ」

　沈んだ私の父と、微笑んだままのギルフォードの父が、やはり対照的だった。