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13※(アルファポリス版)
しおりを挟むパクパクと金魚のように口を開いていると、ギアスが淡々と告げてきた。
「読んでみろ」
「この内容を……き、聞かれても、良いのですか!?」
「ああ、むしろお前の口から言ってもらいたい」
その時、彼が視線をちらりと天井に向けた。
私はハッとする。
(天井裏にスパイが隠れているというの……!?)
動揺を気取られぬように、深呼吸をこれでもかといわんばかりに繰り返す。
そうして、覚悟を決めると一息に告げた。
「『ギアスはメイベルに』……」
「続きを読め」
「『服を脱げと命じた。そうして、メイベルは生まれたままの姿になることを決意する。』……っ……」
顔から火が拭き出そうなぐらいに真っ赤になるのが自分でも分かる。
じっとギアスがこちらを見てきている。
『出来ないのなら無理強いはしないつもりだが……メイベルの脱衣……子どもの時に脱ぎ着を手伝って以来だな……服を着たままでも十分破廉恥な体形に育っているというのに……このまま脱がれたら、俺は……理性が……保て……』
出来ないのなら無理をするなという視線に感じたし、謎の声も重なってくる。
(ちゃんとここで半信半疑のギアスに従順な姿勢を見せなければ……)
恥ずかしすぎて死にそうだったが、ベッドの上にすっくと立ちあがると、肩先からシュミーズの紐ごとドレスをしゅるりと落とした。
ちらりとギアスを見るが無表情なままだ。
(じっと見られるのは恥ずかしい……)
相手からの視線を感じていると全身が茹だっていくようだ。
『まさか、本当に脱ぐとは……国のために……メイベル……お前というやつは……なんて意地らしいんだ……! ああしかし、これは据え膳食わぬは男の恥! だが、婚前に王女に手を出したとなれば罰せられ……いいや、メイベルと一つになれるのなら、罰せられても構わない……!』
下着だけの格好になったが、そっと足先まで降ろして、シナリオ通り生まれたままの姿になった。恥ずかしくなってその場にしゃがみ込んで、ぎゅっとアルマジロみたいに丸まった。
「ちゃ、ちゃんと脱ぎました……」
ちらりとギアスに視線を向けると、先ほどと同じく正座をした姿勢のまま固まっている。
天を振り仰ぐとポツリと呟く。
「神々しいな……」
彼がポツリと何か言ったようだが、さっぱり聞こえなかった。
(もしかして、天井裏のスパイを見張っているの?)
相手は女性スパイとはいえ、私の裸が何者かに見られないように気を遣ってくれているのかもしれなかった。
『くっ……こんなに美しい女性に育っているのは想定外だった……今ので果ててしまうところだった……』
やっぱり何かおかしな音声が聴こえて仕方がない。
そんな中、ギアスがキリリとした表情をこちらに向けてきた。
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