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しおりを挟む『へえ、女の子なのに騎士団に入団したいって面白いね――どうかな、俺のところで補佐をしてくれないかな?』
まだ子どもだった頃の私に手を差し伸べてくれた、優しい年上の男性。
女性が騎士団長補佐になるというのは異例のことだったようだ。
入団した後も嫌な目に遭うことがあったけれど、そのたびに気にかけてくれた。
『どうしたんだい、キティ、浮かない顔をしているね』
『茶も汲めないのかと言われてしまい……私が女性らしくないのが良くないのでしょうが……』
『茶なんて自分で汲ませたら良いよ、それに女性らしさって別に茶を汲めばどうにかなる問題じゃないと思うしさ』
『ええっと……』
『ああ、もしかして他にも何かあるの?』
『……お前はブライアン団長の足を引っ張っているだけだと言われてしまいました』
俯いていると――
『何を言ってるんだ。君がいてくれているから、僕は団長としての仕事に専念できているんだ。それこそ、キティの女性らしい心配りのおかげで、この騎士団の風通しも良くなっている。本当にありがとう』
――そう言うと、ブライアン隊長は私の頭をぽんぽんと叩いて元気づけてくれた。
そもそも――女性であるキティを団長補佐にしたのは、ブライアン団長の庇護下に置くという理由でもある。
そのことで、彼自身が上から非難されている場面だって見たことがあるけれど、持ち前の飄々とした態度で受け流してくれたのだ。
それに――毎日毎日、軽口を言いながら、ちょっかいをかけてくるのだって、本当はキティが誰かに悪さをされないか気にかけて、目を走らせるために来てくれているのだ。
(本当の理由は言わないで、冗談で誤魔化してばっかりで……ブライアン隊長はすごく優しい人だわ)
思わずクスリと笑みが零れたが、そこでハッとなってしまう。
(だけど……)
――生家が没落しているような私では……
分不相応な思いが湧いてくるのを振り払うと、ジェイクに呼ばれた場所へと向かったのだ。
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