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しおりを挟む一月後、無事に婚約披露パーティが開催された。
もちろん、婚約破棄宣言なんかはされることはなかった。
牽制をかけてきていた令嬢たちは、知らぬ間に粛清されていた。
(お父様が噂を聞いたのかしら? それとも……?)
物語のヒーローのようにギアスが何かしたのだろうか?
そうして、私たち婚約者の二人はといえば、これまでと同じように一緒に茶をたしなんだ後は、必ずといっていいほど、身体を重ねていた。
「あっ、んんっ、あっ、あ……あっ……!」
「メイベル、愛している……」
吐精された後は、決まって優しく口づけの雨を全身に落とされる。
あれからギアスと身体を何度も重ねて気づいたことがある。
(どうも、ギアスはベッドの中の方が言葉数が多いようですね)
だから、彼の本音を聞きたいときは、ベッドの中の方が良そうだった。
あとは彼が書き溜めている作品たちも、彼の心を知る一助になりそうだ。
キスしてくる相手に両手を絡めながら微笑みかける。
「寡黙で不愛想なあなたが、夜はこんなにケダモノだなんて想定外でしたわ」
「それは俺のセリフだよ」
「これからも面白い話を私に書いてくださいね」
「……もちろんだ。メイベル、愛している」
今日も今日とて、寡黙で不愛想な婚約者同士は心の声だけでなくベッドの上でもケダモノになって、幸せを噛みしめるのでした。
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