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16※(アルファポリス版)

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「だめですわ、ギアス!」

「は?」

 予想より大きな声が出たので、慌てて声を潜めて、ギアスに耳打ちする。

「今のあなたは優しすぎます! そんな優しい手つきで、私を篭絡させることができると本当にお思いですか!?」

「篭絡……!?」

「国のためにも、貴方は私を虜にしなければなりません!!」

「メイベル、お前は何を言って……」

 ギアスが瞠目する。

「さあ、私を貴方の犬にするのです!!」

「は!?」

「わたしの尊厳を踏みにじりなさい!」

「そんなこと、俺にできるはずが……」

 台本にはない流れだが、このままの流れではスパイからは疑われてしまうかもしれない。
 その時、ギアスがハッと息を呑んだ。

「メイベル、お前は大人になってしまったんだな……」

 そうして、キリリと元の無表情に戻る。

「分かった、俺の方こそ覚悟が足りなかったようだ」

 きっと彼も私の意図に気付いてくれたのだろう。

(良かった)

 すると、件の声が聴こえ始める。

『まさか……メイベルがSM趣味に目覚めていたなんてな! 俺としたことが……ああ、だが、メイベルに婚約解消をやめてもらうためにも、特殊プレイにだって付き合わないといけない……そうだ、嫌なんかじゃないさ、むしろ、昔、ご主人様と犬のような主従関係の作品を仕上げて……つまり、俺の性癖……性癖なのか……!?』

 やはりこの声はなんなのだと考えていると――

「きゃあ!」

 突然、彼が私の両足を開いたかと思うと、頭を突っ込んでくるではないか。

『俺がメイベルの犬に……なりたい!!!!』

 露わになった秘所に彼の指が伸びると花弁を開かれる。見られるだけでも恥ずかしいのに、彼の顔が近づいくると息がかかって落ち着かない。

「あっ……んっ、そこは……」

「こんなに真っ赤にさせて……」

 そうして、彼が薄い唇を粘膜に宛がってきた。

「あっ……」

 彼の分厚い舌が溝を這った後、一際気持ちが芽を食んできた。

「ひゃんっ……!」

「想像以上に膨らんでいるな」

「んんっ……」

 そうして、彼が芽を口に含んで転がしながら、狭穴に指を入れて馴らし始めた。

「ああっ、ギアス……そこはっ……ああっ……あ、あなたが犬になるのではっ、なくてっ……ひゃあっ……」

 その時、また件の声が聴こえ始める。

『何? メイベルはやはり犬になりたいのか……!? 本当はこのまま俺が犬でいたいのに、だが、ここはメイベルの犬願望を叶えてやらなければ、婚約がなかったことになるかもしれない……! そうだ、メイベルのためなら、俺はドSにだってなれる……!』

 そうして、ギアスが私に向かって告げてくる。

「メイベル、犬は、そんな口答えはしてこないぞ」

「……っ……!」

 よく分からないまま舌と指で擦られている間に、どんどん頭の中が真っ白になっていく。
 そうして――

「んんっ……――!」

 びくびくと身体が跳ね上がった。
 特段動いてもないのに、全力疾走したみたいに、息がハアハアして胸もドキドキ落ち着かない。

『やはり、メイベルは犬プレイが好きなようだ……どうにか婚約解消をなかったことにしてもらって、そうしたら毎晩……俺が犬でも……メイベルが犬でも構わない……!』

 ギアスが顔を上げると態勢を整えはじめると、私の身体の上に跨ってくる。

「さて、メイベル、ここからが本番だ。本当にいいのか?」

「ええ、ギアス、分かっていますから」
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