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第2章 同居人との距離――咬――
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しおりを挟む蘭花の住むぼろ小屋にて――。
桃色の上衣だけにされた蘭花は、床に寝そべっていた。
天狼は、身体の上に覆いかぶさってきていた。
彼の指に淫核を翻弄され、彼女は息も絶え絶えである。
自慢の射干玉のような黒髪は、床に乱れて広がっている。
「は……あ……あ……」
藍色の裳と絹の下着は、床の上に放り出されたままだ。
このままだと貞操の危機だと、蘭花はどうして良いか分からず困惑していたのだが――。
「もし――この家に、高名な占星術師がいると伺いました――どうか中に招いてはいただけませんか?」
――天の助けのごとく、小屋の戸の方から女の声が聴こえたのだった。
(良かった……! これで天狼から解放されるわ……!)
心の中で拳を握りながら、蘭花は外に向かって声をかける。
「はい! ここに――きゃっ……!」
その時、まさか――彼女の狭穴に侵入していた指が、中の粘膜を弄りはじめたのだった。
「きゃっ……あっ……天狼……もう、やめっ……ひゃぁっ……!」
せっかくの客人が来ているというのに、彼は彼女の身体への愛撫を続けている。
天狼の端正な顔が、蘭花の顔に近づいてきた。そのまま、彼の唇が、抵抗する彼女の唇を割り入る。そうして、彼の舌に、口の中の粘膜を蹂躙されてしまった。
「ふぁっ……あっ、も、こんな口づけばっかり……いやぁ……」
蘭花もまだうら若き少女である。少しばかり夢のある初めての口づけと言うものに憧れを抱いていたというのに、天狼と出会ってからは、想像以上にいやらしい口づけしかしていない。
「こんな口づけ、か――」
彼女の言葉を聞いた天狼の舌の動きがゆっくりと止まった。
とはいえ、いまだに上の口も下の口も、両方の口を塞がれたままだ。弄られる蘭花の身体はびくびくと震える。
どちらの口からも、淫乱な糸が端から流れる。下の口からは端とはいわずに、大量の愛液を流して、天狼の長い指を汚していった。
唇が離れた時に、蘭花は必死に声を上げる。
「それに……外に……人が来て……あっ……」
だが、彼の指の動きが止まることはない。
段々と頭が白濁してきて、いよいよ頭がおかしくなりそうだという時、天狼がこう言った。
「――外野がいる方が、燃えるだろう?」
(は――? 何言ってのこいつ……)
彼の意味不明な発言に、蘭花は平静に戻る。
そうして差し入れられた舌を、彼女は勢いよく噛んだ。
「っ――――!」
舌を噛まれて身悶えする天狼の瞳からやっと解放された蘭花は、外に人がいるのも忘れて叫んだ。
「客人が来てるって言ってるでしょう――! ふざけんじゃないわよ――! この、淫乱変態男―――――!!!!!」
小屋の上にとまっていた雀たちが、一斉に飛び立ったのだった。
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