【R18】あなたには帰る場所がある。だから、愛しているとは言えない。

おうぎまちこ(あきたこまち)

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4 バッシュの後悔

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 それから数年の月日が経った。

 命が助かっただけでもありがたいことだ……。

 少年時代はそう思っていたが――大人になるに連れて、男性としての役割を果たせない事実がバッシュの心を苛んでいた。
 不能なわけではなく、女性を抱くことは出来る。
 だけれども、精の中に子種がいないのだろう。

「あっ、あっ、バッシュ……」

 バッシュと人妻の肌同士がぶつかり合って、ぱちゅんぱちゅんと音を鳴らした。
 二人の結合部からはぐちゅぐちゅと水音がなる。
 たゆたゆと豊満な乳房が揺れ動く様は、普通の男ならば心が躍るのかもしれないが、バッシュがそれを見て歓喜することはなかった。

「あなたは精力的で素敵だわ……旦那よりも凄いし、貴方の子の方が欲しいぐらいだわ」

「そうかい……俺じゃあ、その願いは叶えてやれねえからな……」

 僻地に暮らす女たちに声をかけられる度に抱いたが、誰も彼の子を孕むことはなかった。



***



 その後、騎士になるべく王都に出たバッシュは、とある子爵家に仕えていた。
 そこで運命の出会いを果たす。

(あの時の……)

 魔物の襲来事件の時に、母子を見ながら涙を流していた少女だった。

(マリーン……貴族の少女だったのか……)

 最初は村の女性たちのように弄んでやろう。
 そんな歪んだ思いがバッシュの中には渦巻いていた。
 思惑通り、純真なマリーンはバッシュにすぐに懐いてくれた。

 ……女性なんて、こんなものだろう。

 そんなことを思い、彼女のことを傷つけようと酔わせて部屋にマリーンを連れ込んだ。

「あっ、あ、バッシュ……あんっ、あっ、気持ちいい……」

 普段は貞淑な彼女がベッドの上で乱れる。
 まだ少女と女性の狭間にある彼女の肢体は滑らかで……ひどく美しかった。
 今までの女性たちのように純潔を奪ってしまおう。
 そう思った時に――マリーンが魔物襲撃の件について口にしたのだ。

「……見ず知らずの少女から母親を奪ってしまった……私には生きる価値なんてないのに……生き延びてしまった……」

 生きる価値なんてない。

 そんな言葉と同調したのか、自身の姿を投影してしまったのか――。

 バッシュはマリーンの純潔を奪うことをためらった。
 そのまま性器同士を触れ合わせて、彼女に生の快楽があるのだと教えてやりたくなったのだった。

「あ……バッシュ……触れ合うだけで……すごく気持ちいいっ……あっ……あ……」

 それ以上に――自身が男性としては半人前のような存在なのだと、マリーンに知られたくなかったのかもしれない。


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