【R18】あなたには帰る場所がある。だから、愛しているとは言えない。

おうぎまちこ(あきたこまち)

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6 求めた光の先へ

67 ミリー※

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 アイザックにお姫様抱っこをされたまま連れていかれたのは、屋敷の奥にある部屋だった。
 扉を開けて中に入ると、麝香の良い香りが鼻腔をくすぐってくる。

「わあ……綺麗な部屋ね……」

 私は思わず嘆息してしまった。
 特段広い部屋の中央には、天涯付きの大きなベッドが設置されている。備え付けられたドレッサーには薔薇の文様が木彫りされており、猫脚が可愛らしい。
 机の上には、凛とした青いエリンジウムの花が飾られていた。
 上方へと目を移すと、天窓からは夜空の月が覗き、キラキラ光る星々が眩い光を放ち、私たちを照らしてくる。

「気に入ってもらえたようで良かった」

 淡く微笑むアイザックにベッドへと連れていかれる。
 花の模様のレースをくぐりぬけ、白いリネンの上へと私の体はゆっくりと横たえられた。
 触れるシーツの柔らかさと新鮮な香りに心が躍る。
 そうして、ギシリと音を立てて、アイザックが私の身体の上に乗り上げてきた。

「あ……ん……」

 彼の柔らかな重みを感じるとともに、優しい口づけを施される。
 啄むような軽い口づけを何度か交わしている間に、二人の吐息が絡まり、次第に深化していく。

「ミリー……ずっとこうしたかった……」

「アイザック……」

 荒々しい口づけに変化していくうちに、彼の大きな手が布越しに乳房を擦ってくる。

「ふあっ……あっ……」

 衣擦れの感触が気持ち良くて、何度か愛撫を続けられているうちに、下腹の奥の方がきゅうっと締まってきた。自然に閉じてしまった太ももを、今度は大きく撫でさすられ、全身を走る快感がどんどん強くなっていく。

「あっ、は……あっ……」

「ミリーも俺のことが恋しかっただろうか?」

 そういいながら、彼の指がまた乳房に戻ってくると、膨らみをゆっくりと捏ねはじめた。それと同時に唇が私の耳朶を甘噛みした後、舌で耳孔への出し入れをされる。二つの刺激を与えられ、ぞくぞくと気持ち良さが背中を抜けていく。

「ふあっ……ああっ……――!」

 白魚のようにビクビクと体を震わせていると、熱い吐息のままでアイザックが囁いてくる。

「耳と胸を弄られるだけで達してしまうなんて、ミリーは相変わらず感度が良いな……」

「あ……」

 羞恥で顔を赤らめていると、また何度か口づけられた。

 そうして――。

「ミリー……生まれたままの君を見たい……」

 直接的な言葉を掛けられ、ますます私は恥ずかしくなっていく。

「は……い……」

 一度半身を起こされると、長く節だった指がドレスの肩紐にかかり、するりと脱がされると、ふるりと乳房が露わになる。

「あ……」

「ミリー、久しぶりに見るが……相変わらず綺麗な体だ……」

 久しぶりに彼の視線を感じて、心臓がドキドキと落ち着かない。
 舐めるような視線を感じながら、ドレスと下着を足先からするりと脱がされた。
 裸になった私は、そっと両手で乳房を隠す。

「私だけ裸なのは恥ずかしい……」

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