【R18】寡黙で不愛想な婚約者の心の声はケダモノ

おうぎまちこ(あきたこまち)

文字の大きさ
上 下
21 / 28

21※(アルファポリス版)

しおりを挟む
 痛みは強いのかと思ったが一瞬だった。
 巨大な熱塊が侵入してくると、ぎゅっと身体が縮こまる。
 奥深くまで彼が突き進むと、下腹が圧迫された。
 気づかぬうちに目を瞑っていたようで、そっと開くと、彼の綺麗な青い瞳と出会った。

「あ、私たち繋がって……」

「メイベル……繋がれてすごく幸せだ」
 
 そうして、彼が私の頬に何度も口づけを落としてくる。

(あ……)

『メイベルが痛くなくて良かった。こんなにも幸せなことがあるんだな……本当に、なんて……幸せなんだ……』

 彼の優しさが胸にじんわりと広がっていって、すごく幸せだった。

「動くぞ」
 
 そうして、彼が腰を揺すりはじめた。
 奥深くにある女性の芯を何度も何度もノックされる。
 言葉数の少ない彼なりの求愛のようで、たまらなく嬉しくなった。

「あっ、んんっ、あっ、あっ……」

「ああ、メイベル、メイベル……」

 私の名前を呼ぶたびに、彼から『好きだ』『愛している』『そばにいてほしい』
 そんな声が聴こえてくる。
 ……優しい揺さぶりで心も体もほろほろと溶けていくようだった。

「あっ、激しいっ、あっ、あっ……」

「メイベル……」

 次第に彼の腰の揺さぶりが激しくなってくる。
 ベッドが軋む音と淫靡な水音とが部屋の中に立ち込める。
 互いの両手を絡め合うと、そのまま二人して揺れ動く。
 シーツで背中が擦れるのさえ気持ちが良かった。
 肉棒が何度も抽送運動を繰り返すと肉壁が擦られて快感が全身を駆け巡る。

「あっ、あんっ、あっ……」

「メイベル、メイベル……」

 彼からもたらされる揺さぶりが気持ちよくて、どんどん思考がままならなくなっていく。
 ぐちゅぐちゅと淫らな水音が立ち込める。
 ギシギシギシギシ……ベッドが間断なく揺れ動いた。
 そうして――

「あっ、あっ、あっ……!」

「出る……」

「ああっ……――!」

 快感でひくつく蜜口が、肉棒をぎゅうぎゅうに締め付けると律動をはじめる。
 ギアスが懊悩な声を上げ、吐精されると一気に下腹が熱くなった。

「ギアス……」

「メイベル、愛している……」

 そうして、愛の言葉と共に彼が私に何度も口づけを落としてくる。
 言葉の代わりに態度で示すと言わんばかりに、私を慈しむ気持ちが伝わってきた。
 じんわりと彼の愛を内側からも感じていると、そっと彼が離れようとした。
 名残惜しくて……

「まだですわ」

「は?」


 私は両脚を彼の腰に巻き付ける。
 そうして、頬を赤らめながら返した。
 対するギアスの顔も真っ赤だ。

「仲の良い婚約者同士というのは、一夜の間に何度も身体を交えると聞きます」

「なっ……」

 いつもは無表情なギアスが今日は百面相をしていて、なんだかおかしかった。

「俺としたことが、まさか、お前がそんな破廉恥な女性に成長しているとは想定外だった」

「は、破廉恥!?」

「ああ、一夜の間に何度も身体を交えるなど、まるでケダモノだ」

「ケダモノ……」

 ケダモノ扱いされてしまい、しゅんとなってしまったけれど――
 ふっとギアスの口元が綻んだ。

「だが、俺の前だけでなら悪くはないな」

 すると、突然四つん這いにさせられた。

「ギアス、ひゃんっ……!」

 ぬるりと欲望が双臀の間を蠢く。

「さっき、お前が願った通りにしよう――お互い犬やケダモノになってしまえば、一晩中でも問題はなさそうだ」

「ひゃんっ、あっ、あっ……」

 再びゆさゆさと揺さぶられはじめた。

(そういえば、結局あの書類の束はなんだったのかしら……?)

 もしも私の推測が正しいのだとしたら……
 けれども、そんなことを考える暇はすぐになくなり……

 私の願い通り、両想いになった彼とまるでケダモノのように一晩中愛し合ったのでした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね

江崎美彩
恋愛
 王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。  幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。 「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」  ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう…… 〜登場人物〜 ミンディ・ハーミング 元気が取り柄の伯爵令嬢。 幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。 ブライアン・ケイリー ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。 天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。 ベリンダ・ケイリー ブライアンの年子の妹。 ミンディとブライアンの良き理解者。 王太子殿下 婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。 『小説家になろう』にも投稿しています

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

処理中です...