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大嫌いな幼馴染の、おもちゃになってしまいました

3※

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 そうして彼は、恐ろしいほどに美しい笑顔で、主であるミルフィーユを見下ろしていた。


「リ……リヒト――?」


 ぞくっと、ミルフィーユの背筋に寒気が走る。


「もしばらされたくないなら、僕の言うことを聞いてくれますか? ミルフィ」

 
(ミルフィ……!)


 子どもの頃の愛称で呼ばれた彼女は、過去の記憶がまざまざと蘇る。

 年下の彼に振り回された過去を。

 丁寧な口調なのに、命令口調だった彼を。

 どちらかと言えば、姫だったはずなのに立場の弱かった自分を。

 気づけば震える唇で、彼女は答えていた。


「……はい……」


 昔のリヒトを思い出したミルフィーユは、彼の言うことに逆らえなかったのだった。

 自慰行為を見られて以来、完全にリヒトのおかず――もとい、おもちゃにミルフィーユ姫はなってしまっていた。

 彼女の部屋に、護衛という名目で現れるリヒト。

 彼は毎日、彼女の元へと現れては――。

「あっ、はっ、は、あ、あ、あんっ」

「ミルフィ……出しますね……」

 ミルフィーユが自慰にふける様子を見て、リヒトも自慰行為をする。

 そうして、彼女の身体の一部を汚す。

「リヒト……今日こそ、お父様にこのことを言いつけちゃうんだから……」

「ええ、どうぞ……幼い頃、姫様の身体に傷をつけてしまった身です。あの頃、罰されなかった方が不思議なぐらいだ……どうぞ言いつけてください」

 綺麗な顔をして笑うリヒトの笑顔が、どことなく不気味だった。

(ずっと一緒にいたのに、リヒトが何を考えているのか全然分からなくなってしまったわ……)

 そして本当は――。

(リヒトは……どことなく罰せられることを望んでいるような……)

 時々、そんな彼女にとって都合の良い考えが、彼女の中に芽生える。



 自慰を見せて、自慰をする。

 そんな護衛騎士と姫の、歪な関係はしばらく続いたのだった。



※※※



 一体、いつまで、こんな不思議な関係が続くのだろうと、彼女が思っていた矢先。

 変わり者と評判の父・ロクス帝国皇帝であるシュタイン・ロクスが、ミルフィーユに声をかけてきた。

「お前を嫁にと望む者が現れた。傷があっても良いそうだ。どうだろう? お前が気に入れば、降嫁を許すが……」

(私は……どうしたら……)

 ミルフィーユが悩んでいると、リヒトの耳にも婚姻の話は届いたのだろうか。

 二人の関係が大きく変わる出来事が起きたのだった。


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