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元令嬢の気高き女騎士ですが、幼馴染の年下騎士に翻弄されて困っています―パワハラですって言われたけれど、あなたのそれはセクハラです―

3※

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「子どもの戯言なんかじゃないよ、姉様。俺は本気だ。ここまで貴女を追いかけてきたのが、その証拠だよ」

「本気――?」

 いつの間にか彼の手が、飾りのついた騎士団のコートを脱がせにきていた。

「やめないか、ハデス! いよいよセクハラだぞ!」

「姉様を見たら、我慢が出来なくなった」

「年上をからかうのはやめろ!」

「さっきから、からかってなんかいない」

 彼の海のように蒼い瞳に光が宿る。

「ペルセ姉様、約束通り、俺と結婚してほしい」

「……っ!」

 そう、私が騎士団に向かう前にハデスと交わした約束、それは――。

『ペルセ姉様……約束してほしい。僕がもし姉様と同じように騎士になって、騎士団に入団できた、その時は、僕と結婚してほしいんだ』

 私は唇を噛み締める。

「あれは……子どものたわ言で……」

「何度でも言う。たわごとなんかじゃない。俺はペルセ姉様のことが、ずっと好きだったんだ」

「あ……」

 そう言うと、彼は私の唇を塞いできた。

 舌がからみあい、互いの唇からちゅくん、くちゅんと卑猥な水音が立つ。

「は……それに俺は知ってる。姉様が、お見合いも全部断ってたことを……出世のためだけじゃない。俺との約束があったからでしょう?」

「っ……!」

 いよいよ言い逃れが出来なくなった。

 私はぽつりと呟く。

「……約束だから守らないといけないと思っただけだ。別にお前に恋しているからとか、そんな理由ではない。単純に異性に好まれないから、結婚も出来ていないだけで……」


 いつの間にか抵抗できなくなっていた。

 気づけば、中に着用していたジレとブラウスを脱がされてしまう。

「本当に素直になれない人だ……騎士の皆から憧れの的の貴女が、いつ他の男に持っていかれるのか、俺はいつでも気が気じゃなかったっていうのに……」

 だけど、何も答えきれないでいた。

「私は……私のような年をとった女が、お前のような若い男を好いているなど、許されることでは……それに、お前にはいくらでも、お前を褒めてくれる令嬢たちがいるはずだ」

 ぽつりと出た本心。

 そう、不安なのだ。

 こんな男勝りの私が――。

 こんな女性らしくない私が――。

 年を取ってしまった私が――。

 他の令嬢のように、素直に誰かを褒めることができない私が――。

 ――年甲斐もなく、小さい子どもと交わした約束にすがっているなど――。

 そんな私に、ハデスはこう告げた。

「そんなのどうでも良いよ。俺は姉様のことが、この世で一番好きなんだから」

「ハデス」


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