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元令嬢の気高き女騎士団長は、幼馴染の年下副騎士団長(旦那)に翻弄されて困ってます!
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「別に子どもが出来たからといって、今までの立場を捨てる必要性はないと思うよ、俺は」
「――!」
自分が悩んできたことに対して、あっさりとした返答があって驚いてしまう。
「そもそも子どもは授かり物だよ……作る作らないを確かに親が考えることは出来るけれど……正直神の領域で、出来る出来ないは自然に任せた方が良いんじゃないかなと思ってる。姉さんみたいに無理に俺と距離をとって、子どもが出来ないよう調整してどうにかしようとする考えも間違ってはいないと思うけれどね」
「あ……」
ハデスには考えがバレているようだった。
「だから出来たら出来たで喜べば良いだけだよ。何も母親が積み上げてきたものを壊すために、子どもは宿るわけじゃないんだ。頑張っている母親を愛するために宿ってくれるもんだと俺は思っていたけれど……」
「だが、子どもを育てている間は……」
「姉さんがさっさと前線に復帰したいなら周囲の支援を借りれば良いだけだし――姉さんぐらい皆から信頼が厚ければ、別に俺がしばらく騎士団長代理で、団長不在でも良いんじゃないか? 赤ん坊の顔を見たら考えが変わるともいうし……子育てに専念したいならしたら良い」
ハデスは続ける。
「ランスロットにも色々相談しよう。まあ、確かにこの国で女騎士が騎士団長になったのは姉さんが初めてだからね……悩んでいるのは分かっていたけれど、声をかけるのが遅くなってごめん」
――ハデスの言葉に眦が熱くなっていく。
「ああ、あと、姉さんの場合、女性ならではの気づきで団を発展させてるって周囲からの評判だから気にしない方が良いよ」
「……なん、だと……?」
「姉さんが女性らしいとかいうと怒るから皆言わないだけだよ。大雑把な男じゃ気づかない細かいところへの気配りが出来たり、交渉だったりもうまいし、男女問わずに周囲の懸け橋になってやれるから団のもめ事も少ないしね」
一人で勝手に男だ女だ、子どもが出来たら生き方が崩れるのではないかと思い込んでいたようだと気づかされてしまう。
その時、ふと、彼の長い指が私の顎を掴んできた。
間近に端正な顔立ちが近づいてくる。
「――!」
自分が悩んできたことに対して、あっさりとした返答があって驚いてしまう。
「そもそも子どもは授かり物だよ……作る作らないを確かに親が考えることは出来るけれど……正直神の領域で、出来る出来ないは自然に任せた方が良いんじゃないかなと思ってる。姉さんみたいに無理に俺と距離をとって、子どもが出来ないよう調整してどうにかしようとする考えも間違ってはいないと思うけれどね」
「あ……」
ハデスには考えがバレているようだった。
「だから出来たら出来たで喜べば良いだけだよ。何も母親が積み上げてきたものを壊すために、子どもは宿るわけじゃないんだ。頑張っている母親を愛するために宿ってくれるもんだと俺は思っていたけれど……」
「だが、子どもを育てている間は……」
「姉さんがさっさと前線に復帰したいなら周囲の支援を借りれば良いだけだし――姉さんぐらい皆から信頼が厚ければ、別に俺がしばらく騎士団長代理で、団長不在でも良いんじゃないか? 赤ん坊の顔を見たら考えが変わるともいうし……子育てに専念したいならしたら良い」
ハデスは続ける。
「ランスロットにも色々相談しよう。まあ、確かにこの国で女騎士が騎士団長になったのは姉さんが初めてだからね……悩んでいるのは分かっていたけれど、声をかけるのが遅くなってごめん」
――ハデスの言葉に眦が熱くなっていく。
「ああ、あと、姉さんの場合、女性ならではの気づきで団を発展させてるって周囲からの評判だから気にしない方が良いよ」
「……なん、だと……?」
「姉さんが女性らしいとかいうと怒るから皆言わないだけだよ。大雑把な男じゃ気づかない細かいところへの気配りが出来たり、交渉だったりもうまいし、男女問わずに周囲の懸け橋になってやれるから団のもめ事も少ないしね」
一人で勝手に男だ女だ、子どもが出来たら生き方が崩れるのではないかと思い込んでいたようだと気づかされてしまう。
その時、ふと、彼の長い指が私の顎を掴んできた。
間近に端正な顔立ちが近づいてくる。
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