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おまけ1
しおりを挟む主君だった彼が夫になってしばらくの時が経った。
どちらもアフタヌーンドレス姿のまま、外の広場でお茶会をしている。
外は晴天で、風も少しだけ暖かくて心地が良い。
緑の上に置かれたテーブルには白い絹のテーブルクロスが敷かれている。
その上に置かれた茶器が、カチャカチャと鳴った。
「エレナ、ねえ、ずっと気になっていることがあるんだけど?」
「どうされたのですか、ヒルデ様?」
「それよ、エレナ」
「え?」
彼の綺麗な指が、私の鼻先をちょんと突いてくる。
「名前。どうして様をつけちゃうの?」
「え? それは……」
「エレナがあたしのこと、ヒルデって呼び捨てしてくれなきゃ、イヤなの」
「まだ慣れておらず……」
彼が首を傾げると、ラベンダーアッシュの髪がさらりと揺れる。紅い瞳の片眼をウインクをしてくる。
「だったら、練習よ、はい、どうぞ」
「え……あ……う……」
「ほら、どうしちゃったの? 言ってくれなきゃっ……」
「きゃっ……」
気づけば、隣の椅子に座っている彼の腕の中に、私は閉じ込められてしまっていた。
見た目は女性らしいのに――私の乳房にぶつかる胸板は硬くて、男性だとまざまざと自覚させられてしまう。
彼の太腿の上に跨る格好になってしまったではないか。
「エレナ、あなたが嫌がることを外でしちゃうんだから」
「え? 嫌がること……ひゃっ……!」
唐突に彼が腰のリボンを解きはじめる。
「ヒルデ様っ、こんなところで何をやって……!」
「だから言ったでしょう? 嫌がらせよ」
彼は手にしたリボンにちゅっと口づけながら告げて来た。
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