上 下
78 / 118
元令嬢の気高き女騎士団長は、幼馴染の年下副騎士団長(旦那)に翻弄されて困ってます!

4

しおりを挟む
「別に子どもが出来たからといって、今までの立場を捨てる必要性はないと思うよ、俺は」

「――!」

 自分が悩んできたことに対して、あっさりとした返答があって驚いてしまう。

「そもそも子どもは授かり物だよ……作る作らないを確かに親が考えることは出来るけれど……正直神の領域で、出来る出来ないは自然に任せた方が良いんじゃないかなと思ってる。姉さんみたいに無理に俺と距離をとって、子どもが出来ないよう調整してどうにかしようとする考えも間違ってはいないと思うけれどね」

「あ……」

 ハデスには考えがバレているようだった。

「だから出来たら出来たで喜べば良いだけだよ。何も母親が積み上げてきたものを壊すために、子どもは宿るわけじゃないんだ。頑張っている母親を愛するために宿ってくれるもんだと俺は思っていたけれど……」

「だが、子どもを育てている間は……」

「姉さんがさっさと前線に復帰したいなら周囲の支援を借りれば良いだけだし――姉さんぐらい皆から信頼が厚ければ、別に俺がしばらく騎士団長代理で、団長不在でも良いんじゃないか? 赤ん坊の顔を見たら考えが変わるともいうし……子育てに専念したいならしたら良い」

 ハデスは続ける。

「ランスロットにも色々相談しよう。まあ、確かにこの国で女騎士が騎士団長になったのは姉さんが初めてだからね……悩んでいるのは分かっていたけれど、声をかけるのが遅くなってごめん」

 ――ハデスの言葉に眦が熱くなっていく。

「ああ、あと、姉さんの場合、女性ならではの気づきで団を発展させてるって周囲からの評判だから気にしない方が良いよ」

「……なん、だと……?」

「姉さんが女性らしいとかいうと怒るから皆言わないだけだよ。大雑把な男じゃ気づかない細かいところへの気配りが出来たり、交渉だったりもうまいし、男女問わずに周囲の懸け橋になってやれるから団のもめ事も少ないしね」

 一人で勝手に男だ女だ、子どもが出来たら生き方が崩れるのではないかと思い込んでいたようだと気づかされてしまう。

 その時、ふと、彼の長い指が私の顎を掴んできた。
 間近に端正な顔立ちが近づいてくる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

義兄の執愛

真木
恋愛
陽花は姉の結婚と引き換えに、義兄に囲われることになる。 教え込むように執拗に抱き、甘く愛をささやく義兄に、陽花の心は砕けていき……。 悪の華のような義兄×中性的な義妹の歪んだ愛。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...